感想 兇人邸の殺人 今村昌弘 兇人邸に侵入したのはいいが、そこには殺人鬼の巨人がいた。彼らは殺される。だが、何故か死体は首なし。犯人は人ではないのか。無理設定の中、本格推理がさく裂する。
今村昌弘さんの描くミステリーは少し変わっている。
僕の好きな屍人荘の殺人ではゾンビが出てきたし、今回は巨人が出てくる。
ミステリー小説だし、閉鎖空間が作り出されて、そこで殺人が発生するのも従来の形どおりなのだが、何か違う。
この異形の存在とは巨人なのでした。
調査に来た面々は、この巨人に襲撃されます。
そして、ホームズとワトソンの関係でもある葉村譲と剣崎比留子は別れ別れになってしまう。
葉村譲は、みんなとともに新館に逃げ込む。
剣崎比留子は巨人のいる旧館に取り残される。
二人は隙間越しに会話はできるが、今回だけはワトソン役である葉村が事件を解決しないといけない。
異質ではありますが、これも一種のクローズドサークルだと思われます。
巨人という無理設定がそれを作り出したのです。
二つの条件が付与されます。
「死体の首が切断される」「活動は基本日中に限られる」
巨人は夜行性なので昼間にしか活動はできません。それも大きな音を出すと捕まり殺害されます。
死体の首が切断されるというのがポイントです。
どうして、巨人は死体の首を切断するのか、そもそも殺害したのは巨人なのか。
巨人の正体と凶行の理由が最後にわかりますが、これが切なすぎる。
剣崎比留子が助かったトリックも見事でした。
面白かったです。
2024 2 18
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