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再びの栄光へ

『第49回全日本大学駅伝』。
神奈川大学が20年ぶりに優勝した。

20年前は、神奈川大学が主要3つの大学駅伝(出雲、全日本、箱根)をほとんど制覇していた黄金期である。

当時、放送作家として東京で働き始めたばかりのわたしは、事務所の先輩がメインライターを務める『箱根駅伝』の番組に携わっていた(箱根駅伝73回74回大会)。先輩は、日テレで箱根駅伝の放送を立ち上げた当初から活躍する、“箱根の語り部”である。その大先輩の下で、スポーツ番組の何たるかさえまったく知らなかったわたしは「大学駅伝とは」「箱根駅伝とは」を、2年に渡って学んだ。

学んだ、と言えるほど学べていただろうかと、今も反省することしきりなのだが、たった2年の間でも、『箱根駅伝』はスポーツ番組の基礎を叩き込んでくれた番組だ。そして、その2年がちょうど神大の連覇(73、74回大会)を成し遂げた時期と重なるため、わたしにとっては『強い神大』のイメージが強烈に残っている。

だから、この全日本での復活劇はとても胸に響いた。

神大はあれからまもなく上位校から脱落し、シード権さえ危うい時期も長く続き、低迷していたという。
去年、思いがけずまた『箱根駅伝』の番組に加わり(それこそ20年ぶりだった)、かつてと様変わりした大学の勢力図に、時代の変遷を感じた。

神奈川大学は、早稲田や中央、順天堂などの伝統校ではない。
かつて黄金期があったとはいえ、選手のスカウトも、部の資金繰りも大変なことだっただろう。
再び這い上がるには、努力や気力以上の『何か』があったに違いない。

20年という時間の、計り知れない重さを思う。

ゴール地点で待つ大後監督がテレビに映し出されたとき、最後のランナーを迎える眼差しがなんとも言えず、こみあげる涙を懸命にこらえているように見えた。

この勢いで、お正月の箱根を駆け抜けてほしい。

そして、彼らを突き動かし、這い上がらせた『何か』を見せてほしい。

あの頃の強い神大を、わたしは見たい。

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