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1日2題の英文和訳 解説編 Apr.19.2024

今日は2題とも短い英文でしたが、どこが気になりましたか?気になるところこそ和訳のポイントです。では、解説を始めましょう。

【第1問】
「文化生活においてスペイン語が伝統的に重要であることが、スペイン人が英語の習得に苦労する理由のひとつだと考える学者もいる。」

【解説】
主語は「文化的な生活におけるスペイン語の伝統的重要性」ですが、さすがに日本語にならないのですこしやわらかく訳しました。動詞はis、補語がpartでof以下の前置詞句に修飾されています。

"a part of 〜"は「〜の一部」ですが、不定冠詞のaは省略されることも多いので気をつけましょう。"a small part of 〜"のように形容詞を伴う場合にはaは省略しません。

さて、主語と動詞の間にカンマで区切られた挿入語句がありますが、文や節全体をI thinkなどが目的語とするとき、それが文の途中に挿入されることがあります。次の文を見てください。

(ex1) Sometime in February 2002, I suppose, I first met my wife.
  (2002年2月のいつかに、私は初めて妻に出会ったと思う。)
(ex2) Our teacher, it seems, is not interested in sports at all.
  (僕たちの先生はスポーツに全く関心がなさそうだ。)

本来はI supposeやIt seemsから始まる英文ですが、文の途中に挿入されていますね。どの位置に挿入されるかに明確なルールがあるわけではないのですが、意味のまとまりを阻害しない位置に挿入されます。日本語に訳すときに障害になることはあまりないと思いますが、このような挿入が生じることがあるんだということを頭に入れておきましょうね。

--- Words and Idioms ---
Spaniard(名)「スペイン人」
 $${\uparrow}$$ 可算名詞です。国民全体を表すときはthe Spanishとします。
struggle to do 〜 「〜するのに苦労する、〜しようと奮闘する」


【第2問】
「観光客のおかげで、彼女は息子と一緒にいながら歳を重ねてゆくことも可能になったが、20年前だったならば、息子は彼女の娘たちのようにどこか他の場所で仕事を探していただろう。」

【解説】
まず前半は"make + O + C"「OをCの状態にする」という第5文型の文で、目的語のitは形式目的語、真の目的語はto grow以下の不定詞句です。不定詞句の直前に置かれているfor herは不定詞の意味上の主語なので、「彼女が成長する」のようにherをgrowの主語として訳すようにしましょう。

さて前半を直訳すると「観光客が彼女が息子と一緒に年を取ることを可能にした」という意味になりますが、上記の訳例は少し違いますね。これは無生物主語構文を意識して訳しているからです。この点は明日の週末英文法で取り上げますので、必ず読んでくださいね!

続いてwhoは主格の関係代名詞ですが、直前にカンマがありますので非制限用法です。先行詞her sonの補足的な説明になりますので、「〜な彼女の息子」のように後ろから修飾しないように注意しましょう。また接続詞asが使われていますがこれは「〜するように」という様態の意味、didは繰り返しを避ける代動詞です。

さて、ここからが本題です。関係代名詞whoを便宜上sheに置き換えると、関係代名詞節は以下のようになります。

She, 20 years ago, would have sought work elsewhere as her daughter did.

動詞部分が【助動詞過去形 + have + p.p.】という形になっています。まさに仮定法帰結節の形ですね!しかし、条件節(if節)が見当たりません。この場合、条件節に該当する表現を探すんでしたね。2024年3月27日に一度紹介しましたが、あらためて解説しましょう。

動詞部分が仮定法帰結節の形になっているのに条件節がない場合、条件節の代用表現が文中にないか検討します。主な可能性としては以下のものがあります。

<仮定法条件節の代用表現(隠れた仮定法条件節)>
 ①前置詞句で代用 (= if you had helped me)
  With your help, I could have finished my homework.
  (キミの助けがあれば、僕は宿題を終えられたのに。)
 ② 不定詞句で代用 (=if you were to hear her speak English)
  To hear her speak English, you would take her for an American.
  (彼女が英語を話すのを聞けば、キミは彼女がアメリカ人だと思うだろう。)
 ③ 分詞構文で代用 (=if he had been born in better times)
  Born in better times, he would have become a famous writer.
  (もっと良い時代に生まれていたら、彼は有名な作家になっただろう。)
 ④ 副詞語句で代用 (= if he had lived a century ago)
  He wouldn't have recovered from the illness a century ago.
  (100年前だったら、彼はその病気から回復しなかっただろう。)
 ⑤ 名詞で代用 (= if you were a person of sense, you 〜)
  A person of sense wouldn't do such a thing.
  (良識のある人ならば、そんなことはしないだろう。)

今回の英文は④に該当し、"20 years ago"が条件節の代わりをしています。接続詞ifを使って条件節を復元すれば以下のような文になるでしょう。

If it had been 20 years ago, she would have sought work elsewhere.
(20年前ならば、彼女はどこか他の場所で仕事を探していただろう。)

このいわゆる『隠れた仮定法条件節』は大学入試における英文和訳の重要なポイントです。自力で気づくためには、仮定法の帰結節には助動詞過去形が必須であることに着目して、助動詞過去形を見逃さないことです。助動詞過去形が英文に用いられていた場合、可能性としては以下のものがあります。

<英文中の助動詞過去形>
  ①本当に過去を表している(時制の一致等)
  ②推量の意味の助動詞である(過去形の形を取ると弱い推量になる)
  ③仮定法帰結節である

今後も英文中の助動詞過去形には細心の注意を払い、上記の可能性を常に検討していきましょう。

今日の解説は以上です。第2問は単語が難しくなく文構造も易しそうな雰囲気でしたが、きちんと訳せる受験生はそんなにいないだろうと思います。これこそが本番で差がつく1問でしたね!

--- Words and Idioms ---
seek(他動)「〜を捜す、探す」「〜を得ようとする、探し求める」
 $${\uparrow}$$ seek - sought - sought という不規則変化動詞です。
elsewhere(副)「他のどこかで、他の場所に」

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