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「熊本城マラソン」の様子を見てきただけの話と、興味が持てない仕事で挫折した話④

(※前回まで↓)

遅刻に対する恐怖心

早起きは苦手。だけど、昔から不思議と遅刻はない。実家にいた時は母親に叩き起こされ、自室からリビングに移動し、ソファでひと眠り。朝食が並べられたらそこで再び叩き起こされ、眠気で意識がもうろうとしている中で何を食べているかわからないままとりあえず口に放り込む。中高生ぐらいになると深夜ラジオをリアルタイムで聞いていたので、睡眠時間がとにかくなかった。家を出て自転車に乗るくらいまで目が覚めていないことが多かった。

高校生の時に好きな女の子と人力車に乗る夢を見て起きた朝がある。朝食を食べていても、顔を洗っても、制服に着替えても、「好きな女の子」「人力車」「想像上の浅草」などの断片的な情報が玄関を出るくらいまでフワ~ッと目の前を漂っていた。眠すぎて。そんな甘え切った子供時代だったけど、不思議と一人暮らしになると、早起きしなければならない日でも起きることが出来た。遅刻が怖いからだと思う。大学生の頃に朝の情報番組でADさんのお手伝いをすうようなアルバイトをしていた。6時出勤。遅刻が怖すぎて、バイトの前の日は夜8時前には寝たりしていた。遅刻してもそれを取り返すだけの仕事ぶりとか、愛嬌をふりまくだとかができないタイプなので、遅刻は絶対にできない。・・・できないできない!できるかなって一瞬思ったけどやっぱりできない。

2020年2月15日、熊本城マラソン当日の朝。

この日は朝5時半頃に起きた。熊日30キロロードレースのスタートは9時。なのに、こんなに早起きをしなければならない理由があった。朝7時に報道エリアの並び位置の抽選がある。「報道エリアの並び位置の抽選」と言われてもよくわからないだろう。この時点ではそれが何なのか、自分もよくわかっていない。おそらく報道陣各社がカメラを置くポジションを抽選で決めるってことなんだろう…ぐらいは推測できるんだけど、一体どういう場所で、どんな風に決めたりするのかが全くわからない。見学をする自分には何も関係ないと思うんだけど、一応、自分が"1媒体"としてカウントされている限りは抽選に参加する権利があるよな…みたいな浅い考えと謎の自信で向かうことに。マスコミが集まっている場所特有の殺伐とした雰囲気が苦手なので、それを察知したらサッと身を引くぐらいの感じで。

初めて訪れた早朝の市街地

家から市街地エリアまでの交通手段は路面電車。ほぼ始発のような時間帯に路面電車に乗るのは、熊本に住んでいた頃にも経験したことがない。スタートの時間まではまだまだあるのに、マラソンに向かう人なのか、仕事へと向かう人なのか、日曜の早朝なのに乗車率が高くて驚く。立って乗っていたおじいさんがAbema TVで芸能人が麻雀する番組をじっと見ていて、日曜の早朝からこの街も激アツだなと思った。

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報道エリアの抽選

電車を降りて、報道エリアに向かった。熊本の人にしか理解できない説明だと、報道エリアは鶴屋百貨店と熊本パルコの中間にある車道の一部。アパートのワンルームよりちょっと大きいくらいの広さだった。想像より狭いなー、なんて思ったけど大会の注目度とか、熊本のメディアの数を考えるとそんなもんだ。シャッターが下りている鶴屋百貨店の前にビブスを着た人や三脚などのそれらしき荷物が固まっていたので、その辺りでしばし待機。

予定の7時を過ぎても何も起こりそうにない。雨降ってるし眠たいし帰りてー、とか思っていると登山ルックのドン小西ヅラの男性があらわれる。「カメラ位置の抽選を行いまーす!」と叫んでウロウロしているので、この人が報道陣を取り仕切る人なんだろう。いくらドン小西に似てようが、まさかビブス姿の青年たちのファッションチェックが始まるとは到底思えないのでたぶんそれで合っている。ビニール袋に入ってる番号が書かれたくじを引いて、番号順に好きなポジションを選んでいいというシステム。

各媒体、くじを引く代表者が一画に集合。「自分、一匹狼やらせてもらってます」的なフリーのベテランっぽい人から、「オメエはくじ引くぐらいしかできねえだろ!」って言われて来ました感プンプンの一番下っ端君まで、なんとなくそれぞれのピリピリ感をまとった人間たちが集まった。媒体の数は自分も入れてザッと10社強。・・・「10社強」?! ワンルーム程度の面積にカメラを担いだ10人以上がひしめきあうとなると、相当なギューギューになる。気の弱い人ならエレベーターを見送るぐらいギューギュー。もしここで自分がウッカリ良い番号を引いちゃったりして、ウッカリ良い位置を選んじゃったりしたら、色々とヤバいのでは? 良い番号を引いたとして、みんなに譲るために変な場所を選んで怪しまれたくない。というか、何より176cmの成人男性1人分がいることで、どこかの媒体の撮影に支障が出てしまっては困る…。自分のせいでどこかの新聞社の写真だけめっちゃショボいとか嫌じゃないですか!・・・なんてことを考えつつ、くじ引き待ちの群れから何食わぬ顔でサッと離れた。

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自分が身を引いたおかげで、一つのメディアの画作りを救った。まぁ当たり前の行動か。地べた這ってでもヒーロー気分でいたいのでそういうことにしておく。スタートまで2時間。(こんなことならもう少し寝れた。でも、こういう場所でしか味わえないピリピリも良いよなぁ・・・)なんて思いながら、アクビ100連発かましてスタートエリアをぼんやり眺めていた。

(※続く↓)


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