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「クレイマー、クレイマー」を見て

映画「クレイマー、クレイマー」(原題:Kramer vs. Kramer)は、1979年に公開された、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープが主演のアカデミー賞を受賞した作品。

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この映画何が良いなと思ったかって、大きく2つ。
1つ目は、1970年代のウーマンリブ運動では、多くの女性は自分達の権利を訴えながらも、まだどのように行動すべきなのかは手探りだったんだなー。ってのが伺えるところ。

メリル・ストリープ演じるジョアンナは、多くの女性達が人権問題に関し疑問を持ち、行動を起こしていることに対し、積極的に参加するまでは行かないが、関心を持ち、自分の生き方に疑問を感じていたのだろうことは映画を見ていたら理解できる。
その結果、息子を捨てて家を出てしまった。

『家を出る。が、子供は置いていく。』という行動は「男性支配」が当然である中で子供時代を過ごしたジョアンナにとっての権利の主張であると同時に、「家(夫)から子供を引き離せるわけがない」と言う崩しきれない固定観念がその当時残っていたことの証明になるのではないかと思う。
同時に多くの女性は、活動家達の主張や行動には賛同しながらも、
じゃあ、実際に自分がどのように行動すればよいか。に関してはかなり手探りだったのかなとも読み取れる。


2つ目は、家族関係において、決定権があるのは父と母であることは間違いないが、本来その土台には子供があるべきだ。と言う本質的な問題を蔑ろにしていない点。

結婚して離婚して、そんなことは誰にで起こりうることだと思うけれど、それまでの過程で子供が蔑ろにされることは多い。
「子供は母親と過ごすべきだ」とか「生活に余裕がある父親のもとで暮らすべきだ」みたいな定型文をいくら並べたところで、必ずしも子供に当てはまるべきでもなければ、当てはまったとしてもそれらはマイナスの補填にしかならない。
やっぱり多くの子供にとって、両親は一緒にいた方がいいわけで、かといって離婚をせずに済むかといえば、一度決めたことを辞めときます。ってのは結構難しい。
その辺の問題を子供目線でしっかり描いているのがこの映画のポイントだと感じた。


上記2点に関して、ネットフリックスオリジナルで2019年二校s解された、アダム・ドライヴァーとスカーレット・ヨハンソンが主演の「マリッジ・ストーリー」(原題:Marriage Story)を比較対象に見て欲しいです。

「マリッジ・ストーリー」もあらすじは「クレイマー、クレイマー」と似ている。
夫婦関係からの離婚調停。端的に言うとそんな物語。ただ、時代背景が違うからなのか、話の進み方が全く違う。

まず女性側の行動が違う。一方はしっかりと主張する。一方は逃げるように消える。一方には女性側に明らかな理解者が出てくる。支援者が出てくる。一方は出てこない。(行動を促しであろう人物は出てくる。が特段のサポートなどは描かれていない)
で、子供の描かれ方も違う。
一方は子供は戸惑っているように見える。一方は子供はそのような出来事に慣れているようにも見える。
なんと言うか同じような内容なのに正反対に見えてくる。
どちらの映画も素晴らしいなと思ったけれど、時代が違えばこんなにも違うのかと。


で、個人の感覚としては、「クレイマー、クレイマー」で描かれている子供と親の在り方が保たれるべきではないかなと思うわけです。
「本当に子供が何を求めているのか」(それが間違った解釈であったとしても)に大人の感情は介入しないのではないかと思うわけで。
ぜひこの上手くない文章を読んで、両者を見比べてみてほしいなと思います。


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