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リオオリンピック公式映画を見た【無料配信あり】

東京2020オリンピックの公式映画が公開されたが、やれ映画も無観客だの、政権プロパガンダ映画だの、反体制的映画だの、藤井風の曲は良かっただの、それぞれのイデオロギーに沿って言いたいことが語られてその実態はよく見えない。

一介のスポーツ観戦好きとして東京オリパラはかなり印象に残っているものの、いかんせん劇場に見に行く勇気が湧いてこない。その理由として、そもそも過去のオリンピックの公式映画を見たことがないので何を期待すればいいのかわからない、ということが挙げられる。
そんなわけで前回の夏季大会であるリオオリンピックの公式映画を調べてみたところ、なんとオリンピックの公式サイトで無料配信していた。

リオデジャネイロ2016オリンピック公式フィルム:Days of Truce(休戦の日々)

渡りに船とばかりに視聴してみたので、その感想をお送りする。

約88分の映画で、開会前の前準備→オリンピアンの活躍→その後のリオデジャネイロを語るという流れ。詳しく見ていこう。

冒頭約25分で、五輪開幕前の人々の反応や準備の様子が映される。諸外国から経済の問題や、ジカ熱の感染拡大、水質の問題などを指摘され、本当に成立するのか疑問を呈される。しかし、リオ現地の方々の積極的な協力もあり、聖火リレーが始まると同時に開会への期待が膨らむ。アスリートが中心の映画ではあるが、市井の人々もまた主役である。観客をもてなすため、英語を覚えたタクシードライバーの姿が印象的だ。

次にメインパートであるアスリートの姿が描かれる。
最初に登場するのは陸上のウサイン・ボルトだ。本大会でボルトは100m、200m、4x100mリレーの三冠に輝いた。

ボルトをはじめ、競泳のマイケル・フェルプス、卓球の中国代表など、圧倒的な成績を残す選手がいる一方で、五輪に勝敗だけではない価値を見出したアスリートも紹介される。そこには下から2番目の成績でありながらも観客を沸かせた男子マラソンカンボジア代表の瀧崎邦明(猫ひろし)がいた。

さらに、7人制ラグビーのフィジー代表チームなど、国として始めての金メダルに輝いた選手・チームが紹介される。
金メダリストが多く取り上げられる印象だが、陸上女子5000mで転倒しながらも助け合いゴールしたアメリカのアビー・ダゴスティノとニュージーランドのニッキー・ハンブリンなど、オリンピック精神に溢れた選手も忘れていない。


また、リオオリンピックで初登場となった難民選手団は特にフィーチャーされていた。難民選手団のインタビューは、五輪に参加することの特別な喜びを感じさせるものだった。

そしてアスリート編の最後はブラジルにとって特別な意味を持つ男子サッカーの決勝だ。最後はネイマールのPKでドイツを下し、2014年のワールドカップで味わったミネイロンの惨劇のリベンジを果たした。


最後の10分では、当初指摘された問題は杞憂であり、素晴らしいオリンピックとして終了したことが語られる。五輪のレガシーを活かし、街はこれからも成長していくという前向きな形でエンド。という昔話にありそうな展開だった。

私はブラジルの状況に詳しくないのだが、これだけの大プロジェクトなんだから負の側面も当然あると思う。しかし、そういうのはあまり入ってなかった。まあ、これは取捨選択だな~。

そしてエンドクレジットでリオから東京へと繋ぐフラッグハンドオーバーセレモニーが流れた。そう、安倍マリオで有名なアレだ。

そんな時代もあったなぁ(遠い目)。私はあの路線の東京五輪開会式を未だに夢見ているが、手に入らないモノはしょうがない。


最後の最後で変な哀愁を感じてしまったが、良し悪しは置いといて映画として分かりやすいシナリオで面白かった。特に、アスリートもやはり人である。それぞれの背景があり、勝敗だけではないそれぞれの戦いがあるということを教えてくれる。
一方、競技映像は少なめであり、試合映像・活躍を見たいという人には肩透かしかもしれない。
私は選手のバックグラウンドや現地の状況にももちろん興味はあるが、どちらかといえばもっと競技映像みたかった。そういう映像も探していこう。

ちなみにリオパラリンピックの公式映画はない。
東京パラの場合、NHKと国際パラリンピック協会による共同制作映像「映像記録 東京2020パラリンピック」がNHKにて放送された。この映像をもとに映画が作られて、夏頃に公式サイトで公開される予定だ。


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