花見小路
春には桜が咲くだろう、きみはまた歩き出すから、違う街に行くんだろう。
散らず散らず、夢に見るあざやかなピンク、肉の色。さらさらと流れていく、手に余る、掴めない。
どうして大切なことは全部忘れてしまうの?
思い出して、消えないで、悲しみはここにあるけれど。
ただそこにあるから、そのままでいい。触らないで、痛み、傷、病、わかりっこない、なおりっこない。
伝わりっこない、わかりっこない。あなたのことはそれほどわからない。私にわかるのは少しもない。
世界の輪郭をなぞってみても、ちっともわからない。クモの巣みたいな街から逃げて、息が出来ないのだから、また会えたらいいね、昨日の私。明日のあなた。
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