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「判断と実行について」

大衆から共感されるような、大ヒット映画のありきたりな展開からでも、学べる事は意外と多い。

最近は、特にそう思う。

映画のあらすじ:
主人公は、仕事も人間関係も、「周りから見れば」とても良好で、羨ましがられています。
主人公は、自分のやっていることに毎日全力で取り組み、次第に周りが見えなくなっていきます。
目の前のことに精一杯で、ストレスを感じたり、イライラするようになって、時に人に当たってしまったりして、人間関係などに支障をきたしていきます。
ある時、ふと主人公は、自分のやってきたことを振り返り、自分の人生について考えます。
そもそも何になりたかったのか、なぜ今、目の前のことに夢中になっているのか、などを俯瞰した状態で考えるのです。
そして、本当に大事な事に気づき、それに向き合うのです。
誰もが羨むような社会的評価や、レールなどを投げ捨てて、第2の人生を歩み始めるのです。

このような展開のストーリーは、映画だけでなく、リアルのエピソードとしても、聞いたことがある。

今思い返しただけでも、3つ頭に浮かんだ。

きっと時間をかければ、もっと出てくるだろう。


ということは、この手のありきたりなエピソードから教訓を得ることで、多くの人が体験するようなありきたりな失敗を避けられるわけです。

ここで、得られる教訓というのは、
「本当に大切なものを、見失ってはいけない」とか、
「周りに流されて生きてはいけない」ということだけではない。

もっと、別の角度の気づきを与えてくれるかもしれない。

つまり、私たちは、自分の中に2つの「状態」を持っているということ。

それは、「俯瞰している時」と「のめり込んでいる時」の2つ。
言い換えれば、判断と実行。

そこで、重要なのは、自分の中に2つの「状態」があることを認識して、意識的にそれを切り替えることだと思う。

壁にあるスイッチで、部屋の電気のONとOFFを切り替えるように。

なぜなら、それぞれの「状態」には、長所と短所があるからだ。


「俯瞰している時」というのは、さまざまな情報や自分の行動を客観的に観察し、考察できる。

例えば、振り返りをして計画を立てたり、自己分析をしたりなど。

この「状態」のメリットは、自分の状況や目的に合った仮説を立てて、意思決定ができることだ。

納得感を持って、判断することができる。

また、自分の強みや弱み、改善点や課題を把握するのにも役立つ

新しいアイデアが思い浮かぶのも、こういう時だったりする。

だから、時々少し立ち止まって、自分がやっていることを一歩引いて見ることも、とても重要なんだと思う。


しかし、このモードの短所は、考えすぎて実行が疎かになることだ。

答えの出ない問題に対して、あれこれ悩んだり、考えすぎたり、迷ったり、不安になったりもする。

そうしていると、いつまで経っても実行に移せなくなる。

長い時間をかけて考えれば良い、ということでもないみたいだ。

時間が経つほど、実行の伴わない机上の空論になってしまうことも結構あるから。


一方、何かに「のめり込んでいる時」というのは、目の前の興味や仕事に集中して、熱心に行動するものだ。

夢中になって何かを実行している時、そして物事が前に進んでいる時は、やりがいや達成感が得られる。

何より、仕事でも勉強でもあらゆる事に共通して、実行がとても重要だ。

熱心に実行し、継続できるかどうかが、結果に大きく関わっている。


しかし、この「状態」の短所は、そもそも論を見失ってしまうことだ。

行動の理由や自分の軸を忘れて、ただやっていることに夢中になって、形式的になってしまうことが、往々にしてある。

もしくは、それとは反対に、実行することが不安で、迷ってしまって、何度も立ち止まって考えを整理してしまうという問題もある。

それでは、物事は前に進まない。

でも、「俯瞰している時」に考えて判断したことを信じて、実行にのめり込む事は、実際けっこう難しいことなんだと思う。

つまり、のめり込み過ぎても良くないし、実行に振り切れないと物事が前に進まない、という2つの問題が同時に存在する。


より実践的なポイントは、この2つの状態を意識的に切り替えて、それぞれに適した振る舞いをすることだ。

俯瞰している時は、明確なイメージを持って、「なぜ・何を・どれくらい」実行するのかを設定する。
のめり込んでいる時には、実行を重ねながら「どのように」進めればいいかを掴んでいく。

これらの振る舞いを、曖昧にしてはいけない。


この1週間のゴールはなんですか?

俯瞰して考える時には、具体的なゴールをイメージする必要がある。

そうすることによって、現状と目標のギャップが明確に分かるから。

さらに、ゴールが明確に設定されていると、実行する中で迷ったり、考え直すことも減る。

そうすれば、実行にのめり込んでいる状態では、「どのように」進めればいいかを実行しながら掴んでいくことに専念できる。

だから、「なぜ・何を・どれくらい」実行するのかを、できるだけ明確に設定することが大切だ。

そして、次に「俯瞰して考える」タイミング、つまり振り返りをする時を、決めておく必要がある。


あとは、走りながら考えること。

考える時間は無限ではないので、時間制限を設けて、それが過ぎたら、しっかり手を打たないといけない。

重要なのは、むしろ、進めながらしっかり問題に対処することだ。

一つ一つの問題に対処し、実践を繰り返して、ルーティンにまで落とし込んでいく成長の過程が重要になる。

そして、のめり込んでいる時は、「なぜ・何を・どれくらい」実行するのかについては、考えない。

疑わないことだ。

だって、そこ疑い始めたら、キリがないし、先のことはどこまでいってもわからないし、不安になるだけだから。

自分の判断を、信じて実行すること自体が成功体験になる。

何より、意思決定や仮説は、信じて実行してみないことには、それが適切だったかどうかが評価できない。

うまくいかなかった時に、判断が良くなかったのか、信じて実行しきれなかったのか、分からくなってしまう。

なので、まず進みながら、信じて実行しながら、同時に「どのように」進めばいいかも学んでいく必要がある。

1度自分で判断したら、次に「俯瞰して考える時」まで、ひたすら熱心にのめり込むことだ。


でも、それらを意識的に行い、切り替えるのは、実際けっこう難しい。

これら2つの「状態」の境界が、曖昧になりがちなんだ。

大抵、色々考えているときは、実行に移せない。
考えれば考えるほど、実行できなくなる。

これには、時間制限があることを強く意識しないといけない。

それは、トランプや麻雀をプレイするように、
ゲームの流れや暗黙の時間制限があって、自分の番が来たら手を打たないといけない。

2、3日も考えていられないんだ。

一方、目の前のことに夢中になっているときは、まず何より信じて実行にのめり込むこと。

そして、そもそも実行が意味あるのか、形だけの実行をしていないかなど、立ち止まって分析・改善する機会を、定期的に設けることも重要だ。

その上で、のめり込んでみたけど、そこでの体験や現在の状況を踏まえて、別の道に進むという判断ができるかも重要になる。

時間や労力、お金を費やしてしまって、撤退や損切りができずに、止まれなくなった状態は、個人でも会社でも、少なくない。

実行を拗らせてしまうと、頭で分かっていても止まれなくなってしまう。


きっと誰かが判断してくれることなら、それを信じて実行すればいいんだと思う。

でも、自分で何かをやるということは、自分で意思決定をして、それを信じて実行しないといけない。

だから、2つの状態を意識的に切り替えて、振る舞いも考えることも変化させる必要があるんだと思う。

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