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画竜点睛を欠く

てるとさんの記事で、登りがまが、時々出てくる。そのたびに、その作品は、どんな貴重なものなんだろうなんて、思うのである。

登り窯は、かなり古くからの歴史ある窯での方式で。かなりの熟練を要するらしく。素人が手を出して良いものでは無いらしい。

その事実を私のような素人しろうとが知ったのは、何年も前のNHKの朝ドラ、「スカーレット」からである。

あの中でも、主人公の陶芸家が、苦労して登り窯を作り、満足いく芸術活動をしていくために、私財をなげうち、ギリギリのチャレンジをしていくさまが描かれていた。

当時の私は、かなり仕事が忙しく、毎日帰宅するのは深夜。翌日も早朝から出勤するという生活で。楽しみにしていた朝ドラが半年分、録画のまんま、残っていた。

放映が終わって、ゴールデンウィークの休みを使って、一気に全101話を通して見たのだ。ぶっ続けで徹夜して見て。丸1日と1時間15分間かかった。


そして最終話。夫とも離別し、ひとり息子も病で失い。名声は得、だが、登り窯のさらなる追究を、陶芸家として突き詰めていく。主人公が釜の火を見つめつつ、最後の瞬間というところで。なぜか、最後の最後の、エンドの20秒前に、突然、録画が中断していたのである。


……。


心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、つぶやいた。

残り20秒。たかが20秒。でも、永遠の20秒。


あれがショックで。あの物語は、いまだに私の心の中で、完結していない。


そう言えば父が、よく、私に言っていた。


コジは、最後の最後の詰めが甘い。フッと気を抜いてしまう。そこが、ダメだ。1度きりの人生、画竜点睛がりょうてんせいを欠くような事はしないように、気をつけろよ。


家内は、この事実をすべて知っていて。時々、いうのである。私に。


あのさぁ、コジくんみたいに、最後の詰めが甘いことを、諺で、なんて言うんだっけ?


家内は、人の、癒えぬ古傷に塩を塗る天才である。


今宵も、マッサージのミッションが発令される。



マッサージをすると、家内は、上機嫌になる。


家内が上機嫌だと、我が家は、明るくて、平和である。



だから。



これで、いいのだ。





■追記■
面ゆるって、なに?
それは、これ。西尾さんはじめ、みんな、面白い作品をあげていて。
私は、だいたい土曜日の夜に、そこそこの過去記事をあげています。
もしも、お時間があれば、みんなの作品、読んで頂けたら幸いです。





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