都庁から離れたから行政と向き合える

こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。

都庁を辞めてもうすぐ2年。「後悔してませんか?」と質問されました。

「全く後悔してないです。むしろもっと早く辞めても良かった気もしますが、オリンピックに関われたことも考えると、あのタイミングでした。」

と答えました。

うまく言えないけれど、国や自治体、民間企業の人とも多く話すと、これまで都庁で当たり前だったことがいかに「都庁独特」だったかを改めて思い知らされます。都庁や行政を否定するつもりはなく、むしろ離れてから、自分の立場で何ができるだろうかと常に向き合っている気分です。

他の役所がどうかは知りませんが、都庁において「越権」は非常に嫌われる行為でした。「これ、いいじゃん!」「あの部署と一緒にこんなことやれたら面白くない?」と他部署に持ちかけても、まあ怪訝なお顔です、大抵。

「よその部署のお前が何を言う・・・」

そう言いたげでしたね(遠い目)

いやいや、同じ局じゃん、何なら同じ部じゃん!!

たまにそういうのを「いいね!」と乗ってくれる人もいるのですが、基本マイノリティーです。部署横断プロジェクトのようなことをする余裕もなく、目の前にあるto doに精一杯。当たり障りのない範囲で無難なコミット。

先日、メディアでも取り上げられている流山市のマーケティング課長のセミナーを拝聴しました。

成功事例として取り上げられていますが、河尻課長のお話では、マーケティング課は少数精鋭たった3人の組織で、組織内でも別に特段の優遇があるどころか、「面倒なことを言う部署」と思われがちのようです。

そうだろうなぁと思います。

役所で外からの違う風を取り入れて、「いいね、やろうよ!」という人々は少数派で、「粛々と」(この言葉、ほんと役所の人大好きですよね・・・)進めたい穏健派が多数です。でも、去年より何か一つでも二つでも改善して成長して、何ならドラスティックに変えてみるでもしないと、もう時代のスピードが早過ぎて追いつかないです。

東京都は、人口も何かしなくても増え(コロナ禍で転出超過とはいえ、他県はそんなレベルじゃなくガンガン若者が出ていっている)、税収もなんとなく入ってくるし、どこかの県とライバル関係みたいなのもなく、まあ無双状態。

でも、流山市しかり、地方基礎自治体は社会課題に向き合いながら、少ない予算と人員で工夫してるんだなぁと改めて感じました。

こちらは広報をお手伝いしている福島県富岡町教育委員会とNPO法人inVisible
のプロジェクト「PinS=プロフェッショナル イン スクール」

「教えない教育」と銘打って、人口減少が著しい富岡町の小中学校に、転校生としてプロのアーティストがやってきます。子どもたちと関わりながらプロフェッショナルから何らかを学んでほしいという、あくまで「教えない教育」。このプロジェクトを通じて、実は学んでいるのは子どもだけでなく、教員の方々もなんだと実感しています。

指導要領に基づいた教育、やることいっぱいの学校現場、ついつい目の前のことに追われがちな先生方がプロフェッショナルと触れることで、「そもそも『教育』って何だっけ?」とガンガン刺激を受けている変容が手に取るようにわかります。

こんなことも都庁にいると、なかなか感じ得なかった話。公務員だったけど、異動するごとにその事業については深く理解しようとしてたけど、結果視野狭窄

仕方ない部分でもあるのです。だってみんな忙しいから

でも、ミクロの視点とマクロの視点を持ち合わせたら、もっとトランスフォーメーションが進むわけで。

DXするぞ!って「DXすること」が目的ではなくて、それは手段。「DXして、こういうふうにしたいよね」とビジョンを共有することから始めたいですよね。

自治体の視野を広げるお手伝いをしながら、一緒に知恵を出して取り組んでいくのがGR=Government Relationshipだよな、と思った祝日の朝でした。



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