見出し画像

お隣の国、韓国では出生率が0.98になったそうですが…。

一般男性育休教員です。

日本の2019年の出生数が90万人を下回ったことが報道されていたことは記憶に新しいですが、お隣の国、韓国でも危機的な状況に至っているようです。

□記事から

1 保証金が高額
2 儒教的な価値観やジェンダーギャップ
3 結果の得られない育休サポート(給付金や期間の保証)政策
4 雇用や賃金の悪化
5 IT革命による新しい価値観の流入

1 保証金が高額

チョンセ(保証金)は韓国の独自の不動産賃貸制度だ。家主はこれを運用して利益を得て家賃収入とする。借り主は月々の家賃負担がなく、退去時には全額返金される。ただし、チョンセは不動産価格の最低50%からが相場とされ、相当高額だ。新婚夫婦が希望する60~70平方メートルほどのソウル市内の賃貸マンションであれば、チョンセは3000万円以上が相場となる。購入する場合はその2倍以上の資金が必要だ。最近では金利の低下によりチョンセ額を下げ、月の家賃を設定する家主もいるが、不動産価格が高騰している韓国ではいずれにしてもかなりの負担となる。(記事引用)

月々の支払いはありませんが、入所時(=定住=購入時)に、超高額な資金が必要になるため、20〜30代のうちに結婚して、同居し始めることにも抵抗があるようです。反対に、保証金は返却してもらえるそうなので、別のところに引っ越す意思があればいいのだろうか?と考えてしまいましたが…。
日本では、多少の資金が必要になりますが、月々の支払いによって住むことができますね。

4 雇用や賃金の悪化

1のように、ある程度の資金がないと、住むところも保障されないことから、雇用や賃金の悪化は、直接少子化に影響していると考えられます。

韓国では2000年代半ばに「3放世代」(サンポセデ)という言葉が誕生した。「恋愛、結婚、出産」を諦める世代(20~30代)という意味だ。その後、「5放世代」(3放+持ち家、人間関係)となり、さらに「夢、希望」が加わって「7放世代」になった。最近では、諦めなければならないことが数え切れないと「N放世代」という言葉も使われている。(記事引用)

このような状態で少子化対策をしても、何ら意味がないことは明白です。

ただ、日本でも同じことが言えるのではないでしょうか。非正規が認められるようになり、企業側はすぐに首を切れたり、企業が保険で保障しなくてもよかったりするこの勤務体系を好むようになりました。すると、非正規の方は保障のない中、休んだ分だけ給料が減ってしまい、高い保険を自腹で払うために働かざるを得ない状態になります。そのため、消費も落ち込み、企業側からの給料がさらに減らされていきます。つまり、悪循環を生んでいる一因になってしまう懸念があります。この悪循環を抜け出すためには、非正規の方々を保障する制度を設けることが求められるのではないでしょうか。

2 儒教的な価値観やジェンダーギャップ

他の先進国に比べると、韓国は女性の地位が低いと思います。結婚すれば家事など負担が増えて、女性ばかりが犠牲になる。それならあえて結婚する必要はない。そう思っていました
ただ、子どもは持たないと話しています。韓国では育児において、女性が身も心も犠牲にしなければならない。子どものために結婚するわけではありませんから
「結婚は韓国では不利な“契約”だからしなくていい」と母親から言われて育ったからだ。地方出身で50代前半の母親は高校卒業後、「女に勉強は必要ない」と父親から言われ、大学進学を諦めた。一度は社会人として働いたが、結婚するとやめざるをえなくなり、専業主婦として生きてきた。パクさんはそんな母親の姿を見て育った。
「今お付き合いしている人はいて、結婚の話も出ます。ただ、周囲の男性はまだ『女性は家を守るべきだ』みたいな古い価値観にとらわれている人が多い。働きながら子育てをする女性に対しては『子どもがかわいそう』といった冷たい視線も感じます。だから、現実には結婚はまだ……」
儒教の影響を強く受けた韓国社会では、男尊女卑の傾向が長く続いてきた。家によっては正月や盆、祭祀などの準備から介護などまで、「嫁」という立場になった女性への負担は、今なお小さくない。(記事引用)

この部分には、非常に共感できてしまう雰囲気があります。日本でも、女性が子育てするもの、子育てしている男性をイクメンともてはやす論調、男性が育休を取るのは英断、子どもが生まれたからより一層の業務、家族が増えたことによる単身赴任…おかしな文化は日本にも根強く残っています。
少子化対策の根本には、このおかしな文化の変革が必要不可欠です。韓国でも問題になる恋愛、結婚、出産を諦める理由になっています。国、そして企業側の努力が求められていると同時に、固定観念の打破が必要です。
子ども園時代から、男の子は青、女の子はピンクなどのように、小学校では男の子は黒、女の子は赤のランドセルを背負うように、分けてしまうことから、すでに古いジェンダー論が子どもに根付いてしまいます。ここから変えていく必要があると思っています。

勤務する小学生に「男の先生なのに、ピアノが弾けるのすごいね」と言われたことがあります。そんなとき「ベートーヴェンもバッハも男の人だけど、どう?」と聞き返します。あるいは、「奥さんにお菓子を作ってあげました」という話をしたときも、「男なのにお菓子つくれるの?」と聞いてきたことがあります。そんなときには「え?〇〇ってケーキ屋さんの店長さんは男の人だよ?」と返します。すると、子どもたちは「男も女も関係ないんだね」と気づきます。結局のところ、地道に説いていくしかありません。古いジェンダー論に染められる前に、それに気づいた人たちで阻止するほかありません。

5 IT革命による新しい価値観の流入

未婚率上昇の要因は経済的な面だけでなく、文化の劇的な変化も背景にあります。インターネットが広まり、結婚しなくても自分の好きなことをして暮らせるなど、さまざまなライフスタイルを知った、という文化の変化です。
韓国は1997年に経済危機が起きて、同時にIT大国へと舵を切った。そこで古い価値観が崩壊して、新しい価値観が流入した。家族は愛情や犠牲を伴うものだったのが、それがすべてではないという新しい価値観を知った。(記事引用)

このようにして、新しい価値観に影響を受けるのは、国として結婚、出産をしてほしい年代になります。このことは問題視してほしい部分です。
とはいっても、小泉環境相の育休への文句を垂れる人の方が多いこの国のジェンダー論は、やはり古いと言わざるを得ません。

3 結果の得られない育休サポート(給付金や保証の期間)政策

2005年に当時の世界最低水準(1.08)を記録したことを受け、翌2006年、韓国政府は少子化対策の一環として初めて「低出産・高齢社会基本計画」を打ち出した。その後、育児休業中の給付金支払いや育休期間などをサポートする政策が次々と実行された。
だが、いずれの政策もはかばかしい効果はみられず、出生率はおおむね下がり続け、未婚率も上昇した。30代前半の韓国女性の未婚率は、1995年に6.7%だったのが20年後の2015年には37.5%と大幅に増えた。同世代同時期の日本女性の未婚率は19.7%(1995年)から34.6%(2015年)。(記事引用)

日本が今、陥ろうとしている部分です。育休初月給付金80%の政策が決まりそうです。

韓国では、育休前の未婚率が高まっている中、実行されたことで、少子化にはなんら効果は得られなかったのです。同じことを日本はしようとしています。どれだけ育休の保証をつけたところで、未婚率、晩婚化が進んでいる日本でも、芳しい結果は得られないことが、韓国で証明されています。
本当に少子化対策をしたいなら、大胆な変革を求めたいです。

□諸外国から学ぶのは成功例だけではない

このように、成功例だけでなく、失敗例からも学ぶことができます。
特に、育休初月給付金80%は、日本人の好きな育休取得率という言葉の数値は増加すると思います。しかし、直接的な少子化対策としては、効果が薄いことが、韓国の事例から分かります。

今、求められているのは、韓国の儒教的な文化と同様、日本にも蔓延る風潮の打破だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?