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果報プロデュースvol.1『ナイゲン』

果報プロデュースvol.1『ナイゲン』

作・演出
富坂友(アガリスクエンターテイメント)

2019/10/16〜10/21
@花まる学習会王子小劇場

10/17 昼公演を見た!

たまたま目にしたフライヤーが可愛かったので安直に観劇。面白かったー!見た後の爽快感がすごい。

ある夏の日、国府台高校では文化祭の内容を決める内容限定会議-通称ナイゲンが行われていた。惰性のままに終わりを迎えるかに見えたが、終了間際にひとつの知らせが届く。

「今年は、一クラスだけ、文化祭でのの発表ができなくなります。」

騒然となる会議は次第に様相を変えていく。どのクラスを落とすのか?!!かくして会議に不慣れな高校生たちの泥仕合が始まった...!


当たり前のことかもしれないけど、ナイゲンが正々堂々と言論をできる場であったことがとても素敵だと思った。

意見を通すための手段は真っ向勝負、だまし討ち、誘導尋問すらあり。汚いと言わざるを得ないものも中にはあるけど、そこまでして守ろうと戦う心意気そのものが美しかったように思う。そしてそれを受け止める体制が場にいる皆にあったのもとても美しい。ルール遵守なのも美しい。

観劇中は、舞台をコの字型に囲む客席の感じから見ても、会議を傍観する立場という意味でも、国会中継見るみたいだなと思ったりもしてたけどちょっと違うな。国会では質問の意図からずらした回答してはぐらかしたりするのが常套手段で、正々堂々と対話する雰囲気全然ないから。いかに時間を稼ぎ逃げを打つかが勝負だし、平気でルール改変するししらばっくれるからなあいつら。どれかって言うと、スポーツ観戦の印象だったかなあ。「スポーツマンシップに則り」感が満載で。ルール遵守で正々堂々と、テクニックなりパワーなり各々に持てる力を使い、時には協力して戦う。

だから観劇後にとても爽やかな気分になったのかも。

自分もつい3年前まではああいう時期があったわけで、クラスの出し物を守りたい理由もわかるし権力からの圧力、学校の息苦しさもわかるから。他人事に思えないし、全員を応援したくなった。

青春だあ。

散々戦いあった後に全員で共闘して解決策を模索する流れもアツくてよかった。さながらエキシビションマッチ。

個人的にはどさまわりさんの、一見清廉に人々のことを考え理想を追い求めているかのように見えながらも、大きいものをみすぎて足元が見えていないその愚かさとか、その頑固な意思を貫く強さとか、本人はそのつもりではないのだろうけど結果的に正義で暴力を振るってしまっている自己矛盾感がすごく人間臭くて好きだった。君は生きづらいね......選んだ席のポジション的にも、彼の頑固な背中を真後ろから見れたのも運がよかったなあ。すごく重たい存在感があった。好き。

あと特に、議長役の方の「なんでもない人間」感も好みだった。きっとクラスに4、5人いる。出そうとしたって出せない自然な雰囲気。

他の役者さんも、それぞれにキャラクターが立ってて、汗だくになるくらい必死に生きていてとても好印象だった。

やっぱ演劇楽しいよね、と素直に思える公演でした。

#観劇録 #舞台感想 #演劇感想 #小劇場 #コメディ

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