やりたいことの発見にも、収束と発散を使い分ける。

人生は葛藤の連続で、その度にどのように意思決定を行うかは常に悩ましいものです。五里霧中。そんな状況で頼りになるのは、違和感か納得感という自分の直感によるコンパスくらいです。

個人的なお話を少しすると、つい最近まではやりたいことが明確で、キャリアプランを5年くらい先まで描けていたつもりだったのですが、思考と行動を進めるうちに、一周回ってまた分からない状態に戻ってきてしまいました。振り出しに戻ったのです。もちろん、また同じプランに戻ってくるかもしれませんが、どちらにせよ、もう一度リーズニングして腹落ちさせ直す必要があると思っています。

もちろん直感で「やりたいこと」を大事にし、どんどん行動を進めるのも大事なことですが、キャリアのような長期プランの場合は、僕は直感だけでなく、哲学的/理論的にもある程度深みに入って、理性でも納得できる形に落とし込むことが必要だと思います。それくらい心の底から行動に納得できていないと、満足に時間と労力を投資する気になれず、結果を出せないと思うからです。

直感だけではなく理論的にも行動を腹落ちさせるためには、自己分析が必須だと思っています。大人になるにつれ、社会の声により耳を傾けるようになると(それは社会性に繋がるものであると共に、自分のやりたいことを実現する上ではノイズにもなります)、自分の心の内にある声を、聞き取りづらくなる(Steve Jobsも言った"Your own inner voice"のこと)。そうすると、ノイズを除去し心の内の声に耳を済ますためのメソッド=>自己分析が必要になります。

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結論から言うと、「人生において自分のやりたいことに取り組んでいく」というプロセスは、収束と発散の二段階を使い分けることを意識した方が、効率的に進んでいくのではないか、というのが私の仮説です。少し使い古された言い方にはなりますが、「選択と集中」の二段階を意識することでもあります(この言葉の過信に対する批判もありますが)。

この収束と発散という言葉は、Design Thinking(デザイン思考)から持ってきた言葉です。

自己分析なるものも、自分の人生を「デザイン」するためのものですから(人生設計ですね)、至極当然のことかもしれません。ただ、これを紙のキャンパス上ではなく、実際に思考と行動を進めていくことで行うのが違いです。

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では、まず「自分のやりたいことが全くわからない」という状態からスタートすることにします。私が、この状態から行動計画を決める際に行うべきと考える思考プロセスは次の通りです。

現在の自分に必要なことを、思考と行動の2つに分けて考えます。なぜなら思考と行動のバランスをとることが大事だと考えるからです。

まず思考について。徹底した自己分析が必要になります。自己分析の手順はいくらでもメソッド化されていますが、私はBusiness Model YOUという本を頼りにしています。

特に注目したいのは「自分のやりたいこと」だと思います。これは哲学的に深化し、理論的に納得できるようにする部分だけでなく、熟考せずに直感的にYESと言えるような行動も含めて、2つの観点で考察が必要です。

自己分析の結果、やりたいことが定まらなくても、ある程度思考を出し切ったと思ったら、今度は壁打ち、つまり他人へのアウトプットを行います。ブレインストーミングでは他人と会話しますよね。そのプロセスを人生設計において行うには、人に対してやはり自分のやりたいことやビジョンをアウトプットせねばなりません。他人から良い質問をもらい、よりWHY?を掘り下げてもらうことや、フィードバックを通じて新たな気づきを得ることが目的です。ただここで注意せねばならないのは、ブレインストーミングと同じように、アイデアの「発散」段階では現実的な思考や批判は排除せねばならないことです。人生設計においては、あなたのアイデアを頭ごなしに「現実的な視点」で潰しにかかるような人にこれを相談しないことだと思います。

そこでさらに思考を深めたら、発散した様々な思考を順に見ていき、「共通の法則」を見つけようと努力します。アイデアを整理し、そこから帰納的に導かれる傾向を探す。そこから、少数の選択肢を導き、いよいよ思考の段階から一旦、「行動」へと移ります。ここが収束の段階で、ここの切り替えは意識すべきだと思います。

行動を実際にローンチして、そのプロセスの中で感じる心の声に耳を澄まします。違和感や納得感を敏感に聴き取る。ただし行動をする際には、「集中」がとてつもなく大事だと考えます。多様な行動をし経験を積むことは大事、けれども自分が今、「やりたいことを探すためにアイデアを発散させている」のか、それとも「心の声に耳を済ますために行動しているのか」の区別はきちんと出来ていなければならないと思います。たくさんのことに手を出し、キャパシティを大幅に超え集中もままならない状態では、心の声に耳を済ますことができなくなると思うからです。体も心も悲鳴をあげるからです。

これについては、Essentialism(エッセンシャル思考)という本を高校生の時に読んで感化されました。

収束と発散のプロセスをきちんと意識すれば、良いチャンスを逃したとか、経験の種類が足りなかったという事態には陥りづらいと考えます。なぜなら、行動の選択の前に、思考を入念に繰り広げることで多様な選択肢を検討しているからです。高いレベルで納得感を抱けないような行動は、思考の段階のうちに見極め排除します。

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デザイン思考では、収束と発散のプロセスを繰り返します。人生において、自分が取り組むことを理想的な「やりたいこと」に近づけていくための人生設計においても、この二段階の使い分けを意識しつつ、繰り返していくことが大切ではないでしょうか。

「理想的なやりたいこと」と言ったのは、人間である以上、完全な解が見つかるとは思っていないからです。完全な三角形とか真円というのが理論上の存在でしかないのと同じように、完全な「やりたいこと」ではなく、きっと「最適解」、しかも「ローカルな(局所的な)最適解」を見つけるくらいしか我々にはできないのかもしれません。それでも、一度きりしかない人生において選択する行動には、一切妥協したくない。

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まとめます。自己分析の段階では、アウトプットを繰り返し、可能性を広げていくことが大事(発散、つまり選択の段階)。そこで納得感を一度獲得し、行動に移すフェイズに入ったら、一切の無駄を排除し、集中することが大事(収束、つまり集中の段階)。この二つを使い分けつつ、プロセスを繰り返していくことで、「やりたいこと」の最適解に近づいていけるのではないか、という仮説です。こうすれば、自分の目標に迷うことはあっても、行動に迷うことを少なくしていけるのでは、と考えています。

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*9/10 追記:プロセスについてもう少し分かりやすく整理します。

(1) 自己分析
(2) 自己分析による課題・テーマの発見
(3) そのテーマについて、ブレインストーミング(アイデアの発散)
(4) 他人への共有・リサーチによるアイデアの洗練/ブラッシュアップ
(5) アイデアの選択(収束)
(6) 行動をローンチ、行動を振り返りアイデアを検証
(7) アイデアが確定したら、ふたたびそのテーマに応じてブレインストーミングからやり直し、集中度を高める(以降繰り返し)


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Takuma Furukawa

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