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6. 撃沈の自宅リハビリ機織り作戦!

ばあちゃんは、施設でのリハビリに対する取り組み方を、リハビリの先生や施設の人にいつも褒められていました。

最初の脳梗塞で倒れた時も、入院した病院では、いつまで生きられるやら…な雰囲気だったのに、リハビリのために入った施設で人生巻き返しとばかりに、ぐんぐん良くなって3ヶ月できるリハビリ入院を、2ヶ月程で自宅に戻ってきちゃったぐらいです。

ところが…
自宅でのリハビリは、それとな〜く嫌いなようで、こちらが促してもあまりやる気なし。
座ってテレビを観てばかり。
元々、出かけるのが好きだったので、シルバーカーや杖を買ってからは、近所へ散歩はしてくれましたが、室内で体操するとか手を動かす等はなかなかやりませんでした。

大好きな編み物は、最初のリハビリ施設退所後に、誰にも言われぬうちからやり始めたので、これはよかった〜と思ったけれど、ある年、転んで腕を骨折。
すると、今までのように毛糸を指に引っ掛けることができなくなり、滑らかに動かないのが気に入らないのか、すっかりやめてしまいました。

突然ですが、私はおもちゃコンサルタントマスターという資格を持っていて、高齢者におすすめのおもちゃというのも勉強しています。
そのため、いくつかのおもちゃも興味を示すかばあちゃんに試してみたけれど、どれも食指は動きませんでした。

そんなある日、小さな卓上手織り機を見つけて、「これだ!」と購入しました。
ばあちゃんは、機織りの仕事をずっとやっていたし、毛糸を織るなら関心示すかもしれない…。
そう思って、施設から帰宅した際に、少しだけ私が織り始めたけど、ちょっとわかんない体で、テレビを観ていたばあちゃんに声をかけました。

「ばあちゃん、聞いてもいい?これ、織り始めたんだけど、使い方が今ひとつわかんないから、やって見せて〜」

すると、「おやっ?」という顔をしてから、「こうやるんだよ」と織始めてくれたのです。

よっしゃ!成功!

心の中でほくそ笑み、やめずに織っている姿に安心して、「ちょっと片付けてくるけど織ってていいよ」と伝えて、台所へ翌朝の食事の支度へ行ってしまいました。

用事を済ませて戻ったら、織り機がテーブルの端っこに追いやられ、よくよく見てみると私が見ていた後に織った形跡なしでした。

「ばあちゃん、やらないん?」

「やんね、はー、いい」

私が台所へ行ったと同時に辞めたようでした。
再度、促してもテレビ画面の沢口靖子ドラマに夢中で、聞く耳持ちませんでした。

撃沈。

その場去った私も悪いんだけど、少々ムカッときて、織り機は即!ネットフリマに出品しました。
それを購入くださった方も「祖母のリハビリに…」とおっしゃっていました。
うちのばあちゃんと違って、購入くださった方のおばあさまは、楽しんで使ってくれたかしら?

今思えば、苦労時代に嫌というほどしていたことを、リハビリに使うという考えが浅はかだったのかな…とちょっぴり思います。

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