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不条理と振動

病による不条理に振り回される私にとって、何かを紡ぐことは唯一の対抗方である。
不条理は私を支配しようとするが、私によって観察される不条理こそが私に支配されているのである。
しかしそこには確かに愛というものもあって、愛憎と言うのだろうか、それは救いである。
不条理は物語の1行目を語って去っていく。私はそこから続きの物語を描き上げていく。
私は自分の身に降りかかる不条理を作品に仕立て上げているように見える。しかしそこにその姿はなく、むしろその残り香すら残したくない。
誰しもが持ち得る非合理で無意味な状況は振動を持っていて、たちまち伝染してゆく。
それとは全く逆の愛の振動もまた伝染してゆく。
各々が各自の方法によって振動を伝えてゆく。その振動は目にも見えず肌で感じるものでもないが確かにそこらじゅうに溢れているのだ。
私たちはそれを持ち寄って社会という巣で温める。
そこから孵るものは果たして、愛か憎しみか。

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