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「熊本城マラソン」の様子を見てきただけの話と、興味が持てない仕事で挫折した話③

(※前回まで↓)

「前夜祭」という言葉で思い出すこと。

高校の文化祭に「前夜祭」というものがあった。体育館のステージで"イケてる"の神輿に乗せられた有志がバンド演奏やパフォーマンスをする。いまだに具体的に思い出せる出し物もある。拍手で何度も終わらせにかかろうとするヤカラのオモチャになっていた演劇部の『シンデレラ』、地味な先生二人のサイモン&ガーファンクル、アラサー女教師4人が制服を着て独自の振り付けで踊るBONNIE PINK『A Perfect Sky』。キツいラインナップだけが割りと鮮明に脳に刻まれてるけど、走馬灯にはこの映像を入れないでほしい。司会には地元の中高生からカルト的な人気番組のMCを務めるタレントが来た年があった。僕はその人気番組を何度見ても面白いと思ったことはないし、そのMCを面白いと思ったことが一度もない。番組に関して言えば、面白くなさにトドメを刺したような企画があって、それが面白くないと感じる決定打となったし、今でもトラウマになっている。「当時はトガったていただけかも?」と、オトナになってちゃんと向き合ってみたこともあった。「まあ、これを面白いと思う人もいるか」ぐらいの許容は抱けるようになったけど、やっぱり面白いとは感じない。MCが登場し、泣き出すような女子もでてくるほど熱狂と混沌に包まれる体育館でボーッと時が過ぎるのを待っていた「前夜祭」。その前夜祭と同じ意味合いのものかどうかはわからないけど、熊本城マラソンの前夜祭に行くことになった。場所は繁華街にあるホテル。

熊日30キロロードレース開会式・記者会見

前夜祭の前に始まったのは招待選手が集まる熊日30キロロードレースの開会式と記者会見。スポーツの人は声がデカい。登壇して挨拶するおエラいさんの「こんちゃ!(おそらく『こんにちは』)」はマイクから声がハミ出ている。呼応する招待選手たちの「こんちゃ!(≒こんにちは)」も短くデカい。コエカタマリンがあったら飛距離こそないけど、特大の「コンニチワ」が落下してきそう。記者会見では設楽選手に質問が集中。どの質問にもめちゃくちゃクールな回答でピリつきに終始していた。

この時、本人がホントはどんな心境だったか定かではないけど、「その質問いる?」っていうイライラにはスポーツマンではない自分でも寄り添える。高校生の時、テレビを観ていた親が「FUJIWARAって吉本(興行)だっけ?」ってボソッと呟いて、その質問なに?って思考が止まって無視してしまったことを思い出した。吉本でしかありえないし、吉本所属だから何だというのかも分からなかったし、先輩・後輩の壁がなく接してそうなイメージが勝手にあったから人力舎だっけ?という確認でもなさそうだった。無視したら親の機嫌が悪くなって大変気まずい思いをした。だって答えたくなかったんだもん。

さすがに東京五輪がかかっているような選手だと無視するワケにはいかないようだったけど、あまりのピリつきに関係者と思しきおじいさんも苦笑いでザワザワ。この質疑応答の時間になってようやく気が付づくんだけど、会場に入って何も分からずポンと座ったイスは質問をするような記者用の席。媒体は数社しかいなかったし、なぜか挙手もしていないのに指名されそうな緊張感があった。なぜ分かった時点で席を立って後方に行かなかったのだろうと今でも思う。さされたどうする?みたいな不安が込み上げてきて一生懸命無難な質問を考える自分のアホさ加減が今もシャワーとか浴びてるときにフラッシュバックする。

熊本城マラソン開会式

ロードレースの開会式が終わると、隣の部屋では熊本城マラソンの開会式がまもなく始まる。これがヤバかった。結婚式が行われるような大きな空間にバイキング形式の料理がずらーっと並び、それを囲むように無数のテーブルが置いてある立食形式。まず、人間がスーツ(関係者)かジャージ(選手)かにパキッと二分され、デニムシャツのカジュアル野郎がバリ浮き。いつも仕事で持っているオレンジがかった合皮のトートバッグがさらに見つけやすさを加速させる。サイゼリヤの間違い探しがこれだったら醍醐味ゼロ。どこの集団にもカモフラージュできないので、ゲストの挨拶やパフォーマンス中もとにかくうろついていた。今考えれば、そんなヤツがうろついていた方がよっぽど怪しい気がする。

結構お腹が空いていたし、色々と食べたかったのだけど、実はこの後に家族との食事が控えていた。ここは一品、と決めて某ホテルが提供していたブースでシンプル熊本ラーメンを選ぶ。たぶん自分の舌がどうかしてるのだと思うけど、ほとんど特徴が無さ過ぎて食べてないのと同じような味だった。

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ゲストが様々登壇する中で、間寛平さんは「アヘアヘ」的なテレビと全く同じことを言っているだけなのにめちゃくちゃウケててすごいと思った。無駄なことは一切言わず「アヘアヘ」的なのオンリー。たとえ寛平さん以外の「アヘアヘ」的なことを言っても絶対にウケないと思うからもう少し長生きしてほしいと志村けんさんの訃報を耳にして、よりそう思う。開会式も終わり、結構な人が退出するまで残ったけど「アヘアヘ」的を越えてくるような心に残る事件は起きなかった。それよりもマジで空腹だったのでダッシュで家族との食事に合流。そこでの牛タンがホントに美味しくて、その日一番のアヘアヘだった。

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(※続く↓)


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