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【Morfonica、輝く世界へ】迸る劣等感とギスギスの嵐、吹き荒ぶ天才と凡人の差【感想】

私はモニカのオタクである。Switch版でストーリーを追っている為、まだ1章までしか見ていないがその1章だけでそれなりの強火を拗らせたのだ。そんな大好きなモニカ1章の話をここに書き連ねるというわけだ。感想であり、来る2章でこんな爆弾がとんできたら良いなという考察であり願望であり、性癖をこねたものである。

モニカというバンドリにおいて異色のバンド

このストーリー、ひいてはモルフォニカというバンドは確実にバンドリの中でも好みが別れるバンドであろう。なんなら既存バンドと比べて最も毛色が違うバンドといっても過言ではないであろう。
なにはなくともとくにかもにも鬱屈としている。1章に関しては全編通してどこかで誰かの劣等感と苦悩が見て取れる。とかくまんべんなくギスギスとしている。透子という最強の優しいギャル属性のコミュ強を有してなおギスがすごい。
透子の存在は清涼剤でありながら、ましろの影をより際立たせる存在であると言える。明るさと人間関係の広さ、それから前向きさはましろとの対比として相当目を見るものがある。
モニカのストーリーは全体通して他人との対比という点に重きを置いている。そのためこういった真逆のタイプの人間や一見すると違うが本質は似ている人間やその逆といった様々な人間関係の対比が出てくる。これらの絡み合う関係性と変化の過程こそがこのバンドの魅力なのだ。
もちろん1章の終盤には明るくなる。そこへ至るまでの溜めが非常に鬱屈としておりこの溢れんばかりの負の魅力に魅了されたという次第だ。

暗さの原因


なぜそんなにも鬱屈としているのかと。その大きな要因として私が考えるものは2つある。それが【倉田ましろ】と【広町七深】の存在だ。
前者はシーズン1までのバンドリには存在しなかったキャラで、とにかく言い訳と責任転嫁が目立つ。1章における喧嘩の原因となった彼女のバンドメンバーへのダメ出しの嵐は非常に見苦しいものがある。私はそういった見苦しさが大好きなので最高であったがあまり一般的に好まれるものではないであろう。
また、彼女は自分が変わるきっかけ・自分の世界を変えたいという願望をもとにバンドを始めた。それがひいてはモニカというバンドを作りあげたことになる。ましろが始めたバンドで真っ先に抜けるのがこれまたましろという情けなさも本当にこれが愛おしい。
とかく1章においては彼女の思い付きとネガティブさが物語の中心にあるため必然的にネガティブめの話にはなりがちというわけだ。

次に広町である。これがまた非常に大きな存在である。彼女は天才である。そしてましろ、つくし、るいとバンド内に自身の才能のなさをコンプレックスとしているキャラが存在しているのだ。自分には何もないと嘆く傍らにはやればなんでもハイレベルにできてしまう天才がいる。そしてその天才が凡人を慰めたりするのだ。この歪なパワーバランスに快感を覚えられるか否かというのがモニカを好きになれるかどうかのターニングポイントですらあると私は考える。このバンド内のパワーバランス、目指す先の歪さは後述する。
そしてなぜ暗さが生まれるかというと広町がいることで努力の価値がおかしくなるからだ。なぜならば努力しても理想の自分になれないという苦悩のある人達の傍らで大した努力をせずともそれらを成せてしまう存在がいるということはある種その努力の否定のようにも繋がる。努力の否定が生まれるとどうなるかというと成就によるカタルシスが生まれなくなるのだ。
広町は自身の手によって生まれた成功を肯定しない。みんなに褒められることがそのまま彼女のコンプレックスに繋がるからだ。この構図が一体感を生まず、どこかちくはぐとした空気感を生み出す。

だがこれらが相まって終盤の[モニカとしての成功]を手にするカタルシスは素晴らしいものとなる。そこまでの溜めがこのようにあまりに異質でドロドロとしているからこんなにも雰囲気そのものが鬱屈とするのだと。それが最高なのだという話なのだ。

ましろとつくし、同じだけど真逆の2人

モニカと切っても切り離せないものにバンドテーマに「なりたい自分になる」というものがある。これこそがこのバンドの真髄である。
なりたい自分になる、ということが何を意味するかというとそれは今の自分はなりたい自分ではない。ということだ。この鬱屈としているからこその前向きさ、これはバンドリ内における唯一無二であり絶対である。1章の時点でどんな自分になりたいかということが明確に明かされているのはましろとつくし、それから例外的に広町である。透子と瑠唯にはそういった目標のようなものが漠然と明かされていない。

ましろとつくしは明確に自分の中にコンプレックスがある。ましろはそれに対して漠然と変わりたいという思いがあり、つくしは明確にどんな自分になりたいかというビジョンがある。この2人は似たもの同士でありながら対象的な存在である。それはストーリー中からも伺える。
なりたい自分はあるが言い訳と責任転嫁で逃げてばかりのましろとなりたい自分になるために努力をしているという真逆の性質があり、2人ともなりたい自分にはなれていないという同じ性質がある。つくしがましろに怒るシーンは自分と似たものであるからこその怒りである。
自分が逃げていないから、真っ向から理想と向き合って努力しているからこそ逃げ続けるましろが許せなかったのだ。そういった感情の動きが読み取れる。
できなかったらまわりのせい、そうすれば楽だがそういった楽な道を選ばず努力をしているつくしだからこそ本気で怒ったのだ。あの場面で初めてつくしが見せる「私だって自信なんかない」という本音の弱さを見せるのが本当に素晴らしいのだ。
自信がないからうじうじとしているましろと自信はないけど堂々としているつくしの対比がわかり、お互い本当は自分に自信がない同類であるということも分かる。この2人の関係に関しては確実にまだ爆弾が残っていると断言できる。

つーちゃんとかいう性癖の爆弾


つくしの序盤から一貫して頼れる人間であろうとする姿があり、生徒会への書類へのミスで実はいうほど完璧な人間でないということが発覚し、アトリエでみんなに自分に自信ないと告白するまでの流れはあまりに美しい。コンプレックスがあり、理想の自分がいるので理想へ近づけるよう努力を惜しまない。私は表向きは非常にキラキラしているがその実内面は拗れに拗れた意識高い系ストイックモンスター女が大好きなのでこのつーちゃんの属性盛りには性癖ド真ん中を撃ち抜かれたと感動した。特につくしの場合は誰と競っているわけでも憧れている誰かがいるわけでもなく、純粋に理想の自分を追い求めるだけでここまでの意識を持っているのでこのまだなにかあるのではとすら思わせる理想の高さには期待せざるを得ないところである。
またバンド内における役割分担の話においてもつくしには漠然とリーダーという肩書しかなかったのでこのあたりの掘り上げ、その立ち位置を活かした話にも期待できる。
1章中では明かされていないがキャラエピソード等で頻繁に現れるつくしの妹ちゃん達とのお姉ちゃんエピソードもそんな頼れる姉であろうとしている姿が伺える。ここまで頼れる自分であろうとすることは家族関係という点に関しても何かがあると考えて良いであろう。あまりにも楽しみがすぎる。
そしてなによりこんなに気高く理想を持って美しいのにあんなにもロリロリしい見た目と中身をしているのが最高なのだ。これは完全に私の性癖である。頻繁に出てくる「おうち」や「ちょうちょ」といった口調の幼さにシンプルな見た目のやわらかさ、そしてプロフィールの圧倒的子ども舌には涙が止まらない。ある意味で子どものように理想に対して疑いを持たず邁進できる無垢さの表現であるようにも取れるがそれはそれとしてやはりこのバランスは神がかっている。

才能に悩む凡人の中に入った本物の天才

広町に関してはこの見出しの言葉が全てと言えよう。モニカ1章には頻繁に才能に関する話が出てくる。瑠唯と広町との会話やましろやつくしの嘆きが特に顕著であろう。
自身の才能のなさに悩む凡人が半数を占めるバンドにやればなんでも一般以上にできてしまう天才がいるのだ。凡人であること、才能のなさがコンプレックスである連中の憧れる天才がすぐそこにいる。そしてその天才はその才能があることがコンプレックスなのだ。なので広町はましろたちに憧れられる立ち位置でありながら、彼女たちを羨んでいるのである。才能がないことを羨ましく思っているのだ。この歪さにして目に見える明らかな爆弾が私は嬉しくてたまらない。天才と凡人という対比がそもそもの性癖であるのに更にそこから踏み込んでお互いにお互いのコンプレックスである部分に憧れを抱いているというのが素晴らしい。
これは後々にして間違いなく爆弾となる要素であろう。なんならば1章の時点でその片鱗は見えていた。やはり実力も才能も他のメンバーと比べてずば抜けている為、そして私自身が見てきたバンドリシーズン1のストーリーを思うにこういったキャラのウィークポイントは的確に突いてくるであろうと考えられる。そうなったときに周囲が広町の圧倒的に非凡な才能に対してどういった目を向けるのか、また本人自身がそれをどう思うのかといったところが非常に気になる。
この才能というものに対する認識の違いと溝が1章においては触れられるものの爆弾とはなり得なかったのでそれはまだ今後起爆の可能性があるということである。
そういった才能との向き合い方がこれからどう変化していくのかというところがあまりに楽しみである。

瑠唯の離脱フラグとかいう爆弾とコンプレックスがないということが異質な透子

バンドストーリー1章において瑠唯はこれでもかと言わんばかりの離脱フラグを残している。そもそもなんせまだ瑠唯が暫定的な参加ということで完成されているとは言えない。更にあくまでもまだ確かめるために参加をしているというだけに過ぎないのでいつそこの見定めが終わるのかというのは必ずやるであろう。その際に瑠唯の話していたピアノ引きの話もくるのであろうか。それとも広町との話がくるのであろうか。疑問はつきないし楽しみも尽きない。
疑問がつきないという意味であれば、透子がこれからどのような方面で掘り下げされていくのかということも非常に気になる。1章において彼女はなりたい自分があるのかという話をしなかった。おそらく現時点ではそういったものはないのであろう。作中通して彼女からはそういったコンプレックスのようなものは感じられなかった。今の自分が最高である、そういったスタンスを見て取れた。だからこそバンドテーマであるなりたい自分になる、というところをどういった形で回収してくるのかというところが非常に気になる。

あくまでも暗さは"溜め"であり"スパイス"

陰鬱であるとはいったがやはり1章終盤に生まれだす明るさが美しい。最初と最後でましろの心境の変化があったことをちょうちょへの認識の変化で魅せてくるのも流石に芸術点が高い。
つくしが強がりばかりだけでなく、段々とみんなに自分の弱みを見せていく過程も素晴らしい。やはりなりたい自分への変化というテーマである為、多くのキャラの心情の変化は力が入っており素晴らしい。そんな中で唯一本当に清涼剤となる透子が王道の努力による変化が清々しく気持ちが良い。
瑠唯がバンドメンバーになるまでの流れもなるほどなかなかどうして面白い。限りなく屁理屈に近い説得でメンバーになるのが面白い。なによりも瑠唯に関しては前述した要素がある為この後の変化が楽しみになるので1章での種まきはかなり多かった。

やはりそれでも個人的には前述したつくしと広町の今後の変化が最も気になる要素である。特につくしは見た目も性癖見た目も性癖やってることも性癖。これは本当に期待が高まる。

本当に全編通してギスギスで鬱屈としている。が、だからこそ後半からの明るさへの転調とカタルシスには尋常でない熱さと美しさがある。2章があまりにも楽しみすぎて毎日Switch版の新規燃料を心待ちにしている。
本当に続きが楽しみだからこそ、そう思わせたモニカ1章の面白さは特筆せざるを得なかった。
私はパスパレのオタクである為こういった迸るギスの嵐が非常に好みであった。ギスという点にスポットすればモニカ1章は流石に他の追随を許さない濃厚さがあった。
本当に今後が楽しみであるのでSwitch版バンドリのストーリー追加だけが生きる道標と化してゐる。

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