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22.視点を自分ファーストに変えれば楽♪

ばあちゃんは、祖父が元気な時からご飯を食べるときはたいていお勝手(台所)のテーブルや、居間のこたつ使っていました。
病後、正座からの立ち上がりや、寝転がっているところを起き上がることが大変になってからは、ほぼ椅子利用していました。

施設での移動をほぼ車椅子で過ごすばあちゃんは、食事の時も車椅子でテーブルに近寄るため、動きとしては何の問題もなくできます。

ところが自宅では、まずシルバーカーから椅子に座らせて、そこからさらに食べやすい位置までテーブルに近付かせるために、ばあちゃんが座る椅子を動かすという、けっこう気を使う力仕事の介助行程が毎回毎回あるんです。
介護士さんには及びませんが、私もそれなりに力はある方だと思うけれど、50kg前後の体重があるばあちゃんが座る椅子をテーブルに寄せるというのは、けっこう〜しんどいのです。
なぜなら、ちょっと椅子が突っかかってもばあちゃんはよろけます。
椅子から落としたら大変なので、雑にガッとやれません。
それでも私がやるとなぜか雑に見えるようで、ガッとやるたび、母には叱られるし、叔母にはさりげなく役者交代されてました。
役立たず以外の何者でもない感じですよね。
それで考えました。

「どうすれば、ばあちゃんも私もお互いが、楽できて座らせられるか?」

そして、気付く訳です。

「ばあちゃんの座る椅子よりも、テーブルを動かす方が楽ではないか?」

それから私は、椅子をばあちゃんが座る定位置に据え置き、テーブルを斜めにしました。
ばあちゃんが座ったら、テーブルを定位置に戻せばいいのです。
テーブルが斜めなので見栄えは悪いけど、私は見栄えより楽を優先したいし、来るのは身内だけなんですから、どうでもいいことです。

「なんでテーブルが斜めなん?」と母が血相変えて直そうとするし、「テーブル斜めだったから直しといたよ」と叔母は説明前に既に直してるし、当のばあちゃんからも「なんでテーブルが斜めなんだや?」とイヤ〜な顔されました。

「いいの!これで私が楽なの!」

ばあちゃんを座らせるデモンストレーションをして、この私が発見した画期的な【座らせシステム】をようやくみんなが納得してくれました。

四角四面にきっちり完璧パーフェクトな空間を作って快適に過ごせるなら、それに越したことはありません。
自分が楽に介護できる方法が、その完璧パーフェクトから外れていたとしても、そこは介護する人間である自分ファーストにしちゃっていいんじゃないかと思います。
そしてそれこそが、介護においては完璧パーフェクトな空間ということです。

最終的には、自宅に戻ってもシルバーカーを使っても歩けなくなってしまったため、自宅最後の晩餐もベッドに座ってました。
結局、この方法は晩年のほんの少しの期間だけでしたが、【座らせシステム】を発見した時の『私って天才かも!』と高揚した気持ちを考えると、やっぱり100歳まで生きてて、もっとこのシステムを使いたかったな…

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