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障害の説明を親がする①

カナが小学校5年生の秋に検査してわかった特性の中に
書きに困難があること
不注意が高い
がありました。
連絡帳を書きたがらなかったのも、漢字を書くと点が足りない棒が足りないになるのは、このせいだと思っていました。

ですがカナ中二の春。
それだけではなかった事がわかります。
同僚の娘さんが
『ピンクの眼鏡をかけたら白い車が白に見えた!』
と喜んだ話を聞いて、アーレンシンドロームを知る事になります。
『そんな事もあるんだね〜。』
その日カナに話をしたら
『え!?それって普通じゃないの?お母さんは違うの?』
と返事が返ってきてビックリ。

その後詳しく話を聞くと、どうやら車にしても壁にしても紙にしても、白いものには色がついている。でもベースが白だからそれは白だとわかるのだと。

S先生に、カナの視覚過敏に対する支援方法を教えてもらい、叶夢に合う色を探しました。
白い紙に黒い文字が書いてある用紙の上に、色々な色のクリアファイルでフィルターをかけてみたところ、薄い緑色だと他の色が消えて、白に見える事がわかりました。

↓コレはカナが使用している緑のクリアファイルで、フィルターをかけるとこんな感じです。

そして、

⭐︎緑の遮光レンズだともっとよく見える。
⭐︎緑色の下敷きに、ピンクのガイドライをつけると読みやすい。
⭐︎白い紙に黒い文字は、上下が白く光って消えてしまうから、縦書きより横書きの方が読みやすい。
⭐︎行間のない文字は重なって見える

という風にS先生の手助けの元、数ヶ月かけて自分の見え方を言語化していきました。

思い返せば、音読は勝手読みや行飛ばしがとても多く、板書や問題を教科書からノートに写す作業をすると、2割は間違える子でした。

当時は不注意が高いからだと思っていましたが、実はそれだけでなく見え方も関係していた事がわかり、漢字が書けないのも書きの困難の他に見え方が関係したとわかりました。

カナの見え方に困難があるとわかって1番最初に思った事は、
じゃぁなぜ読書が好きなの?
でした。
カナは読書が大好きで沢山本を読みますし、好きな本は何回も読みます。

見えてないのに本が好き!?
読みに困難があるのに、読むのが好き!?

イマイチしっくりこなくて聞いてみると、
1回目と2回目と3回目みんな違う話になるから!
なんと、何回読んでもお話に新たな発見があるから楽しいのだと言いました。
それもその筈、見えてない部分を勝手読みして、お話を作っていた状態だったのです。

読書についてはそれでも良かった。むしろその方が楽しみが多く得だったのかもしれませんが、授業やテストは見えてない事で勝手読みをし、間違えている事が相当数あり、不利益が生じていた事がわかりました。
この特性は適切な支援がないと、

将来の選択肢を狭めてしまう!
社会に出てからも困る事だ!
なんとかしなくては!

と考え学校に話をしに行きました。

⭐︎視覚過敏(アーレンシンドローム)の可能がある。
⭐︎緑色のフィルターをかけると見やすいので、紙の色を緑色にして欲しい。
⭐︎勝手読みの為に困っている。
⭐︎テストは文字の行間を空けて、フォントも相談したい。
⭐︎小さい文字はゴチャゴチャして読みにくい為、大きめにして欲しい。

学校からの返事は

『カナさんはテストの点数が取れているので必要ないのでは?』

確かに当時のテストの点数は全教科80点以上だったのですが、
『点数が取れるから大丈夫』
と言われる事に、私はとても違和感を感じました。
テストの点数のためにお願いしているのではなく、本人が困っている事、この先必ず困る事になる特性について、助けて欲しくてお願いしていたからです。

親としてはテストの点数も良いのに越した事はありませんが、今やっと本人も私も『ここだ!』という困っていた場所にたどり着いたのに、学校にこの感動が伝わらない事が残念でした。

これは支援学校に限らず、そもそも先生にわかる形で勉強出来ていて(テストの点数が取れるなど)先生に都合の悪い行動をしない子は、『困ってる子』と捉えてもらえない事の方が多いです。

つまり、カナは『困ってる子』ですが、先生にとって『困る子』ではなかったという事です。
『困る子』でないと学校は中々動いてくれないのです。

そう感じた理由の一つは、生活面や精神面の配慮については、とても手厚くして頂いた事にあります。
つまり学校にとって生活面や精神面では『困る子』だったのに対して、学習面について『困る子』ではなかったという事だったのだろうと思います。

そこで私は『カナが困ってます』を伝える為に、カナが大好きだった担任のE先生と主事のK先生に説明しました。
生まれ持っての感覚が大多数の人と違うカナは、その感覚のために人が簡単に出来ること(オートマ)でも、時間がかかったり出来なかったり(マニュアル)する。

※【我が家では人と違う感覚を表現するのに、スラスラ出来る事をオートマ、スラスラ出来ない事をマニュアルと呼んでます。】

感覚が違うことに気づくのも、比べる何かがあって初めてわかる事。
もし生まれ持っての感覚が人と違うことに気がついても、それだけでみんなの様にオートマで出来る様になるわけではない。出来る様になるには手立てが必要で、その手立ても見つけたから助けて欲しいと...。

2人の先生は理解して下さいましたし、1番近くでカナを見ているE先生は、実感する事も出来たと思います。
ただ、中学校は教科担当のため全体周知にして、学校として統一するには管理職のオッケーを取る必要があった様です。

どういう会議のもと
『合理的配慮の必要なし』
と判断されたのか?は、わかりませんが、私はカナがこの時の学校にとって『困った子』でなかった事と、LDの知識がある先生が居なかった事に原因があったと思っています。

そして合理的配慮の為に私が取った行動は...
障害の説明を親がする②
に続きます。



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