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口リコンは先天的?後天的?そして、口リコンは性的少数者なのか。

こんにちは!みゅーなです!
あたしは保田塾というサークルで、ロリコンとは何かということを研究してきました。
海外論文を翻訳し、自分でアンケート調査を行い、これまで二冊の同人誌にまとめています。
ロリコンに関する最先端の研究を集めた二冊の同人誌ですが、その内容を簡易にまとめたnoteがありますので、まずはこちらを読んでもらえるとわかりやすいかもです。

他にもロリコン研究の記事を書いてあるので、よかったら他の記事も読んで見てください!(ロリ漫画での理想の年齢差などの記事とか色々あります)

さて、今日は超特別な記事です。
ロリコンが何者なのかということを、完全に解き明かしていく記事となっています。昨冬の同人誌『少女愛万華鏡』には入らなかった補稿ですね。
今回の記事は最下部の海外動静部分を有料記事にしています。大勢に影響がない部分なので、興味がある方はどうぞ。基本的にあたしの研究への支援と思ってくだされば。(無料部分だけで5000字以上、頑張って書いてますしね🥰)


海外の先行研究についての概観

実は海外のロリコンに関しての先行研究は、ロリコン全体の傾向を示したものではありません。
なぜかというと、日本にいるとちょっとわかりにくいですが、海外だとロリコンというのは本当に悪魔のような存在として扱われています。
ゆえに、自分がロリコンと思っている人を探しにくく、また研究に参加するように要請することが難しくなっています。
ゆえに海外のロリコン研究の対象者の多くが性犯罪を犯した人間であり、普通の犯罪を犯していないロリコンが対象になることは、ほぼありません。もちろん、大学生をサンプルにしている研究などもありますが(例えばJ Briere&M Runtz 1989など)、基本的には犯罪者もしくはロリコン治療中の人間対象が中心です。
犯罪者のロリコンを対象にした研究には、再犯防止や犯罪抑止、更には"治療"に役立てられるという利点があり推進されてきたという側面があります。利点の少ない非犯罪者ロリコンの研究は、それゆえ後回しにされていたわけです。
つまり結論として、これまでの海外のロリコン研究というのは犯罪者かつロリコンの人間の性向を示したものでしかないことが非常に多かったのです。なので、海外研究の結果はロリコンの傾向なのか、犯罪者の傾向なのか、はたまたロリコンかつ性犯罪の傾向なのか、判別がつきませんでした。

世界や日本におけるロリコンに関する言説には、その性犯罪者についての見地からもたらされたものが多く、ロリコンへの誤解を招くものとなっていました。
その現状を鑑み、あたしは2022年のアンケート調査の中で、性犯罪者を主に対象とした海外のロリコン研究が、本当に一般化できるものなのかを検証してみました。(2022年に実施したアンケートには1000以上の回答を頂きました。皆さんありがとうございます!)
日本は海外と違いネットにロリコンの人たちが多く、性犯罪者でないロリコンの人々をサンプルとしたデータを集めることができました。犯罪の有無のみならず、文化や人種構成の違う欧米とは別のサンプルの研究を提示できたという意味でも、とても意味のある研究となっています。
これも回答者の皆さんのお陰です。誠にありがとうございました。

さて、これから海外のロリコン研究がロリコン犯罪者のみに当てはまるものなのか、それともロリコン全体に当てはまるものなのかの検証をしていきつつ、またあたし自身が研究の中で思いついた仮説の真偽を確認していきます。
その検証を行うにつれて、逆説的にロリコンがどのような存在であるかも浮かび上がってきました。
さて、ロリコンとは何者なのでしょうか。

海外の研究結果を追試してみた&自分の仮説を調べてみた

栄養・環境説

まずCantorが提唱した栄養・環境説を確認していきましょう。
これはロリコンは幼少期や胎内での栄養や環境の悪さからロリコンになるという仮説です。
Cantorの集計ではロリコンは非ロリコンよりも1.1~2cmほど身長が低く、先天性の疾患と関係性の深い非右利き率*1が3.5倍高いという結果になっていました。
しかし、錐洲(2022)においては、身長に関する【Q7.あなたは小学6年生の時にクラスで背は高い方でしたか?】と、利き手に関する【Q9.あなたの利き手はいずれですか?】においてロリコンと非ロリコンに有意差はありませんでした。
胎内や幼少期の栄養不足がロリコンとさせるという仮説ですから、六年生の時点で差がついていないのであれば、ロリコンと非ロリコンに栄養や環境の差があったとは言えないでしょう。(実測値でないゆえに正確な比較とはなりませんが)
利き手については非右利き率がロリコンと非ロリコンで同じだけでなく、当調査でのロリコンの非右利き率は、これまでの日本の調査での非右利き率と同程度でした。今回調査のロリコンは、日本人の平均と変わらないくらいの非右利き率だということです。
身長に関しては実測値ではないので今後のさらなる追試は必要ですが、利き手に関しては充分に反例として扱えるでしょう。
(ちなみにこの研究(Cantor 2004)の対象者のうち、性犯罪歴のない者は14%でした)

*1 右利き以外のこと。左利きと両利きを含めたもの。


家族構成説

次に分析するのは家族構成についてです。
複数の調査によって、ゲイの男性はそれ以外の男性よりも兄を持つ率が高く、兄が多いほどゲイになりやすいことが判明しました。(Cantor, Blanchard, Paterson, & Bogaertの 2002やBlanchard, Krupp, VanderLaan, Vasey and Zuckerの2020など)
ゲイに兄が多い仕組みには、科学的な仮説があります。
母親が兄を妊娠している際、胎内にいる兄によって母親の免疫系に変化がもたらされ、その変化した免疫系が弟の妊娠中にゲイへと誘導するというものです。免疫系への誘導が何回も行われるため、兄が多ければ多いほどゲイになる確率が高くなるわけです。(ここらへんは難しいので気になる人はこの邦訳記事をどうぞ)
もちろん、兄を持たないゲイの男性もいるわけで、それがすべての機序ではないはずですが、科学的に有力な仮説が示されたという点は見逃せません。

また、『青少年の性行動全国調査』において、兄姉の有無によって初性交の時期が変化するという性行動の変化が示されているため、家族構成が性的に感じる女性の年齢に影響を及ぼす可能性が想定できました。また、ロリコンに対するインタビューの中で、妹に対するこだわりを耳にする機会が幾度かあるため、ロリコンに妹が多いかは興味深いテーマでした。

というわけで、ロリコンの家族構成を【Q10.あなたの家族構成をお答えください 物心がついた時から20歳までの間で、1年以上同居していた家族をご選択ください。】という形式で問うてみました。
しかし分析の結果、ロリコンはロリコン以外の人と家族構成に有意差がありませんでした。
言い換えると、ロリコンに兄が多いこともなく、ロリコンに妹が多いということもないということです。
つまり、ロリコンがゲイと同じような機序で先天的にロリコンになったわけでも、後天的に身近に年下の女性がいることでロリコンになったわけでも、その他の家族の影響でロリコンになったわけでもなさそうです。

父親からの遺伝・高齢出産・母親の年齢と相関説

先述したように2022年の調査では、海外の先行研究を検証するだけではなく、自分で仮説を立ててみました。
それに使ったのが【Q11.あなたとあなたの母親の年齢差は何歳ですか?】【Q12.あなたとあなたの父親の年齢差は何歳ですか?】の二問です。
つまり、あなたは両親が何歳の時の子供ですか?という質問ですね。
この設問の意図は三つあります。
一つは高齢出産仮説を調査するためです。もしロリコン群の両親の年齢が高ければ、高齢出産の結果としてロリコンが生まれる可能性が浮上します。
次にロリコン遺伝説を調査するためです。ロリコン群の父と母の年齢差が、非ロリコン群のそれよりも大きいとしたら、若い女性と結婚している年下好きの父親から遺伝して子供がロリコンになったという可能性が示唆されます。
最後は、母親の年齢と関係説を調査するためです。ロリコンは近親相姦回避のために自分の母親と同じくらいの年齢を性的に感じないようロックをかけているのではないかという仮説を前々から持っていました。もしこの仮説が正しければ、ロリコンの性的に感じる女性の年齢と、母親との年齢差が相関するはずです。

しかし分析した結果、ロリコンと非ロリコンの間で出産年齢と夫婦の年齢差のどちらにも有意差はなく母親との年齢差と性的に感じる年齢との相関も検出できませんでした。


ロリコン身体・精神などが早熟説

錐洲美雨奈による2020年の調査で、ロリコンは非ロリコンよりも性的に早熟という結果がわかりました。また、性的に目覚めるのが早かったほど、性的に感じる年齢が低年齢になるという結果もわかりました。
(詳しくはこちらの記事へ)

となると、もしかするとロリコンは性的だけでなく、身体的に早熟かもしれない、と考えました。それを問うたのが先程のQ7【Q8.あなたの身長の成長が止まったのは何歳の時でしたか?】です。
結論から言うと、ロリコンと非ロリコンで成長が止まる時期は変わりませんでした。
成長が止まる時期は人類全般においてPHV(Peak Height Velocity)という最も身体が成長する時期のあとに存在するので、身体発達の速度はロリコンと非ロリコンで変わらないことになります。
(ただし、一部の狩猟採集民においてはPHVは存在しない)


その他と先行研究との比較の結論

あとは口リコンは13歳以前に頭を打ったことがある率が高いとかそういう研究もあったんですが、これは被験者全員が性犯罪とか性の悩みをもっての通院者っぽいので、まあ一応今度調べようかな?と。
ロリコンは低知能という仮説もありますが、これは前述のCantor2004という犯罪者がサンプルの論文の話ですし、今回の調査でロリコンと非ロリコンに小学校時代の主観的な勉強のでき度合いには有意差がありませんでした。(使った設問は【Q29.あなたは小学校時代、勉強はできた方でしたか?】)
あとは母親との年齢ではなく関係が関与している可能性はまだ感じていますので、そこらへんも見ていきたいかなと。あとは家族仲とかも。

さて、今回のあたしの追跡調査では、全体的に先行研究が示すロリコンの特徴は、概ねロリコンではなくロリコンかつ性犯罪者の性向を表したものということが見えてきました。(あるいは、日本のロリコンとカナダなど海外のロリコンとの差なのかもしれません。もちろん後述するような今回の研究と軌を一にする結果もあります)
追試で色々な先行研究の適応範囲が狭いことを見ていった一方で、同時にロリコンが先天的や後天的にあるいはエピジェネティックにも、非ロリコンと目立つ大きな差がないことがわかりました
ここまで読んできて、ロリコンと非ロリコンに差があるところが一つも出ませんでしたからね。(あたしも調査を通して一つは有意差があると思ったので、びっくりしました)
では、ロリコンと非ロリコンを分けるものは何なのでしょうか?



逆にじゃあ、ロリコンってどんな存在なの?

この命題に対して答えを出すために、下図を見ていただきましょう。
2022年の調査での【Q4.あなたが性的に感じる女性の年齢の上限をお答えください 】【Q5.あなたが性的に感じる女性の年齢の下限をお答えください】の回答を、【Q1.あなたはロリコンですか?】に従って『ロリコンである』『どちらでもない』『非ロリコン』の三群に分けて箱ひげ図にしたものです。(男性のみ)

(錐洲 2022)

図を見ると、ロリコン~非ロリコンにかけて、性的に感じる年齢がほぼ同じ幅(22~23歳)で推移していることがわかります。
詳しくは『令和少女愛白書』にありますが、2020年の調査でも年齢帯(JK・20代前半・30代のような分けられた年齢群)ごとにどれくらい性的に感じるか聞いた設問でも、ロリコン~非ロリコンは性的に感じる年齢帯がスライドしている様子が伺えました。
また、Blanchardの2012年の調査やそれを元にした研究、そして『少女愛万華鏡』において行った追試でも、ロリコン男性と非ロリコン男性は連続的に選好がスライドしている傾向が示唆されました。(ただしBlanchardは被験者がロリコン犯罪者なことに留意)

そしてロリコンとは何者なんだろう?ロリコンについてこれまで分かったことなどで示している、性的に感じる年齢の分布図に対象性がみられることも大きな示唆となります。
つまり、ロリコンになる機序……というより、性的に感じる年齢を決める機序はメンデル的*2な一つの遺伝子で左右されるものではなく、多くの要因によって決まる可能性が高いということです。
そしてメンデル的でないにせよ、年齢選好がある程度の遺伝要素があるのはAlankoらの2013年の研究で示されています。

*2 大まかに言えば1,2個の遺伝子の差で表現型が決定されること。人間で言えば血液型がわかりやすい。

似たパターンとして想定しているのは、身長です。
ある程度が遺伝や先天性で決まりつつ、成長中の生活リズムや栄養状態などで最終的な身長が決まる。身長はおよそ対称な正規分布である。
恐らくこれと同じ機序で、性的に感じる年齢は決まっているのだとあたしは仮説だてています。
先程述べたように、少数の遺伝子ではなく、身長のように沢山の遺伝子や要因があって決まるのが、性的に感じる年齢なのだと思っています。
これからの研究では、その多岐にわたる要因や因子がどのようなものなのか、どの因子がどれくらい年齢選好に影響するのかを調べていければなと思っています。
たとえば小さい頃に性的な体験を同級生とした場合は、ロリコンになる可能性が上がるとか、そういう因子があるかもしれない。(一番大きなのは遺伝要因だとは思います)

以上を踏まえると、ロリコンは特に障害や何かの原因があるわけでなく、ただ性的に感じる年齢が、色々な要因によって下記イメージ図のように、前目になっているだけの存在であるということが、あたしの研究から見えてきたことです。

イメージ図。橙のようにただただ前にずれただけなのがロリコン。

今後も研究を深めていき、仮説を検証していくつもりですが、ここで一旦あたしの結論を言うとすれば、ロリコンはただ性的に感じる年齢が前にズレただけの存在、というものになります。
あたしとしては、これが一応の結論として皆さんに提示するものです。


海外研究ではどう結論付けてる?


先程あたしの結論を示してみましたが、実は最近の海外では、ロリコンをあたしと別の見方でとらえています。
それはロリコンは性的少数者である、という考え方です。
例えば……

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