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「発酵ツアー」体験記 in 新潟長岡

はじめに

日本酒のハイブランド「SHIROKIMONO」などを展開し、発酵アートに取り組む希JAPAN株式会社(新潟県長岡市)が主催したユニークな「発酵ツアー」に参加しました。


米どころ長岡を中心に、味噌、醤油などの発酵技術を使った特産品だけでなく、魚と野菜を並行して養殖・栽培する画期的なビジネスモデルや、環境保全の観点から新たな注目を集めるテント(膜構造技術建築物)の最新事情など、美味しい料理とともに、企業訪問もあり、深く楽しめる視察旅行でした。

発行ツアー初日

ツアーは8月4日から3日間で開催されました。
前日、日本三大花火大会の一つ、長岡大花火大会があったため混雑する長岡駅前から車に乗り込み、昼の腹ごしらえにそば処、長岡小嶋屋本店に。

へぎそばと蕎麦の麺つゆをベースにした独特のソースをかけた「タレかつ丼」は、2時間近く待った甲斐がある味でした。

新潟名物:タレかつ・へぎそば

長岡の偉人たち

長岡出身の偉人というと、河井継之助、米百俵の小林虎三郎、山本五十六などが挙げられますが、その河井継之助記念館にも立ち寄りました。

藩の組織、財政改革を進め、武装中立を目指しながらも幕末の戊辰戦争に巻き込まれ落命した河井継之助は、司馬遼太郎の小説「峠」で親しみがあり、その碑のある悠久山にも足を伸ばしました。
(なお、この小説は昨年「峠 最後のサムライ」というタイトルで映画化されています)

河井継之助邸跡にある記念館

発行の聖地へ

ツアー本題の発酵の聖地に向かいます。
着いたのは摂田屋地区。長岡では古くから味噌、醤油生産が盛んでした。

その伝統を基に、日本酒と果物を使った新しい商品や、酒粕の発酵ジェラートなど、現代風にアレンジした美味しさを求めた特産品が生まれており、歴史の香りのする醸造工場や蔵元などの街並みを眺めながらの買い物と散歩が楽しめます。

摂田屋地区
様々な発酵商品が並ぶ

最新サステナブル:アクアポニックス

次に伺ったのが株式会社プラントフォームです。
見学したのはチョウザメ養殖施設でした。

キャビアが取れるチョウザメは多くの人が知っていますが、淡水魚と知る人は少なく、しかも養殖が盛んになりつつあることまでは、なかなか知っている人はいないでしょう。

ウクライナ戦争によるロシアからの輸入禁止で、キャビアの価格も上昇中とか。それを人工養殖できるとなれば興味も高まります。
しかもここでは、そのチョウザメの排泄物も活用、水耕栽培の肥料にして野菜も栽培しているのです。

水耕栽培例(公式HPより引用)

この新しい農業方法は水産養殖のAquacultureと水耕栽培のHydroponicsの名前からとった「アクアポニックス」と呼ばれる新しいビジネスモデルになっています。

アクアポニックスの仕組み(公式HPより引用)

この栽培法で採れる野菜は、無農薬・無化学肥料であり、ハウスのため生産が安定し、栽培期間も通常に比べ半分、これまでの化学肥料を使った栽培よりコストも低く、生産性が倍以上だともいわれています。

またチョウザメは一般的に、キャビアが取れるまで8年の生育期間が掛かります。
プラントフォーム社は研究と改良を加え、それを4年で生育する小型チョウザメを育てることに成功しました。

これで水産養殖の生産性も大幅に向上し、アクアポニックスの将来性を大きく切り開いています。

このプラントを見学した後、プラントフォームディナーもご馳走になりました。以前韓国でチョウザメの料理を食べたことがありますが、それより格段に美味しく、フルコースの充実ぶりにここのシェフのたゆまぬ努力を感じました。

発行ツアー二日目

翌日5日に訪問したのが株式会社今泉テントです。
ここで製造しているテントは、従来のキャンプ用テントのイメージとは大きくかけ離れています。

膜構造建築物とも表示されますが、工場や公共施設、スポーツやレジャー・アミューズメント施設に使われるテントを製造販売しています。

テント倉庫例(公式HPより引用)

目を引いたのがグランピング用テントでした。
「グランピング」とは屋外でホテル並みのサービスを提供するテントホテルのようなもので、最近では大規模な複合リゾートもテントで建設されるようになってきています。

グランピング用テント例(公式HPより引用)

今泉テントは新潟に拠点を置くアウトドア用品製造販売の大手、スノーピーク社に製品を納入し、同社によって長野県の白馬村や新潟県三条市にグランピアフィールドが展開されています。

ホテル仕様にも拡大しするテントの長所

①構築素材の軽さ

■一般構築物は平米当たり10㌔ともいわれまずが、これに対しテントの場合は800gで可能です

②内部が明るい

■約2,000ルクスでコンビニエンスストアの明るさと同じくらいです

③耐久性に優れており、20年の使用が可能

④大きな空間が作れる

⑤高気密性

⑥施工期間が短い

――などが挙げられます。
テントは軽いので支柱が簡素で済み、大きな構築物が可能になるわけです。

これらの利点を生かし、今泉テントはこれまでに大規模なバイオマス処理施設なども手掛け、国内の同種施設建設では大きなシェアを得ています。
またビルの解体などの際、全体をテントで包み込み粉塵拡散を防ぐという利用法も都市部では注目されています。

その一方で、テントには雪に弱い、耐熱性が低い、切れやすいなどの弱点もあります。

注目すべきファサード(外壁)適用

ドイツはじめヨーロッパで盛んに使われているといいますが、建築物の外壁に張り付けることで、老朽化した壁面の修正や遮熱効果を狙います。
このファサード利用も今後拡大が期待されています。

二日目の昼食は南魚沼の欅苑で山菜料理をいただきました。
越後の茅葺の田舎づくりの建物は落ち着いた雰囲気で、美味しさはもちろんのこと、お年寄りも目立つスタッフのきめ細かな心遣いが心地良いものでした。

欅苑の山菜料理

伝統的雪室貯蔵

最後に足を伸ばしたのは八海山雪室です。
1000トンの雪を蓄える雪中貯蔵庫で、年間を通し約4℃の環境を保ちます。

八海山雪室貯蔵庫内

36万㍑の日本酒が長期保存されており、その貯蔵室=雪室を体験し、併設されたカフェやキッチン雑貨店などで楽しみました。

八海醸造

今回のツアーでは中越地区の山古志村にも立ち寄りました。
広大な丘陵斜面に広がる棚田と森林、そして名産の錦鯉、「牛の角突き」と呼ばれる闘牛など多くの観光スポットがあり、次回はぜひ訪問してみたいと思います。

山古志村の棚田風景

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