憧れでは終わらない!何百・何千人目の読者ができること。

大人になった今でも密かに憧れている職業があるのです。

あくまで憧れであって、なりたいとまでは思っていない。いいえ、嘘です。
「あんたの夢叶えたろうか」などの番組に応募したいくらい熱量があります!

それはスバリ、作家に一番近い存在の編集者です。

理由は3つあり、一番に原稿が読めるというミーハー視点。
次に作家をサポートしたいという世話好きな性格。
最後はなんと言っても、読書が大、大好きだからです!

でも本当のところ編集者の具体的な仕事は存じていないので
「編集者として行うことはなんだろう」と仮説を立ててみました。

大前提としては、原稿を書く(口述)のは作家、本という媒体で世に送り出すのは編集者の役目。二人三脚となるため、まずは信頼関係だと思います。

そのためには、作家の性格や作風、今置かれている環境について理解すること。

そもそも初対面ではどのような雰囲気なのでしょうか。
編集者としては、なんとしても好印象を持たれたい。
粗相をするなんてありえない。

そのはずがとんでもないことになってしまったと、
穂村季弘さんのエッセイ「羊羹」の中で記されていたのでご紹介します。

当時、新人編集者が恐れをなすような作家神話がごろごろしていた。
大物作家のお宅に伺うとまずお茶と羊羹が出る。お茶は飲んでいい。
しかし、羊羹のほうは絶対に手をつけてはいけない。
万一、手をつけるようなものなら、当の編集者の社には二度と書いてくれない。

PARCO出版「アンソロジーのおやつ」から抜粋


実はこの話には続きがあります。

羊羹の件は各社とも代々の編集者に受け継がれていましたが、ある社では新人編集者に伝わらず、彼は出された羊羹を食べてしまいました。
何年も前から編集者が来る度に出されていた羊羹は、それはそれは不衛生のかたまりで新人編集者はお腹を壊します。
それだけでは終わらず、作家を怒らせたことで会社からはもう出社するなと言われる始末。

体を壊して職も失うダブルパンチを食らったのですね。

さて、現代の編集者はどうでしょう。
作家に頭が上がらずにこのような苦労、ひどい仕打ちを受けているのでしょうか。

実は昨年から、複数の編集者とメールのやり取りをしたことが数回あります。
ネットギャリーというサイトで読書レビューを投稿したことがきっかけで
外部への掲載や帯について問い合わせをいただきました。

そこには投稿したレビューに対して感謝の気持ちと、レビュー本に対しての情熱が溢れていました。
本ではなく、まるで我が子のような愛おしさが感じられました。

子を生み出したのは作家、育てるのは編集者かと思いましたが
分けるのではなく、両者とも同じ親なのかもしれません。

編集者という立場を考えた後、あることに気がつきました。

編集者は一番に原稿を読む読者でありながら、本を売り込むため様々な方法を駆使します。(先攻)

一方、私は何百・何千人目の読者。
本を直接売ることはできませんが、さらに本を盛り立てる後押しはできます。(後攻)

役割は異なっていますが、本を発信するという立場は同じではありませんか。(多分)

そこで、編集者への憧れに終わらずに編集者ではない行いで、
力強く、心に沁みる本の発信をしたいというのが結論です。

あぁ、整理ができて良かった。



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