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桜が散って、終わった春

4月1日、今年の桜は咲き始めくらいだった。その日、義母が飲んだり食べたりできなくなっていると連絡があった。2週間の点滴後は①中心静脈栄養という、カルーテルで栄養を直接注入する延命治療(平均余命8カ月)をするか、②何もせずにその時を待つか(平均余命5~10日)の2択を提示され、夫と義姉が数日かけて相談して②を選択。
今年の4月は、その時が来ることを受け入れ、どうか苦しみが少なく済むようにと祈り、連絡を待つ…という、今までに経験したことがない時間を過ごすことになった。

4月21日の23時過ぎ、最後の点滴から5日後に義母は逝った。土曜日だったこともあり、最愛の娘と息子に見守られながら。

今年は桜が遅かったので、私の住む地域ではギリギリ桜が残っていた。その時が来る時期が大体分かっている…という特殊な状況だったので、「戒名に良さそうな漢字が思い浮かんだら教えて」と夫に言われており、控えめで優しい色合いや雰囲気のイメージが義母にピッタリだと思ったので「桜はどうかな?」と伝えていた。正直、今まで戒名に何かを感じたことはなかったけれど、「桜」の文字が採用された義母の戒名には、自然と愛着が湧いた。

葬儀を済ませて、一段落したら疲れがドッと出て2日ほど何もせずグッタリしてしまった。気づいたら、夏が始まっているかのような陽気。なんだかずっと義母で埋め尽くされていた今年の春が終わった。数日で桜は完全に散っていて、義母がタイミングを見計らったのかもしれないな…と思った。来年からは桜の見え方が変わるけれど、毎年、桜とともに思い出されるなんて、いいなと義母がちょっと羨ましい。

本当に優しくて、一度も嫌だと思ったことがない奇跡のお姑さんでした。ありがとうございました。合掌

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