感想 天久鷹央の推理カルテ 知念実希人 現役医師の書いた医療ミステリー。軽いタッチなのに細部まで良くできていた。
知念さんのファンの中でも人気のこの天久鷹央シリーズ
その魅力は見た目は女子高生、でも、頭脳明晰の女医師。天久鷹央の魅力だと思う。
そして、その天久鷹央のことを追い出そうと目論む叔父の存在もいい。
かなり性格が悪いおっさんなのです。
天久は傍若無人で、患者の母親に「お前」とかタメ口を聞く。
そして、見事に子供の病気を治す。
助手役の小鳥とのコンビも素晴らしい。
2人の会話は夫婦漫才のようである。
本作は短編集です。
「池に出たカッパ」「深夜の病棟に出る人魂」「目に見えない胎児」、そして「オーダーメイドの毒薬」といった謎を鷹央が見事に解き明かしている。
少しオカルトに偏っているのも面白い。
どの短編も現役の医師である知念さんの医療知識の裏付けがあるから楽しい。
最後の毒薬の話しは、会議で叔父の作戦により診断部の縮小が話し合われている最中に
病室から小鳥にジュースを盗ませて、会議室に飛び込んできて、そこでみんなの前で推理と病名を披露。
見事に大逆転勝利。気持ちのいい終わり方だった。
部下に盗みをさせるなんて医者にあるまじきことだが、鷹央は平気だ。
最近の作品みたいに、本格推理の頭脳戦みたいじゃなく
簡単に読めるのも魅力です。
知念さんの初期の名作と言ってもいいと思う。
2022 10 16
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