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「マレフィセント2

2019年の作品

監督:ヨアヒム・ローニング

時間:1時間59分


1,予告編



2,あらすじ

妖精たちの国ムーア。夜の闇にまぎれ、人間たちが妖精をつかまえにやってきています。それに気づいたマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が何人かを退治しますが、妖精ひとりと精霊の花一輪が奪われてしまいました。そしてそれは、密かにどこかの城へと持ち込まれたのです。
次の朝。ムーアの女王であるオーロラ(エル・ファニング)は、妖精たちのいたずらで取り上げられてしまったティアラ(冠)を追いかけて森の中を走り回っています。するとそこへ、アルステッド国の王子フィリップ(ハリス・ディキンソン)がやってきました。フィリップはそこでオーロラに求婚します。妖精たちはフィリップのプロポーズに協力するため、オーロラにいたずらをしていたのでした。
オーロラがフィリップのプロポーズを受け入れると、フィリップや妖精たちは大喜び。オーロラはフィリップからのプロポーズを受け入れたことをマレフィセントに報告しますが、マレフィセントは人間との結婚をよく思っていません。マレフィセントは、オーロラ以外の人間を信用できないからです。しかし、愛するオーロラのため、渋々結婚を承諾するのでした。
一方、アルステッドの国では、ジョン国王(ロバート・リンゼイ)とイングリス王妃(ミシェル・ファイファー)がフィリップ王子の結婚を喜んでいました。ジョン国王はフィリップ同様、妖精との友好関係を望んでいますが、イングリス王妃は実は妖精のことを憎んでおり、密かに城の地下深くで戦争のための武器、妖精の弱点である鉄の弾を作らせています。

引用:映画ウォッチ


3,感想(ネタバレ有)

マレフィセントの登場時間は同じくらいなのだろうが、どこか微妙な雰囲気を感じてしまった作品であった。


物語はフィリップがオーロラに求婚するところから始まる。マレフィセントはその様子を見て、オーロラが自分の手から離れてしまうこと、オーロラ以外の人間は信用していないことからどこか不満な様子であった。それでもオーロラのためということもあり、彼女の親としてディアヴァルを連れて3人でアルスデッド国で開かれる晩餐会へと向かう。

その席でフィリップの親でもある王妃は前作「マレフィセント」での出来事、祝いの席に相応しくないオーロラ姫にかけられた呪いの話やステファン王の話をしてマレフィセントを挑発し、怒らせ、それを利用して王妃はジョン国王を糸車の針で刺して呪いをかける。マレフィセントは呪いをかけたのは自分ではないと主張するものの信じてもらえず、その場から離れる。


まずここ、血は繋がっていないが共に過ごした時間の長さや確かな絆から「フェアリーゴッドマザー」とまで慕う家族になったはずの二人だが、どうしてオーロラはマレフィセントを信じないのか?その前に魔法使って暴れてしまったからそうなっても仕方がないのか?違和感を感じた。


その後マレフィセントはゲルダの鉄の玉を受け、墜落してしまうが、同じ種族のコナルに助けられ、コナルの仲間達が住む、人間の手が及ばない場所にて彼らの暮らしを見る。その中でマレフィセントは、戦争によって問題を解決しようとする者、人間と共存しようとする者を見たり、コナルから自分のが最強の不死鳥の最後の子孫であり、破壊と復活の力を持つこと、その中でも変化が最大の力であること、平和が闇の妖精が変化する最後の姿であることなどを伝えられる。だが、マレフィセントはその中で「オーロラはもう娘ではない」とそのメッセージをあまり受け入れてない。


(いやいや、呪いを解こうとしたときの情や涙はどこいったのさ…)


その裏で王妃は地下研究室で王妃の部下は、王精霊の花に含まれた妖精のエキスと妖精の弱点である鉄の粉を混ぜ合わせると妖精を抹消できることを発見し、それを知った王妃はムーアから精霊の花を残らず刈り取ってしまう。マレフィセントがムーアについた頃にはもう手遅れで、待ち構えていた兵士のボウガン?パチンコ?銃?に撃たれ、コナルは倒れてしまう。


これを同族達は開戦の時とし、アルスデッド国に攻撃するために飛び立つ。アルスデッド国側はフィリップとオーロラの結婚式を口実とし、ムーアの国の精霊を国中に集め、精霊達を全滅させようとする。

フィリップは憎しみが憎しみの連鎖を生むことに気づき、戦争をやめさせようとする。オーロラは戦争の首謀者である王妃を問い詰める。闇の精霊達が苦戦を強いられる中でマレフィセントが登場し、王妃のもとへやってくるが、殺そうとまではせず、代わりに王妃がオーロラを殺そうとし、マレフィセントは彼女をかばって塵となってしまう。だが、すぐに復活し、オーロラを高所から落としてマレフィセントがそれを救出している隙に逃げようとするが、オーロラは助かり、王妃はマレフィセントによってヤギに変えられ、二つの国がフィリップとオーロラの結婚によってアルスデッドとムーアが一つになり、平和が訪れた…


ではここから続きの感想を述べていく。まず、本作の敵である王妃について、前作「マレフィセント」と合わせて、特別な力を持っていなくても精霊よりも恐ろしいヴィランになること、その恐ろしさ、戦争が手段から目的になることの恐怖や正義と悪は対ではなくコインの裏表ということについてはしっかり伝わったが、前作と比べて動機が弱すぎないだろうか?前作ではヴィランのステファン王の幼少期から描き、どのようにして敵となったかということについてしっかりと時間を割いて描かれていた。だが、本作では終盤に王妃が「私の国は冬、不作で滅びかけてたけどムーアは栄えてた。侵略の視察として兄弟を送ったが帰ってこなかった。きっと殺された。」ここまではいいとして、王を殺す理由は邪魔だったと回想もなしに淡々と話す王妃に魅力など持てるはずはなく、その後、虐殺や精霊だけでなく人間(ジョン、オーロラ)すら殺そうとする彼女の行動は見ていて不快だった。前作のステファン王で見れた「狂気」のような魅力はなかった。

そもそも「マレフィセント/マレフィセント2」という作品自体、「眠れる森の美女」の展開とは違ったものを描き、ディズニーヴィランズのリーダーであるマレフィセントについて、ヴィランでも正義になれることや敵も絶対悪ではなく同情の余地があることを見せる作品ではないだろうか?だが、今回の敵である王妃は「精霊抹殺とムーア侵略」に対して自らの夫を中心に人間にまで手を出すなど行動がいきすぎてて全く同情できなかった。


また、マレフィセントの物語としてみても、実際の時間はわからないが、前作に比べてマレフィセントが映っている時間が短く感じた。それ自体は何も問題ないのだが、コナルに力の使い方や考え方について教えを受け、彼女自身が何か行動を変えただろうか?ただ戦争に参じただけである。戦争を収めたのはマレフィセントではなくフィリップである。同族がひっそり暮らしている様子や途中で容赦なく環境破壊する人間、コナルの言葉がその後のマレフィセントの行動を表すものでもなく関連性が見られない。中盤と終盤でこの映画は別作品なのだろうか?


終わり方もいまいちぱっとせず、戦争から一転ほぼ完璧なハッピーエンドも不自然で、前作でステファン王が死んだ際の不気味で悲しげな間はなく、無理矢理敵をつくったネタ切れ感が伝わってきてしまった映画であった。

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