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口内炎と涙

Q.決められたことをするのは簡単ですか?

A.レールの上をまっすぐ間違いなく、進んでいく、目的もなしにするのは難しいし、決められたことの程度にもよる。「決められたこと=慣れたこと」ではない。だから慣れたことを決めていくのが簡単。

Q.じゃあ慣れてないことはどうするの?

A.どんどん失敗すべきだわ、失敗して慣れていこう。でも失敗という漢字を見るだけで辛い、だからエラーに置き換える。僕はエラーしていく、出直していく。

Q.具体的なエピソードをどうぞ。

A. 1週間前から口内炎ができて痛い。きっかけはガムを噛んでいたら、唇の裏を噛んでしまったこと。耐えられないが、耐える。大人だから。

今の時代、大人だからという勝手に決めつけると具合が悪そうだ。だが平成生まれだから少なからず昭和の残り香が入っている。許してくれ、令和ちゃん。

口内炎に話を戻そう。わかって欲しいのは、ビタミンが不足しているからではなく、同じところをいつも噛んでしまうからである。

知り合いから言われたのは同じ所を噛むのはビタミンが原因ではないが、ストレスが関係しているとのこと。ストレスの原因を探るようなそんな野暮なことはしない。この世で生きている限りストレスだし、この世でそのストレスを発散していかなくてはいけない、メタでもなんでもだ。

場所は問わず辛いことがあったら泣けばいいし、嬉しいなら笑えばいい。僕はそうしてきた。耐える大人を演じようとしていたが、耐えることは無知なのではないかと思えてきた。耐えるより学びそして活かすほうがよっぽど有意義ではないのか。ねえ?令和ちゃん。

いろいろ調べるとチョコラBBやら錠剤がでてきた。だが多分これではない。何故ならビタミン不足ではないからだ。もう少し調べると口内炎パッチというものが出てきた。簡単に言えば口に貼る絆創膏みたいなものだ。これだ。

すぐに目の前のドラッグストアに入る。目の前というのは瞬間移動したわけではなく、家の目の前にドラッグストアがあるわけでもない。お昼に家で冷しゃぶのポン酢がけを食べていたが、痛みに耐えきれず涙を流しながら家を飛び出して、歩きながら調べた。そして今、ドラッグストアの前に着いたのである。タイパだね、令和ちゃん。

お目当てのものを買い、家に戻る。涙で前が見えないのを隠すように歩きスマホをしていた自分とは打って変わって、今は清々しい燦々と照りつける太陽の下でにこにこ歩いている。大きく手を振って歩幅を大きくし、歩いていく。

家に帰り、買ってきた口内炎パッチの箱を開ける。中には説明書とパッチが入っている。説明書をざっと読む。説明書に書いているのだから説明通りやれば上手くいくのだが、だいたいその通りにはしない。「口内炎の部分を清潔にし、濡れていたら軽く拭き取る」「パッチをつけるときは指を濡らすと貼りやすい」とのこと。乾かしたり濡らしたりややこしい。守らずやる。

歯を磨き清潔にびしょびしょの口内炎にパッチを貼る。びしょびしょなのでズレる。指は乾いているのでパッチの粘着部分が引っ付いて離れてくれない。ああだめだ。うまくいかない。せっかく説明書を読んだのに説明通りしないからできない。

説明書には淡々と説明を書くだけではなく「こうして欲しい→なぜならこうだから」を書いて欲しい。贅沢を言うと物語を紡ぎながら説明してほしい。資本主義でなければ説明書に文学を求めるのだがそうはいかない、諦める。

説明書ではなく、「説明とその構造、或いは理由の書〜何故あなたは貼らなければならないのか〜」といった具合で封入してほしい。多少高くてもそちらを買う。まわりくどいし時代と逆行しているけど人間の道理にはあっている気がするんだけどなあ。まあ無理か。

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