今度こそ女性活用が掛け声だけに終わらないであろう3つの理由

多様性の大切さが叫ばれる昨今、日本の女性活用に対して悲観的な意見を聞くことも多いです。女性管理職登用3割の目標があっさり先延ばしになったとか、
ジェンダーギャップランキングが下位に位置するとか。

私が新卒で就職した1986年(そうです、昭和の時代です)は、まだまだ女性の社会進出にそれはそれは多くの障害があったし、女性社員の仕事は「お茶汲み、コピーとり」と言われた時代でした。4年制大学卒の女子の採用は少なく、自宅通勤のみ可という会社も多くて、一人暮らし女子は就職試験そのものを受けられないケースも沢山ありました。まあ、そんな化石時代からはかなり進歩したと思いますが、日本の働く女性を取り巻く環境はあまり変化していないのではないかと太平洋の向こうから思っていました。しかし日本にいないながらも最近の風潮をネットなどで見聞きして、これからは日本の「女性活用」も次の3つの理由から掛け声倒れに終わらない気がしています。その3つの理由とは、

1️⃣ 労働市場に需要がある
2️⃣ 質の高い女性人材の供給がある
3️⃣ 日本は流行に弱い

です。

1️⃣ 労働市場に需要がある
ご存知のように日本の生産年齢人口は激減します。

戦時中に男性が戦地に行ってしまって工場などで足りなくなった人手は女性を雇って埋めていたように(ちょっと例が古すぎるかな?)、主な働き手である日本人男性の頭数が足りない場合は、一人当たりの生産性を上げる、外国人を雇用する、女性を雇用するなどの施策をとる必要性が出てきます。要するに生産性を劇的に上げない限りは、日本人男性以外を雇用せざるを得ないという状況に追い込まれるのです。女性に都合の良いことには、これからの産業はますます知的労働にシフトしていきます。力仕事が多かった時代には、平均的に男性の方が女性よりも身体が大きかったり力が強かったりするので男性の労働力が重宝されましたが、知的労働に関して言えば身体の大小や力のあるなしは関係ありません。そして最近のマネージメントの方法はEQ(Emotional Intelligence)が重視されるので、傾向として比較的共感力の高い女性の方が管理職として上手く組織を回せるケースもあると思います。女性を活用するには、まず活躍の場を提供する必要がありますが、日本の労働市場に於いて女性が活躍できる土壌は生産年齢人口の減少を背景として整いつつあると思います。

2️⃣ 質の高い女性人材の供給がある
ニーズ(需要)があっても供給がなければ、残念ながら女性活用は実現しません。踊ってくださいとお願いしても踊る人がいなければ、舞台は空いたままです。最初に書きましたが、私が就職した時代は4年制大学を卒業した女子学生には殆ど就職先がなく、有名4年制大学に行く学力があっても就職のしやすさを考え、敢えて短大に進学する女子が多くいました。なので専攻する科目も英文学や日本文学、または家政科などで、ビジネスのプロフェッショナルとしての準備をする専攻ではなく、言い方は悪いですが数年働いて結婚するための「教養」として短大に行く側面もあったと思います。しかし昨今は短大ではなく4年制大学を選ぶ女子が増え、法学部や経済学部、そして理系の専攻を選ぶ女子学生が増えました。大学卒業後に大学院に進んだり、海外の大学に行ったり留学してMBAを取得する女性も珍しくありません。私が就職した時代には考えられないくらい女性のビジネス人材としての質が向上しています。

企業になぜ女性を登用しないのかと問うと「登用に見合う人材がいない」との回答を頻繁に目にします。確かに私の世代の女性達(50代以上)は結婚したら、もしくは子供を産んだら離職する人が殆どで、私の友人達もパート、もしくはサロネーゼという働き方をしている人が大半ですが、最近の20代、30代、そして40代のの女性達は幹部候補生としての実力を十分に身につけている人も少なくないのではないのでしょうか?なので、女性活用を進める上で「見合う人材がいない」という言い訳はできなくなっています。女性の管理職を増やすためには、管理職になる人材を育成して人材供給のパイプラインを埋めることが必要でした。かなり時間はかかってしまいましたが、パイプラインは着々と埋まってきていると思います。

3️⃣ 日本は流行に弱い

そして3つ目の理由は日本は流行にめちゃめちゃ弱いからです。最近は「グローバル」だの「多様性」だのが大流行。その流れで、グローバルでGAFAMに負けてる〜、多様性が大切だ〜、SGDsだ〜、などの議論がかまびすしくされていますが、これはグローバルで大成功している企業を見て日本企業が「俺たちも流行りに乗らなきゃ、やばくね?」って思い始めたからだと思います。一旦危機感を持つと、人も組織も変わります。そして、グローバルで見て日本企業のプレゼンスが落ちてきている昨今、ベンチマークが得意な日本人はベストプラクティスであるGAFAMなどのグローバル企業をお手本に様々な手を打ってくるでしょう。そして多様性を取り入れることもそのひとつ。都合の良いことに欧米の会社を見るとそこには既に大学の教科書に載るようなお手本がたくさんあるので、真似が上手な日本企業は追いつけ追い越せで数年もしたらあっさりと数値目標に達するかもしれません。
実は私の会社(欧州系グローバル企業)も数年前までは部門長は殆どが男性でした。しかし数年前に会社の戦略の3本柱のひとつとして多様性の向上を掲げ、女性の管理職の数値目標を設定しました。いや〜、それからは早かったですね。本当に見事なくらい。その年に発表された人事関連の通達を見ていると、部門長になる女性が出るわ、出るわ。肌感覚ですが、半分くらいは女性の名前だったと思います。あれはお見事でした。なので、多様性向上のノウハウを持っている会社は海外にはそこら辺にあって、日本企業は得意の視察とやらを行なって真似すれば良いんですよ。そして多様性のある会社の業績の方が良いとなると、真面目な日本人は本気になって取り組んでくると思います。そこからは早いと思う。

さてと……..
以上3つの理由から、これからの女性活用はスローガンだけではなく、実際に実現されていくと思う(と言うか、思いたい)のですが、みなさんはどうお考えでしょうか?世界で少子高齢化がナンバーワンの日本では、人口の半分である女性を活用しなかったらアウトだとも思うのです。女性が社会で活躍したら男性の負担が減って、男性も楽になると思うのですが、如何でしょうか?女性にとってチャンスの多い、追い風の時代になっていると思います。残念ながら私はちょっと手遅れの世代になってしまいましたが、後輩の女性達には是非頑張っていただきたい。エールを送ります。

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