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(音楽話)68: 佐藤竹善 “木蘭の涙” (2007?)

【美しい】

佐藤竹善 “木蘭の涙” (2007?)

私が大好きな日本のヴォーカリストのひとりに、佐藤竹善という人がいます。

1963年青森県に生まれた「竹善(たけよし)」は、幼少期は演歌歌手の夢を抱いてましたが、中学でThe Beatlesに出会い洋楽に傾倒、高校ではオフコースにハマり、Billy Joelに刺激され、ミュージシャンを志したといいます。82年に進学で上京しやがてバンドを結成。88年にSING LIKE TALKINGとしてデビュー、小田和正や山下達郎のツアーでバックコーラスを担当。一気に有名になったのはコカ・コーラのCMソング”I feel coke”を歌った時でした。
その後”La La La””Sprit of Love”などがヒットしアルバムも売れる一方、90年代半ばからはソロ活動も開始。黒沢薫(ゴスペラーズ)黒田俊介(コブクロ)などが「影響を受けたシンガー」として佐藤の名前を挙げ、ファン層を広げていきます。現在も、SLTとソロを並行しながらコンスタントに活動中。

私は佐藤の声が大好物です。ルーツに演歌があり、そこに(主にピアノ系)洋楽の要素が盛り込まれた音楽背景を持つ彼は、発音が英語の音素を理解しているかのような少し独特な耳触りで(かと言っていやらしい発音ではない)、声色も少し耳に残るヴィブラートを伴った、決して過剰ではなく滑らかさすら感じる、とても心地良い温かさを持っています。

木蘭の涙”はご存知スターダスト・レビューの大名曲(1993)。スタレビのヴォーカル根本要の少し嗄れた歌声、シンプルながら深みを求める音の鳴り方、歌詞に表れる遣る瀬なさや切なさ…全てがとても美しく響き合うこの歌を、佐藤はかなり前からカヴァーしています。
映像は恐らく2007年中野サンプラザ。音は自身の弾くピアノだけ。美しい。ただ、美しい。
諦念、悔しさ、淡い思い出、微笑みといった様々な感情と情景をない混ぜにしたら、それは美しかったーーー佐藤の歌を聴くとそんな感想を持ちます。原曲と比べるとその味わいに違いがあって、これもまた面白い。私は、原曲には「女性」を感じ、佐藤のヴァージョンには「男性」を感じます。皆さんはいかがでしょうか?

色んな感情が混ざった時、ふと表れる美しさ。我々もまた、色んな感情が混ざって気難しい世の中を生きていますが、ふとした瞬間、せめてこんな美しさを身に纏っていたいものです…キザですかね、はい、私もそう思います笑

良い週末を。

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[+]
逢いたくて 逢いたくて
この胸の 囁きが
あなたを 探している
あなたを 呼んでいる

愛しさの花籠
抱えては微笑んだ
あなたを見つめてた
遠い春の日々

優しさを紡いで
織り上げた恋の羽根
緑の風が吹く
丘に寄り添って

やがて時は行き過ぎ
幾度目かの春の日
あなたは眠るように
空へと旅立った

[++]
いつまでも いつまでも
側にいると 言ってた
あなたは 嘘つきだね
心は 置き去りに

木蘭の蕾が
開くのを見るたびに
溢れ出す涙は
夢のあとさきに

あなたが来たがってた
この丘にひとりきり
さよならと言いかけて
何度も振り返る

[+repeat]

[++repeat]

(佐藤竹善 “木蘭の涙”)

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