うつわ専門Webメディア|日本橋Art.jp -utsuwa-

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最近の記事

「作品には人生が表れる」伝統と機能を掛け合わせた唯一無二の漆塗りガラス

               【インタビュイー】ガラス作家・藤井 嘉彦 和歌山県海南市の黒江で「塗り工房ふじい」を営む藤井嘉彦さん。 紀州・黒江は、山中塗り、会津塗りと共に漆塗りの三大生産地。そんな漆の街で生まれ育った藤井さんは、世界で初めてガラスと漆塗りを組み合わせた食器を開発。テーブルウエアの世界に革命をもたらした。 日本の伝統が持つ美しさと西洋の機能性を掛け合わせた食器は、藤井さんにしかできない唯一無二の作品として、国内外から高い評価を得ている。 流行にとらわれず、

    • 「過ぎ去り、消えゆくものを忘れずに見つめ続けていくことに意味を見出す」悲しみを美へと昇華し、存在自体で人々と対話できる作品づくり

                     【インタビュイー】ガラス作家・石橋 和法 「暮らしに彩りを」をテーマにした、吹きガラスの器をつくっている石橋和法さん。 作品にはつるりとした透明感のあるものもあれば、すりガラスのように仕上げられたもの、粒状の模様がちりばめられたものなどがあり、同じつくりての作品というと、少し意外に思う人もいるかもしれない。 しかしながら、手におさまりのよさそうな柔らかなラインとやさしい風合いは、どの作品にも共通しており、それがとても印象に残る。 そんな多彩な器

      • 「過ぎ去り、消えゆくものを忘れずに見つめ続けていくことに意味を見出す」悲しみを美へと昇華し、存在自体で人々と対話できる作品づくり

                      【インタビュイー】ガラス作家・保木 詩衣吏 自然をモチーフに、板ガラスに釉薬を塗り、重ね合わせ、焼いて、磨いて、作品をつくる、ガラス作家の保木詩衣吏さん。 自然豊かな岐阜県飛騨地方に生まれた彼女は、雪深い土地で芽吹いたり、消えたりする自然の表情に尊さと切なさを感じ、雪や落ち葉、泡など、自然の中で朽ちて消えていくものを板ガラスに描き、「溜める」「留める」をテーマに作品を制作している。 武蔵野美術大学で学び、富山ガラス造形研究所で技術や表現手法を探求

        • 「平和を願いながら、美しいと思う作品を全力で作っていく」美しさを追求する思いに迫る

                         【インタビュイー】陶芸家六代・小川文齋 京都五条坂で150年続く文齋窯の六代目で、陶芸家の小川文齋さん。 人と人の輪をモチーフにした作品を長年作り続けてきた。 また緑色に魅せられた小川さんは、これまでに美しい緑色の作品を数多く生み出してきた。 最近ではその作品から「緑色の人」というイメージがすっかり定着したそう。 さらに、家の庭に飛んで来たとんぼから先代のメッセージを感じて、作品づくりに変化があったという。 小川さんに作品に込める願いや今後

        「作品には人生が表れる」伝統と機能を掛け合わせた唯一無二の漆塗りガラス

          「伝統工芸の土台の上に、いかに新しいものを築いていけるか」山中漆器の伝統を守りながら挑戦を続ける

                  【インタビュイー】         木地屋・漆器素地メーカー株式会社匠頭漆工 久保出 章二 漆器の産地として有名な石川県。 特に山中温泉地区は「木地の山中」と言われるほど、木目の美しさや木の素材を活かした漆器作りで有名な地域だ。 「木地」とは製品の形に削り出された、漆を塗る前段階の木の器のこと。 この木地作りを専門とする職人である木地師として、「匠頭(しょうず)漆工(しっこう)」の2代目社長を務めるのが久保出章二さん。実に50年以上に渡って器を作り続けて

          「伝統工芸の土台の上に、いかに新しいものを築いていけるか」山中漆器の伝統を守りながら挑戦を続ける

          「実物の桜ってもっと白いでしょ、でも桜のイメージはピンクだからそれを大事に描いてます」桜の作品に込める思いに迫る

                           【インタビュイー】陶芸家・小畑 裕司 桜が繊細に描かれ、ピンクの発色が美しい有田焼のうつわ。「ここにしかない桜がある」。そんなふうに見る人を魅了する作品を生み出すのは、陶芸作家の小畑裕司さん。 小畑さんが描くピンクの桜は、"Obata Pink"と呼ばれ、海外でも人気を集めている。ニューヨークで個展を行い、制作にも変化があったという。 小畑さんがピンクの桜を描くようになったきっかけや、作品に込める思いなどをうかがった。 一人前の陶芸作家に

          「実物の桜ってもっと白いでしょ、でも桜のイメージはピンクだからそれを大事に描いてます」桜の作品に込める思いに迫る

          「暮らしの中で使われ一緒に育っていくうつわであれば嬉しい」食のうつわをつくる喜びが陶芸の道の原点

                          【インタビュイー】陶芸家・松本尚子 「ぽくぽくもこもこざらざらん 土の声を拾いたい」 島根県松江市の松本尚子さんの工房「陶風舎」のWEBサイトを見たとき、この言葉が最初に飛び込んできた。 東京で会社員をしているときに趣味で始めた陶芸。自分の作品を食卓で使える「食器」をつくる楽しさにはまり作家の道を志した。 大学時代を過ごした島根にIターンし、松江市の工房に外弟子として入り、陶芸の勉強を始める。そして自身の工房を持つ夢に邁進し「陶風舎」を開窯

          「暮らしの中で使われ一緒に育っていくうつわであれば嬉しい」食のうつわをつくる喜びが陶芸の道の原点

          「波長が合う人にアピールできる作品を」万人に迎合しない発想の源に迫る

                            【インタビュイー】陶芸家・アサ佳 美濃焼の産地、岐阜県土岐市に自宅兼工房を持つ新進気鋭の陶芸家、アサ佳さん。 水面の波紋にインスピレーションを得たシリーズ「ミナモノモアレ」などで注目を集めている。また、イタリアの美術館へ作品を寄贈したり、「Miss Grand Japan」のグランプリトロフィーを制作したり、他の工芸品とコラボしたりと活躍の場を広げている。 美濃焼には、志野や織部といった伝統のある芸術品から大量生産品まで、実に様々な作品が

          「波長が合う人にアピールできる作品を」万人に迎合しない発想の源に迫る

          儚くて刹那的だからこそ、自然は美しい。命の躍動とその輝きを器に表現したい

          【インタビュイー】 陶芸家・堀 順子 自然の美しさと儚さを表現された器を作り続ける、陶芸家・堀 順子さん。 焼き物を通じて森や水、海など、自然から感じたエネルギーと感動を表現し続け、その作品は世界でも高く評価されている。 生命の美しさと刹那を閉じこめた作品は、単純には語れない複雑な人間の心理や多面性が感じられ、見るものに深い感動を与える。 今回は、自

          儚くて刹那的だからこそ、自然は美しい。命の躍動とその輝きを器に表現したい

          「何の変哲もない形だからこそ、技量が露骨に出る」使い勝手の良さを生む技術とは何かをうかがいました

                                  【インタビュイー】飛 陶芸家と鍼灸師。二足の草鞋を履く異色の陶芸家・飛さん。 そのふたつに共通するのは「研ぎ澄まされた繊細な指先の感覚」。その指先から生み出されるのは、持つと「うわぁ」と声が上がるほどに、軽くて使い勝手の良い器。下準備が9割というほどに、一見地味な作業に重きを置き、技術の研鑽に励む飛さん。 「使い勝手の良さ」を追及する飛さんに、その制作にかける思いをうかがいました。 「どろんこ遊びが好きだった、子供時代に戻れ

          「何の変哲もない形だからこそ、技量が露骨に出る」使い勝手の良さを生む技術とは何かをうかがいました