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お互いの「当たり前」をすり合わせる

インタビューをしているとよく「こんな話でいいんですか?」とか「大した話じゃなくてすみません」とか言われることがあります。声を大にして言いたいのは、「あなたの”当たり前”を聞きたいんです。だから気にせずお話してください。」ということ。


10年ほど前のこと。テレビの歌番組に松田聖子さんがゲストで出ていました。アイドル時代よりは当然年齢を重ねているものの、相変わらず美しい聖子ちゃんに、司会者が「きれいですね、何か特別なことやってるんですか?」と聞きます。最初、聖子ちゃんは「特に何も...」と言うのですが「洗顔は、ぬるま湯と冷水で交互に…」と、モーニングルーティンを話し始めます。そこではたと気がつく聖子ちゃん。「あ、わりといろいろやってますね。笑」

インタビューで明らかになることってまさに、本人が日々、何気なくやっていること・感じていることを言葉にしてもらうことが新しい知見につながる、ということだと思います。


コーチングやカウンセリング、Points of You®︎でワークをするときに期待できる効果も同じ。言葉にすることで、自分の中にある矛盾すでにある輝きに気がつくことができます。人間の胸の内は以外と整理されていないので、一度アウトプットしてみることが整理の第一歩になったりするのです。


「大した話じゃない」とおっしゃるのはおそらく、”インタビュアーの私にとって”という意味であり、心遣いなのだろうと思います。だけどそれはすでに判断(ジャッジメント)。分析者はインタビュー中にはあまり分析していなくて、時間を置いて、他のデータも合わせて、初めて分析モードに入ります。インタビュー中には気がついていなくても、分析中にデータと対話することでわかることがたくさんあるから、話されたすべてのことが宝物なのです。だから、なるべく話して欲しいのです。


これは結婚生活にも応用できる話ではないでしょうか。味噌汁に使う味噌、味付けの濃さ、洗濯物の干し方、モーニングルーティンやナイトルーティン、などなど。これらももしかしたら「(誰かにとって)大した話じゃない」と、相談することを控えている人がいるのではないでしょうか。

しかし、そうした感覚の違いや日々のすれ違いで離婚に発展する場合もあるのですから、「(誰かにとって)大したことじゃない」ことは実は”あなたにとって”は大問題なのです。そこを混同しては道を誤ると思います。

思わぬことが自分の大切にしている価値観と紐づいていたりします。なにが紐づいているかは、アウトプットしてみないとわからないものなのです。だから当事者同士の対話って大事なのです。


「(誰かにとって)大したことではないから」「私が我慢すればいいことだから」「こんな話は生産性がないから」といって、モヤモヤを見なかったことにしようとすると、自分が辛くなっていきます。健やかに生きていくために、自分と、他人と、向き合うことって人生に必要な要素だと私は思います。

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