斜め下の部下

管理職なので、私には、一応、部下がいる。

 ただ、若干ハズレ気味のほうの、というか、雑務担当の管理職なので、部下は、直属ではなく、斜め下である。ヤクザでいえば、「叔父貴」(親父の舎弟)みたいなポジションである。ヤクザ映画が好きではない人には、よく分からないかもしれない。

 いずれにしても、斜め下の部下が3人いて、私は、毎日、3人と昼食をとっている。斜め下なので、仕事の話は若干噛み合わず、私生活

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【ふしぎで、ぶきみな木】

飼っていたハムスターが死んだ。

 書店のまえでペットショップの店員が店頭販売していたハムスターで、チューインガム一個よりも安い値段で投げ売りされていた。値段の割によく生き、よく食べ、わたしのおやつ代の半分をひまわりの種に化けさせた前科がある。こうして死んでしまうと生きているときよりも愛くるしく思える手前、失われた命の尊さを思わずにはいられない。

 ゴミに捨ててしまうのはさすがのわたしも忍びない

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実の父親が自宅で孤独死し、遺体が腐敗して運ばれた。腐敗した後の遺体の体液を一緒に掃除してくれた妻に愛を体験した。(本当に貴方の周りに愛がありますか?)

ウィトゲンシュタイン
「生きるとは恐ろしいほど真剣なことなのだ」

去年実の姉を亡くしまして、
「生きる」とか「死ぬ」と言うことを、
改めて考えさせられたわけですが、
先日、実の父が亡くなりました。

実の母はかなり前に亡くしましたので、
家族で生き残っているのは僕だけ。。。

しかも母親と父親は10年くらい前に離婚し、
私は母親の面倒をみるということで、
母親が亡くなるまで面倒をみて、
父親とは

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意味が分かると怖い話~死体がある家~

#意味が分かると怖い話 #怖い話 #包丁 #オリジナル #小説       
 #短編小説 #死体
 俺は泥棒だ。空き巣に入って金品をかっさらっていく泥棒。……というよりはコソ泥に近いのが現状だが。
 俺は昔、医者になりたいという夢があった。医者の大学に入るために一生懸命努力して、勉強して……でも、受験の神様は俺に微笑まず、俺は大学に落ちた。次の年も、次の年も受けた。寝る間も惜しんで勉強した。それ

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不健全な社会

海外に行くとき、折に触れて思うことは、私が普段いる社会って本当に不健全だということです。

いわゆる発展途上国で目にするような乞食の姿は、日本だってたくさん見受けられます。でも乞食に対して社会が向ける目には、ほかの国の人々が持たない侮蔑が混じっている気がしてなりません。
なんでこんな違和感を持つのか。この答えは努力を称賛することや自己責任に基づいて行動することを過度に称賛する風潮にあるのではないで

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小説「夜の火」

私は疲れていて死にたかった。

私は山道の、坂を登って下って谷を上がって、また越えて、何処だか解らないような場所に生れた。そんな辺鄙な場所でまともな出産が出来たなんて信じられない。だが、私は生まれてきた。辺鄙で、けったいな風習ばかりで。嫌になって飛び出した麓の街で、同じように、いやもっと堪えられない思いをして、で、死にたかった。

死にたかった。しかし、私が死んで体が山に引戻しになったら、やっぱり

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白い壁を観て恐怖する

おれが恐い死は、この短い生のあと、何億年も、おれがずっと無意識でゼロで耐えなければならない、ということだ。この世界、この宇宙、そして別の宇宙、それは何億年と存在しつづけるのに、おれはそのあいだずっとゼロなのだ、永遠に!おれはおれの死後の無限の時間の進行をおもうたびに恐怖に気絶しそうだ。 大江健三郎、『セヴンティーン』(新潮文庫『性的人間』掲載)

『セヴンティーン』の主人公の少年は、死の無であるこ

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ゆるいつながりに生かされている

ふと、参加している組織について「なんのために参加しているんだろう」と省みる瞬間がある。

何か得することがあるわけでもなし、むしろ時間も使って大変なことの方が多いんだけれどもう何年もずーっと参加している組織というのがあって、ことあるごとに誰かにその説明をするのに「なんのために参加しているか」という理由をその時その時の気分的トレンドで話していた。

そして今回も、その理由を話すべきシーンがあるはずだ

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短編小説『少女のまま死んだ少女1/2』

あらすじ/俺の好きな彼は高校の美術の先生だった。卒業して東京に出て数年後、俺は彼を訪ねてみることに決めた。

あれだけ待たされてやっと気が付いた。この男は慎重なんじゃない。気が弱いだけだ。その時、彼は俺の高校の先生だった。田んぼの真ん中で自然豊かに育った俺は、純真の勢いで先生に告ってしまった。彼は、18才になるまで待て、そしたらその話をしよう、と言った。俺は早生まれだから、それから半年も経たないう

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