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№64【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『気になるうしろ』

大昔、何とか流星群が流行ったので、友人と夜中のドライブに出かけた。

「流星群がみえる方角は確か・・・こっち!」

その言葉を信じて夜空とにらめっこ。


結局、目の錯覚か本物分からないような流れ星を2つ見たことに。
そして、身体の芯まで凍えて風邪をひく寸前で帰宅した。


それから数年後、両親が夜釣りをするというので、ついて行ったある日。

釣り好きの両親とは対照的に、いっちょまえに糸をたらして、釣りをしているふうでおやつのプリンを楽しんでいたワタクシ。

「待ち時間に、好きなおやつを楽しむのがワタクシ流の魚釣り」
なんて言っていたら、目の端にスッと流れた光。

「え?」

そこは、釣り客がホンの少しだけいる、基本真っ暗な海辺。
ヘッドライトを照らしている人なんていない。

「なに? 今の」

ちょっと寒くなってきた背筋。

身構えて光の方向見ていたら、こんどは空全体に、スッ、スッ。
音もなく小さな光が、現れては消え、現れては消え。

ようやくその光が、流れ星だと気がついた。

それからは釣りどころではなく、流れ星探しが始まった。

「あ! こっち。こんどはこっち!」

生まれて初めて、数えきれないほどの流れ星を見た。

きっとワタクシの願い事が全部叶ってしまう以上の数。

思いがけないタイミングで一生分の流れ星を堪能したワタクシ。


「わざわざ見に行った時は2つだったのに?」

流れ星は、会いに行くと会えないものだと思った。


先日、自宅のベランダから、ダメもとで流れ星を眺めようと思った。


「温かい飲み物一杯、楽しむ間だけ空を見上げる」

このくらいがワタクシにはちょうどいい。

でも星を見る時には、いつもこう思う。


「まさかとは思うけれど、ワタクシの観ていないうしろで、流れ星が滝のように流れている・・・なんてことはないでしょうね」













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