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#書評

積み重ねた経験と知恵の偉大さを感じる『知の体力』

今年一番好きな本だったかもしれません。 人生で多くの成功を積みながら、同時に戦争や死別のような深く濃い経験を重ねたご高齢の方に 「人や人生、社会ってこういうものだとおもうけど、どうかな」と、諭されるでもなく、同じ目線で話しかけられる。 ぐるぐるとした思考をする自分の目の前に、ポンと考えを差し出されて、その一言一言に膝を打つ。 そんな感覚でした。 また、話題の蒼井優が言っていた「『誰を好きか』より『誰といるときの自分が好きか』が重要らしいよ」なんて言葉に通じることも、

『財閥の歴史』から紐解く財閥とアメリカの富豪の共通点

『財閥って調べてみるよおもしろいよ』とラジオで耳にし、『財閥の歴史』という本を読んでみました。 そもそも、多くの方にとって通過儀礼である就活で、商社や財閥を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。 自分の場合、商社自体に興味が薄かったことも大きく、三菱・住友・三井の差は全くわかっていなかったのですが、その出自を読み解くことでDNAを覗き見ることができ、彼らの違いが読み解けてきました。 また、大きく飛躍する企業とそうでなかった企業の差が、歴史軸から読み解けるという

1冊の本を読んで、美術館の熱が再燃した話

漫画『ブルーピリオド』や美大出身の友人の影響で、美術鑑賞が好きになったわけですが、改めて色々書籍を読み直す中で『いちばんやさしい美術鑑賞』に出会い、今まで見えていなかった部分に日が当てられたような感覚がありました。 最近少し美術館から足が遠のいていたのですが、この本に出会い、美術館に足を運びたい欲が大きくなっています(さっそく皇居にある『三の丸尚蔵館』に行ってきます) 『いちばんやさしい美術鑑賞』について古今東西の著名な作品を取り上げながら、各作品の時代背景や作者について

『野の医者は笑う』を読んでおもう、心の治療

こんなブログを目にしました。 起業家のメンタル問題に立ち向かう技術 ・イチロー選手でもメンタルに問題を抱えることはある・起業家は心の問題に備える必要があり、問題を抱えてしまったら克服する必要がある・根性論ではなく「技術」で克服しよう・私なりの「備える技術」「克服する技術」を紹介 - 早めにまわりに打ち明ける - まだ元気があるうちに仮説検証を繰り返して原因を探る - 大丈夫と宣言する 期待とプレッシャーありがたいことに、会社で色々とお願いされることが増え、 自分の一歩

『聖の青春』

昨日「病院にいる子供たちに本を読み聞かせたい」という話を聞いて、 走馬灯の様に頭に浮かんだのが『聖の青春』でした。 (これを書くいまも、胸が熱くなる。。) 2017年、この本に出会えてよかったと心の底から感じられた書籍で、 『3月のライオン』にもモチーフが登場しますし、映画化もされています。 主人公 将棋棋士・村山聖幼少期に「ネフローゼ症候群」という病にかかり、以来ずっと病院の院内学級に通い、時には同じ入院している友達が亡くなる場面も見ていた村山。 そんな苦しい時期・場