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アメリカでは何故女性がキャリアを築きやすいのか?

最近では日本でも働く女性が増えていますし、出世街道を爆進される方達も多くなり、とても喜ばしいことだと思います。私は日本ではなくアメリカで管理職になったのですが、周りを見ると女性の管理職は珍しくありませんし、みんなそれぞれ自分のライフステージに合ったキャリアを築いているような気がします。なので何故アメリカでは女性がキャリアを築きやすいのかを考えてみました。

女性がキャリアを形成しやすい理由3つ

女性がキャリアを形成しやすい理由はいくつかあると思いますが

  1. ジョブ型の労働環境である

  2. 女性のキャリア形成を支援する仕組みや環境がある

  3. ロールモデルが多い

などの理由があると思います。

ジョブ型の労働環境である
最近は日本でも話題になっているジョブ型の雇用体系ですが、これは女性にとっては朗報だと思います。なぜならジョブ型の採用は基本的に候補者のスキルと経験をもとに採用され、その人の属性は後回しになるからです。言葉を変えて言うと「お母さんだから」「おばさんだから」採用されないことがなくなるということです。ジョブ型の採用には必ずジョブディスクリプションというものが用意されており、どのようなスキル、資格、経験が必要かが明記してあります。そして、その条件に当てはまる人が優先的に面接を受け採用されることになります。なので、漠然と資格を取ったり不向きな仕事をするのではなく、就きたい仕事のジョブディスクリプションに当てはまるような資格や経験を積めばチャンスがより多く巡ってきます。ジョブ型の就労環境は、日本からアメリカに来て右も左も分からなかった移民の私でも仕事を見つけられたのでありがたかったです。因みに20年以上前になりますが、最初の仕事である秘書の仕事に就くのに役立ったスキルはタイピングとエクセル、ワードができることでした。グローバルのディファクト・スタンダードを築いて下さったマイクロソフトさんには頭が上がりません(笑)

女性のキャリア形成を支援する仕組みや環境がある
アメリカは実はジェンダーギャップ指数の上位国ではありません。知らない人も多いと思いますがアメリカには国の制度としての産休や育休はなく妊産婦にどれくらいの休暇を与えるかは各企業に任されています。大企業では長期の休みを貰える場合もありますが、そうでない環境で働く女性が大半だと思います。それなのに何故私が女性のキャリア形成を支援する仕組みや環境があると言うかというと、これはジョブ型の雇用環境だからということもありますが、キャリアが子育てや介護などで中断しても後から戻って来ることができる柔軟性があるからです。雇用の流動性というとすぐに会社が従業員をクビにしやすいという議論が出てくるようですが、雇用の流動性とは個人が働き方を柔軟に選ぶことができるという事でもあります。一旦キャリアを中断してもオンラインのクラスや最寄りのコミュニティカレッジなどで新しい知識やスキルを身につけて再就職することができますし、働く女性向けのカンファレンスや支援団体なども多くあります。そして非常に大切な環境要因としては配偶者のキャリア形成に協力的な男性が多くいることがあります。ある日男性の同僚が子連れ出勤をしてきたことがあったのですが、理由を聞くと奥様が海外の学会に出席するために家を留守にしていて学校が始まる時間まで職場に子供を連れてきたということでした。また最近の若い世代の男性の同僚達は子供が産まれるとマタニティリーブならぬパタニティリーブと言って、長期の休みを取る人が多くなりました。やはりパートナーの協力は順調なキャリア形成には欠かせない要因だと思います。
職場の環境としてはアメリカにはERG(Employee Resourece Group)という従業員たちの自発的なグループがあります。ERGは目的を共有する人たちが集まって自発的に活動をするもので、例としては女性のERG、黒人のERG、環境保護のERGなどがあります。私は数年間女性の職場における活躍推進を目的としたERGのリーダーをしていましたが、そこでは女性の役員を招いて話を聞いたり、女性向けのカンファレンスに出席したり、経営陣とのラウンドテーブルを企画したりといったことを実行して会社における女性のキャリア形成や、プロフェッショナルとしての成長支援をしていました。こうした家庭や職場でのキャリア形成を支援する環境が、アメリカでの女性のキャリア構築に役立っているのだと感じました。

ロールモデルが多い
アメリカはひと足先に先輩の女性達が頑張ってくれたおかげで、ロールモデルとなる女性が多くいらっしゃいます。キャリアを築く上でロールモデルはとても大切で、威風堂々と振る舞うアメリカのエグゼクティブレベルの女性には学ぶことが非常に多かったです。全米各地で女性向けのカンファレンスも多く開催されており、女性にありがちな問題、例えば女性は男性と比べて給与交渉をする頻度が少ないことや無意識バイアスなどについて女性の登壇者達が自分自身の経験も含む具体的な事例を挙げてどのように対処すれば良いかを共有してくれます。彼女達の振る舞いや言動を見たり聞いたりすることで自分のものとして取り入れることができ、仕事をしたり部下を指導したりする際に非常に有益でした。また社内にもロールモデルとなる素敵な女性達が多く働いていました。身近にロールモデルがいたので、どのようなステップを踏んでキャリアを築いていけば良いのか、どのようにネットワークを構築していくのか、誰とどのように話せば良いのかなどを直に学ぶことができました。

他にもいろいろと理由はあると思いますが、今回は思いつくままにジョブ型の労働環境、職場及び家庭でのキャリア支援、そしてロールモデルの存在が、女性のキャリア構築に役立っているのではないかということをお伝えさせていただきました。
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