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#3 フィリピン大学 留学日記 vol.3(2019/09-10)

フィリピン生活9週間目

フィリピン留学65日目。7月28日に渡比してから2ヶ月が経過しました。この2ヶ月間様々な経験をしましたが、先週学内のホールで行われた我が大学とフィリピン大学の式典は最も意義深いものでした。歴史的瞬間に立ち会えた事は非常に光栄でした(詳しくはまた共有します) 。

そんな私は中学の頃からずっと理科系で、SSHに指定されている工業系高校に進学し、ずっとサイエンスの道を歩んでいました。大学入試でも理科系科目を勉強していたため、とにかく社会系科目を避けていました。様々な理由があり、文科系である経済学部に進んだわけですが、そんな背景もありずっと「社会-歴史」が苦手でした。

しかし大学に入って、一から歴史を学び直したことで、歴史への苦手意識は少しずつなくなり、経済学も反比例的に好きになっていきました。今まで歴史的事実という点が無数にあったものが、学び直したことで線となり、全体像が見えてくるようになりました。

歴史批判でよくあるのが「過去のことを学んでも意味がない」です。でも「過去の事が分からないと、現在の事も分からない」と思います。実際に現在起きている香港デモや北朝鮮問題、北方領土問題などは全て、歴史が分からないと理解できないです。理解ができないと意見も持てない、関心も持たない、思考停止、という具合です。

当然ですが経済は歴史と深く関わっています。過去に起きた戦争の多くは、経済的要因が必ず関わっていました。いま起きている米中貿易戦争やEU離脱問題なども経済的背景と歴史的背景のコンテクストがあります。留学先で履修しているMacroeconomicsという授業でも勉強しました。ちなみに今日から上がる日本の消費税も経済と歴史が大きく関わっていますね。

もちろん、まだまだ勉強し始めなので一生かけて学んでいくつもりですが、過去-現在-未来は全て歴史で繋がっているので、我が大学が目指す人材像に近づくためにも、これからもしっかり学んでいきます。この調子で苦手意識をなくしていきたい!

今回は歴史を学ぶことの重要性とこれからのモチベーションのためにアウトプットしたかっただけです。

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フィリピン生活10週間目


今週はテストがあったり、課題があったりしてなかなか大変で、センチメンタルになる時間が多かった週間でした。しかし、週末に友人がフィリピンに来てくれたり、大学のみんなでご飯に行く中で気づいたことがありました。

いくらフィリピンという日本人には少し大変な環境でも2ヶ月以上住んでいるとそれが当たり前になってきます。それにより感性が鈍くなり、気づきが少なくなることが分かりました。また生活に落ち着いてくると、生物のホメオスタシス(恒常性維持機能)が働くため、あまり挑戦的なこともしなくなってきます。特に私は、どちらかというと内向的な部類なので、最近は部屋で読書したりパソコンカタカタすることが多くなってきました。まあそれはそれで良いと思いますが。

しかし、久しぶりに直接友人と話してみて思ったことは、フィリピンにある程度慣れた今だからこそ、新しい環境に身を置いてみると新しい気づきがあるということです。例えば、同じ東南アジアでも、宗教や歴史も多様なので、国によっても地域によっても雰囲気が大きく変わるのでしょう(現状はフィリピンしか知らないので断言できません)。

この留学中にフィリピン国内地域に加えて
周辺地域である台湾🇹🇼、深圳🇨🇳、香港🇭🇰
マカオ🇲🇴、カンボジア🇰🇭、インドネシア🇮🇩
タイ🇹🇭、マレーシア🇲🇾、シンガポール🇸🇬
ベトナム🇻🇳、ブルネイ🇧🇳、ラオス🇱🇦
辺りに行きたいなーと思っています。
(Thailand, Indonesia, Taiwan and Malaysiaは必ず行きます)

休み期間が少ないので、全部は行けないですが、様々な価値観に触れることで、日本🇯🇵とアメリカ🇺🇸とフィリピン🇵🇭以外の地で色んな文化に触れたいと思います。

そして周辺国に留学しているみんなー!
フィリピンにもぜひぜひぜひぜひ来てください!たくさん学びある気づきある国だと断言します!フィリピンの観光といえばセブ島だろうけど、マニラも面白いところですよー!

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フィリピン生活11週間目

早いもので11週間が経ち、留学もおおよそ1/4が終わりました。来た当初は刺激的だったことが、もうすっかり当たり前に変わってきたように感じます。

そんな中でこの2ヶ月半、一番気を遣ってきたことがあります。それは「健康(体調管理)」です。フィリピンに来てから、一度も大きく体調を崩すことはなく、精神的にも安定しています。

具体的に心がけていることは3つあります。
1. 睡眠(早寝遅起き)
堀江貴文の著書にもありましたが、人生を豊かにする最も大事なことは「睡眠」です。当たり前ですが、寝不足の状態ではQOLは低下し、授業でも高いパフォーマンスを発揮できません。今は、24:30までには必ず寝る態勢に入り、自然に起きるために原則アラームは解除してあります。私の最適睡眠時間は約7-8時間なので、毎日その程度の睡眠は確保しています。余談ですが、いま嬉しいのは朝早く起きる必要がなくなったことです。これは通学勢には革命的なことで、毎日6:00に起きて6:30に家を出て6:43の電車に乗る生活をしなくて良いのは非常に快適です。

2. 運動(毎日最低6,000歩以上歩く)
大学受験の時に正しい勉強法とは何かを研究したことがありました。その時に出てきたキーワードが“自律神経”です。自律神経は交感神経(活発!!!)と副交感神経(安静...)が常々入れ替わって調整されています。ずっと座っていることは血流を悪くしますし、ずっと勉強しっ放しは交感神経の使い過ぎです。これらを解消するために自宅ではスタンディングデスク(留学中は徒歩でカバー)を導入し、普段の活動にポモドーロというメソッドを取り入れました。また、自然に恵まれたUPのキャンパスを歩くだけでもリラックス効果があり、探検がてら1人でよく歩いています。また歩数を稼ぐために、ある授業は寮から往復40分かけて歩いています。

3. 栄養(青汁・ヤクルトを毎日飲む)
先輩方や同期から留学前に耳タコなほど聞いていたことがありました、それは「フィリピン野菜全然食べれない問題」です。実際に来てみるとそれは真実で、屋台飯やフィリピン料理に野菜はあまり入っていなく、オイリーな肉料理が非常に多いです。また野菜を食べようと思っても、スーパーなどでは日本と同等以上の値段がするため簡単に手に入りません。その情報はあったため、予め日本から200袋の青汁を持ってきました。青汁にはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、野菜を食べられないことが多くても栄養分はある程度補えます(野菜を摂らなくて良い訳ではないです)。ヤクルトに関しては、元々日本でも飲んでいたため、フィリピンでも変わらず飲んでいます。ヤクルトに多く含まれる乳酸菌は腸内の浄化効果(悪玉菌を減らす)があり、栄養を吸収する腸の調子を整えてくれます。

このような感じで、健康に気を遣っています。
高いでパフォーマンスいた方が絶対に良いと思いますし、留学中は生活の変化や精神的な負担によっても体調を崩しやすいです。もちろん国によっても性別によっても、健康でいる方法は千差万別だと思いますが、ここに記したことは概ね全ての人に参考になるのではないかと思います。

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フィリピン生活12週間目

留学生活12週目が終了しました。まだまだ氷山の一角に過ぎませんが、ある程度フィリピンの生活が分かってきました。フィリピンで過ごしていると必ず経験することが「大渋滞」です。今回はフィリピンの社会問題の一つである渋滞も含め、私の住むマニラ首都圏(メトロマニラ, 以下首都圏)の交通機関について述べていこうと思います。

首都圏の主な交通手段(観光用は除く)は、ジープニー、高架鉄道(LRT・MRT)、国有鉄道(PNR)、タクシー、バス、トライシクル、配車サービス(Grab・Angkasなど)があります。この中で道路を走らないのは鉄道だけです。さらに鉄道は日本や他の交通先進国と比べて供給量が少ないです。つまり首都圏での移動の殆どが道路を使用するということになります。

首都圏の面積は東京23区(627km^2)より少し大きい程度(638km^2)です。しかし人口は東京23区の963万人を遥かに超えた1,300万人まで達していて、これからも人口増加が続いていくと予想されています。交通渋滞が毎日のように起こる原因は単に人口が多すぎるのです。その大きすぎる需要に対して、交通という供給が充分でなく、過剰需要(Excess Demand)の状態が起きています。なので、この交通渋滞の原因を一言で言えば「フィリピンは道路を使う人が多すぎる」が答えだと思います。

ここからは鉄道について述べていこうと思います。私は鉄道ヲタクでもあるので、フィリピンの鉄道についてもとても興味があり調べてきました。前述したように、フィリピンには3種類の鉄道が走っていて、PNR(Philippines National Railways)、LRT(Manila Light Rail Transit System)、MRT(Manila Metro Rail Transit System)があります。後述のLRTとMRTは運営会社が違うだけなのでほぼ同じと考えて大丈夫です。

フィリピン国有鉄道(PNR/サムネイル)は、その名前の通り政府(フィリピン運輸通信省)の管轄で運営されています。マニラのトゥトゥバン(チャイナタウンの近く)から北方線と南方線が運行されていますが、路線の半分以上が自然災害などにより廃線状態となっています。軌間が1067mmの狭軌で日本のJR在来線と同じ規格であるため、日本(JR東日本)から譲渡された中古車両を使用しています。沿線に人がたくさん住んでいるため、線路状態は非常に悪く、実際に乗った時も信じられないほどずっと電車が揺れ、ずっと警笛を鳴らし続けていました。交通機関として機能はしているものの、保線状態は非常に悪く、乗車していることに危険すら感じました。解決策として、政府は線路敷地内に住む人々へ立ち退きを勧告し、投石被害などを防ぐために電車を金網で覆いました。それでもなお、通勤などで日常的に使うのは、私は推奨しません。

PNRがここまで酷い状態な理由には一つ、国有鉄道であることがあげられます。日本にもかつて国有鉄道がありましたが、1987年に国鉄分割民営化が行われ、現在の政府出資特別株式会社であるJR(Japan Railways)に事業を承継しました。以前、経済学の授業でやったことを当てはめてみると、国有事業はコストが政府支出であることから、利益追求のインセンティブが低く、市場競争の原理が働きにくくなります。ライバル企業がいないので、コスト削減に努めなくても事業を継続できるわけです。それにより自然とサービスの質は低くなってしまいます。それにより、日本国有鉄道は財政悪化や職員のスキャンダルなどが続き、民営化せざるを得なかったのです(これはIPの授業でインド経済自由化(1991年)を研究したことを応用しています)。実際にサービスの質が低く、運賃も格安(始発から終点まで₱20=¥40ぐらい)でコスト削減に努めているように思えないところを見ても、PNRも同じことが起きていると考えます。

ならば高架鉄道LRT・MRT(記事内の写真)はどうでしょうか。こちらはPNRほどではないものの問題は山積みです。その中でも問題はメンテナンスの怠りによる稼働率の低下です。稼働率とは生産実績に対する生産能力の割合であり、100%の能力のうちどのくらい実際に使えているかという割合です。ここではMRT-3号線を例に挙げてみます。MRT-3号線は日系商社がパートナーとなり都市交通システムを建設したものなので、技術的には当時(2000年)の最先端だったのですが、その後は現地会社に事業が継承されました。しかし運営会社のシステムが老朽化したり、メンテナンスパーツの調達が滞ったりしたことによって現在は本来の能力を出せてはいません。乗車してみると分かりますが、新しめの線路にも関わらず、速度は40km/hほどしか出せていません。高架鉄道は交通渋滞軽減のキーポイントになると思うのですが、やはり運営上の問題も重なっています。

現在、フィリピンでは延期路線計画と新規路線計画があり、その工事も着々と進んでいます。そのうちの一つであるMRT-7号線はSM North EDSAのあるNorth Avenue Stationからブラカン州までの新規路線計画ですが、ケソン市では建設工事が日々行われています。フィリピン大学付近にもUniversity Avenue Stationが建設予定で、将来的にマニラ近辺経済圏の拡大(人口の分散)にも繋がるのではないかと私は思います。

その一方で日本では、テクノロジーの進化によって、トヨタ自動車や小田急電鉄などがMaaSによる交通の最適化事業を始めようとしています。交通と経済は非常に強く結ばれていますし、個人的に鉄道を見ればその社会の”発展“がよく分かると思っています。これから研究対象にしても良いなと思っていますが、フィリピンの鉄道には多くの問題が詰まっているように考えます。これからも勉強します。

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