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こんにちは。Kiwi PRの植田聡子です。

秋は観光業界の繁忙期です。やってもやっても仕事があります。
そろそろ「やるべきこと」「やらないほうがいいこと」にフォーカスしていく時期だなと感じております。それはまた今度お話しするとして。

今日はドラマや映画のロケ地誘致について書いてみたいと思います。

ロケ地巡りは「聖地巡礼」とも言われ、その作品のファンにとっては全てが愛おしく見える場所となります。最近は忙しくてすっかり遠ざかっていますが、かつて私も韓流ドラマにどハマりし、ソウルのロケ地巡りを楽しんだものです。

いろいろな地方に行っていると、よくこんな声を聞きます。

「うちの街で***の映画を撮影してほしい。誘致したい。」

それはなぜそう思うのか。その作品の人気にあやかって、観光客に来てもらいたいからですよね。観光客に来てもらいたいなら、観光商品を作ればいいのに、なぜロケ地誘致をしたいと言うのでしょう。

それは、「特段観光商品はイケてないけど、観光客に自分たちの街に来てほしい」からなのです。つまり「観光商品を磨き上げてもうまくいかないから、ロケでなんとか訴求したい」という、まあ割と都合いい、希望的観測強めのリクエストなのですね。

ロケ地を誘致すると言うのは、単に場所を提供するだけではありません。

  • ロケに適した場所を探す

  • 様々な撮影許可申請

  • 食事、移動、宿泊の適切な情報提供

  • エキストラの手配

  • 地域住民への説明

  • プロモーションに関わる知財の権利関係調整

これらをワンストップで行う「フィルムコミッション」という組織を行政を主体で作っていくことが必要です。単に、いろんな手続き先を教えてあげるだけでたらい回しにするのではなく、フィルムコミッションで全ての手続きを一元化することが大事です。

そしてフィルムコミッションとして、作品を選り好みしないということも必要な考え方。ロケ地として協力する以上、どうせなら「人気が出そうな作品がいいな」などと妙な欲を出してはいけません。

制作側としては、もちろん最初から「ヒットしない作品」を目指す人なんていません。それでも、最初から大御所である人もいないのです。
街に明らかなマイナスをもたらすという判断がないなら、作品の内容やバリューにはロケ地として判断要因に含めないということが大事です。

また、ロケ地となった場合、その後のプロモーションに必要となるのは知的財産権、IPに関する調整です。ロケ地としてその先プロモーションするためには、知財の扱いについて、事前に調整しておかないと、PRのタイミングが大幅に遅れてしまいます。

日曜劇場「VIVANT」が島根県でロケ地として活用された際のプロモーションはこちら。タイミングも最終回前後の「VIVANT」ロスが騒がれていた頃にはしっかり情報発信が行われていました。

ロケ地を誘致したいなら

  • 受入体制を整える(場所だけ提供はNG)

  • 作品の大小にとらわれない

  • 許可申請などさまざまな協力により、制作サイドといい関係を構築する

  • 知的財産の調整は早めに

フィルムコミッションは現状全て、何らかの行政がシティセールスと絡めて実施しています。民間事業者が稼ぐ目的で、調整をマネタイズするビジネスモデルではありません。

そして、そのフィルムコミッションを全国で一元化して紹介するサイトや団体もあります。ロケ地を探す場合はそのようなサイトと連携することも一案です。

最後に。ロケ地もすでに国内のみの閉じた市場ではありません。NetflixやAmazon primeでロケ地を探す制作サイドもグローバルになっています。多言語対応までは難しいとはいえ、日英サイトを用意すると、他のエリアと差別化を図ることも可能ではないでしょうか。


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