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日銀異次元緩和転換⇒ローン金利上昇!?

 2024年3月19日、日銀が異次元の金融政策を転換し、マイナス金利政策の解除を決めましたが、これを受けて、三菱UFJ銀行など複数の銀行が、3月21日から、現在の年0.001%の普通預金の金利を20倍の年0.02%に引き上げることを発表しています。

 大体、年0.001%という金利は、初めて見たときは、悪い冗談じゃないかと感じるような微少な単位でしたから、金利が引き上げられるのは、金利正常化への第一歩ですよね。

 預金というのは、銀行への預金者にとっては、資産ですが、実は、銀行側から見ると、債務(=借金)になるということをご存じでしたでしょうか。

 つまり、銀行側は、預金者から、預金という形で、お金を借り(⇒預かり)、それを返すときは(⇒引き出されるときは)、金利(⇒預金金利)を付けて戻すという形なんです。

 さらに言うと、普通預金は、いつでも引き出し可能なお金ですが、それは銀行側にとっては、いつでも返済が迫られる可能性のある借金なんです。

 付け加えて言うと、定期預金の金利は、普通預金の金利より高いですよね。これは、いつでも返済が迫られる蓋然性がいぜんせいが、普通預金より低く、その分、銀行側にとって、より安定的に資金運用に回せるからなんです。

 資金運用という言葉が出てきましたが、話を単純化して言うと、次のとおりです。

 銀行は、預金者からお金を借り(預かり)、それを銀行から借金する(ローンを利用する)人に貸し付けるなどして、貸付利息を得ることで、資金運用し、「貸付利率>預金利率」であることから、その「利ざや(=貸付利率-預金金利⇒資金運用益)」を抜いて、儲ける構造になっているのです。

 銀行側としては、借金する人に対して、安定的に貸付資金を用意するためには、安定的な財源が必要であり、それを預金者からの預金でまかなっているわけです。

 銀行側にとって、より安定的な財源は、「定期預金>普通預金」ですから、その財源をより確保しやすくするために、「定期預金金利>普通預金金利」として、預金者の資金が定期預金に集まりやすくしているのです。

 で、ローンを借りる人(借金する人)にとって、固定金利か、変動金利か、という今ホットな話題があります。ちなみに、住宅ローンを借りている人の75%程度が変動金利なんだそうですね(個人的感想:あなおそろしや!)。

 銀行にとってのローンの貸付は、資金運用のひとつですから、資金運用の大原則である「ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン」の考え方が適用されます。

 将来にわたっての金利動向というのは、ずっと固定的なものかどうかは、当の銀行さえわからなかったんですね。

 わからないことは「リスク(=変動要素・ぶれ、を意味します。)」ですから、銀行側にとって、その「リスク」をかぶらない、つまり、借金をする人が「リスク」をかぶる要素のある変動金利型の住宅ローンの方が、銀行側が「リスク」をかぶり、借金する人が「リスク」をかぶらない固定金利型の住宅ローンより、金利水準が下がるのです。

 無リスク資産より、リスク資産の方が金利水準が上がることを「リスク・プレミアム」と言いますが、銀行にとっての資金運用である住宅ローンは、銀行が「リスク」をかぶる固定金利型の方が、「リスク・プレミアム」が載って、貸付金利水準が上がるのです。

 このところの金利上昇局面を踏まえて、「変動型金利<固定型金利」であることを、“金融機関のだまし討ち行為”だと指摘する人がいますが、決してそんなことはなく、金融業界ではごく当然の流れなんですね。

 おそらく近いうちに、住宅ローンの利率は上昇するでしょう。これは、貸付財源である預金金利の上昇を受け、利ざやを稼ぐためにローン金利も上げる必要があるからです。変動型の人は少々悲しいかもしれませんね(泣)。

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