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妻と嫁と奥さん

妻と嫁と奥さん。

何も三人の相手がいるというわけではない。
この人が妻で、この人が嫁で、この人が奥さんという話ではない。

男性が自分のパートナーのことを他人に話すとき、どのように呼んでいるかということだ。

これが彼女なら話が早い。他人に彼女のことを伝えるときの呼び名は「彼女」だ。そりゃ中には「俺の女」という人もいるだろうし、あえて「ヨメ」という人もいるだろう。でもそういうアブノーマルは除外して一般的には交際相手のことを指す言葉は彼女だ。


彼女の呼び名はさておき、これが夫婦となると途端に話が変わる。

タイトル通り「妻」「嫁」「奥さん」と指す言葉が増える。

意味は全て同じなのだが言葉のニュアンスは微妙に違う。
そしてこの言葉のニュアンスというのは、ただ表現が違うというよりも夫婦の距離を示す言葉になっている。僕の個人的な印象は次のとおりだ。

・妻   → 距離を感じる。堅い表現。
・嫁   →   距離が近い。カジュアルな表現。
・奥さん →   妻と嫁の中間の距離。

個人的なイメージではあるが世間の人が感じるそれと同等のものだと思う。
妻という呼び名はフォーマルな言葉だ。役所などの書面に書くときは妻と記載する。目上の人に話す際も妻を用いるケースが多い。

で、残るは「妻」と「嫁」だ。女性側の意見として度々耳にするのが自分のことを「奥さん」と呼んでくれた方が嬉しいというやつだ。


奥さんという言葉は確かに丁寧な印象がある。しかし、僕はこの「奥さん」という呼び名にとても違和感がある。

というのも「奥さん」という言葉は他人に使う言葉ではなかろうか、ということだ。その証拠に「嫁」という言葉に敬称をつけた「嫁さん」という言葉は存在するが「奥さん」には敬称を省いた「奥」という言葉は存在しない。妻は身内のことを指すことが一般的なので敬称をつけた「妻さん」という言葉は不適当になる。

なので「奥さん」という言葉は他人に対して使うため、自分のパートナーに使うには違和感がある。


では、女性の方がどうして嫁という呼び名が嫌なのかを考えてみる。考えられることは二つある。

一つは、「嫁」という漢字に抵抗がある。
そして、もう一つは「なんだか横柄なイメージがある」ということだ。順番に説明してみる。

まず、「嫁」という漢字に抵抗があるということ。
おんなへんに家という漢字は確かによくない。昨今では共働き夫婦はそこらじゅうにいるし、女の人は家にいるべきという考え方は古い。この漢字から「嫁」という言葉が気に食わないというのは分かる。

しかし、「奥さん」も「奥の人」なので旦那の後ろを三歩下がって歩くという言葉の意味がある。なので僕はどちらかというと直接的に表現する「奥さん」という言葉の方が女性を尊重していないイメージがある。これらの理由から女性は呼称の意味から判断しているというわけではなさそうだ。


二つ目の理由は「嫁」という呼び名に横柄なイメージがあるということだ。
多分こちらのイメージが強いのだと思う。「鬼嫁」なんて言葉もあるし、「うちの嫁がさぁ〜」という言葉の後には悪口が連なりそうな雰囲気がある。「奥さん」という言葉は元々他人を表す言葉だから「鬼奥さん」という言葉は存在しない。

日本人は自分をへりくだるから身内であるパートナーを悪く見せるという悪しき風習がある。なので確かに「奥さん」という呼び名の方が大切にされている感じがする。


わかる、わかる気がする。女性の言い分もわかる気がする。
でも僕はそれらを踏まえて自分のパートナーのことを「嫁」と呼んでいる。
理由は一つ。
「嫁」の方が距離感が近いからだ。家族なんだから夫婦なんだから近い存在でいたい。距離が近い分、「嫁」という言葉には体温が備わっている気がする。時には喧嘩しながらも、あーだこーだ言いながらも一緒にいれそうな言葉の力がある。


「嫁」という言葉の横柄なイメージを払拭するために「嫁さん」という呼び名もある。しかし「嫁さん」という言葉もなんだか使う気がしない。年寄りが使ってそうなイメージがあってなんだかジジくさい。

あなたはパートナーのことなんて呼びたいですか?
女性の方はなんて呼ばれたいですか?

ご意見あれば待ってます。


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