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【おしえて!妊娠】 つわりがツラいっ!

つわりは妊娠初期の代表的なマイナートラブルです。
症状の程度においては、軽い方・重い方と個人差があります。
いずれにしても、何かしらの症状はあるようです。

食べると気持ち悪い
食べないと気持ち悪い
ニオイがダメ
胃がムカムカする

など、一般的には気持ち悪くなって吐き気(もしくは吐いちゃう)をもよおしちゃうような生理現象です。


つわりには個人差がある

経験上、胎盤が完成する16週までには症状がおさまるという方がほとんどですが、大抵7〜11週くらいがピークで12週になる頃には、かなり症状が落ち着き、食べたり飲めたりできるようになります。


とはいっても、中には出産するまでずーっと続いた、なんて方もいらっしゃるので、やはり個人差。なんとも言えないところではあります。


たかがつわり、されどつわり。
つわりでなくとも、「吐き気」や「吐く」ことって、ものすごくつらいですよね。二日酔いのムカムカや、吞みすぎた時の嘔吐を連想してください。この状態が日々つづくのです。

ね、つらいでしょ?

だけど、つわりとなるとそのつらさってスルーされやすくって、職場や家族にはなかなか伝わらないという現状があります。

さぼってる、なまけてる、病気じゃないのに

と、悲しいかな、思われがちなんですよね。

誰も好き好んでつわりを体験している訳じゃないのに・・・
なので私からのお願いです。
つわりでつらそうな妊婦さんが職場にいたら、やさしくフォローしてくださいね。パートナーの方はもちろんのこと。あたたかく、やさしくフォローは必須でお願いします。


つわりの原因

さて、このつわり。
なんで起きるの?って思いますよね。

残念ながら、現在の医学をもってしても、その原因は不明とされています。
ホルモンバランスが崩れるためという説、赤ちゃんを異物とみなすためにカラダが反応する説など、色々と言われているのですが、明らかになっていません。

酸素不足がつわりを重くするという説もあるので、どうやら鉄欠乏(貧血)もつわりに影響するようですね。
鉄だけでなく、亜鉛やマグネシウム、ビタミン、たんぱく質など、妊娠前から栄養不足、低エネルギー状態を改善しておくことが、つわりだけでなく妊娠継続の鍵になりそうです。


つわりから重症妊娠悪阻へ

気持ち悪くても水分がとれていればまだ大丈夫。

だけどひどくなって、食事はおろか、水分さえも受付けなくなり、嘔吐を繰り返していると…

重症妊娠悪阻

と言う病名、診断がつきます。
こうなると、ある意味飢餓状態、栄養不足になる訳ですから、入院し点滴治療が必要となります。

飢餓状態はビタミンやミネラルが不足します。(それだけではないけれど)
特にビタミンB1欠乏が長期にわたると、脚気(かっけ)やウェルニッケ脳症を発症する可能性が高くなります。

特に重症妊娠悪阻による急性ビタミンB1欠乏はウェルニッケ脳症を発症するリスクが潜んでいます。
ウェルニッケ脳症の症状としては代表的なものは運動失調。平衡感覚に異常をきたすので眼球運動障害などもみられ、ひどくなると意識障害・・・なんてことにも。

私の長い臨床経験の中で、おひとりだけ重症妊娠悪阻から産後にウェルニッケ脳症を発症した方がいました。
発症の確率としては非常に少なく稀です。私も教科書の知識しかなかったので、実際に発症するなんてと衝撃を受けました。


でも、安心して下さいね。発症は稀です。ビタミンB1を補えば改善するし、つわりを過ぎても、バランスの良い食事をしていれば、ビタミン欠乏は予防できますから。


水分を全く受付けなくなり、嘔吐を繰り返す状況が1日でも続いたら、病院に迷わず行って下さい。程度によって、通い点滴、もしくは24時間点滴(入院)になるかもしれませんが、点滴で電解質やビタミンを投与する治療をすることになります。

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病院に行くほどではなくて、なんとか飲めるし食べられる。
だけどしんどいつわり。
そんなつわりを乗り切る方法がいくつかあります。

一般的に言われているものや、すぐに実践できるものをご紹介しましょう。


ネガティブにならず食べられるものを

つわりの症状が出る時期は、赤ちゃんにとって大切な器官ができる時期でもあります。
この時期に食べれない事は、器官を作る邪魔になるものを食べないで!と赤ちゃんが言っているように感じませんか?
症状があるとそう考えられないかも知れませんが、食べられないことをネガティヴにとえすぎないですむような気がするのです。

たとえ、十分な栄養が一時的にとれなくても、お腹の赤ちゃんはちゃんと成長してくれるし、時が経てばつらい症状はおさまってくれます。


イオン飲料を水で薄めて少しづつ飲むようにしたり、果物、ゼリー、寒天などの喉ごしの良いものを食べてみる。
そして、食べすぎず、空腹になりすぎず。空腹で気持ちが悪くなることも結構あります。なので、少しの量を分けて食べるのです。



内関ベルトをつけてみる

物理的な方法もあります。
手首の真ん中あたりに「内関」と呼ばれるツボがあり、ここを刺激すると、吐き気が軽減すると言われています。
便利なバンドがあるので、お試ししてもいいかも。
オシャレじゃないけど、小豆や米粒をキネシオロジーテープで貼り付けても効果は同じですよ。


薬膳的オススメ食材

中医学では『つわり』の原因を、氣の巡りの悪さや、胃に水が溜まっている状態ととらえています。

氣の巡りの悪さ = 氣滞

氣滞は、精神的に不安定になり、氣の運動(流れ)が滞ることを言います。つわりの時期の不安定さは、ホルモンのはたらきの変化もあるのですが、初期の出血や、流産の経験などがあったりすると、妊娠の継続が不安になりますよね?そのような心配が心を大きく占めている場合だと、氣滞になりやすいと言われます。
さらに氣の流れが滞ると、氣の流れは本来のルートを取らず逆流します。

逆流 = 氣逆

氣が逆流すると、消化を助ける脾のはたらきが弱まってしまい、胃の中に水分が溜まった状態になります。
そうなると、いくら食べても本来の消化の流れ(胃から腸へ)には進まず、逆流して、胃がムカムカしたり、吐き気をもよおすのです。


食べられるのであれば、氣の巡りを良くする、行気・理気の食材を摂るようにしてみて下さい。
たとえば、レモンやグレープフルーツなどの柑橘系や、香味野菜です。
香り高い食材は氣を巡らせるはたらきがあります。

特に漢方で用いられるのは陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)です。
お味噌汁にちょっと入れて食べてみるのもいいし、ノンカフェインのお茶に入れて飲んでもいいですね。

特にオススメしたいのが「杜仲茶」です。
杜仲茶はノンカフェイン。

リン、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6

こんなにたくさんのミネラルやビタミンが豊富に含まれているんですよ!
ちょっと癖があって、苦手という声もきくけれど、妊婦さんに、いえ、現代人に必要で、不足していると言われている栄養素が、飲むだけでとれるなら、これ、飲んだ方が良い気がしません?

この杜仲茶に、陳皮や氣血を補うスーパーフードの「棗(なつめ」や「枸杞(クコ)」を入れた、カンタン薬膳茶を飲めば、つわりの時期の水分・栄養補給になります。

もちろん、妊娠中、産後と、日々の養生に杜仲茶ベースの薬膳茶を飲むのは、女性の方にはぜひとも続けていただきたい養生法でもあります。


アロマでリフレッシュ

アロマオイルは、妊婦さんには使えないものがあるので注意が必要です。
基本、このつわりに時期である妊娠初期は、使わない方が良いと言われているし、中医学での理気・行気作用のあるものは、良くないとも言われます。

芳香なら大丈夫というアロマ協会もあれば、絶対使わないでというアロマ協会もあるので、むずかしいところです。

なので、リフレッシュしたくて使いたいときは、必ずご自身の体調や状態にあわせることが大切になります。

たとえば、切迫流産と言われているとか、出血がつづいている、お腹が痛いなんて場合は、使わないでくださいね。


アロマを使う場合は、リフレッシュするにはハッカ油がおススメできます。
ハッカ油ならドラッグストアで20mlくらいのものが500~600円程度で購入できます。
使い方は、ハッカ油をティッシュに2~3滴ティッシュに垂らして枕元に置くだけです。

ムカムカする時に試してみて下さい。


レッグウォーマーで冷え対策

冷えは血液の流れが滞ります。
血液の流れが滞ると氣の巡りが悪くなり気滞となって、つわりの症状がひどくなると言われています。

なので、冷え対策を念入りにしましょう。

腹巻があれば腹巻を。
そして一年中履いて欲しいのがレッグウォーマーです。


横浜市立大学の中村幸代先生が、妊婦と冷えの関係について研究されています。中村先生は、冷えが早産や前期破水、微弱陣痛、弛緩出血などの異常分娩に影響を及ぼすという研究論文を発表しています。

私も以前、この研究のひとつ、助産師向け教育プログラム的なものを学ぶモニター的研究に以前参加して冷えについて学びました。
なんとなく、東洋医学的考え方な冷えって、科学的根拠がないと言われがちだったけど、この研究のおかげで根拠をもって妊婦さんにアドバイスできるようになったので、ここでもご紹介しました。

つわりの軽減だけでなく、お産にまで影響を与えてしまうことが分かっているのなら、レッグウォーマー、履いてみる価値、ありそうじゃないですか?

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いかがでしたか?
助産師の視点から、こんな感じで妊娠中のマイナートラブルについて書いています。お役に立てたらうれしいです♬

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罫線優しさ系


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パラレルキャリアをもつフリーランス助産師です。歩くパワースポットと呼ばれるくらい幸運体質な私が、妊娠/出産/子育て/女性の健康/の情報発信と日々のくらしのよしなごとをエッセイでつづっています。サポートしていただけたら最高にうれしいです!