Motoyasu Nagafuchi

元報道カメラマン、現在、地域を繋ぐ広告代理制作会社を運営する傍らカメラマンをやっている永渕元康です。

人生行路完全版vol.7『コーヒーを識った日』前編

僕の内心はとても苛立っていた。

エチオピアにて取材中に軍事基地を撮っていたとのでっち上げのタレコミにより、軍事スパイの疑いをかけられると、エチオピア軍兵士に取り押さえられ投獄された。

そこから三日に渡る取調べに至っていたからである。

ここエチオピア北部は、エリトリアとの国境紛争を繰り返し、毎日のように国境線が塗り替えられている場所である。

集中力を切らさずに、生活をし続けることは並大抵のこ

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子ども王国の日常vol.6

家を訪ねると、半開きの扉の奥から声が聞こえる。

「これからうちに大切なゲストが来るから!!」

もしかしたら、僕のことなのかもしれない。。。

少し早く来すぎたかな・・・

そう感じた僕は、家の前で空を眺めながら、少しの間ぐるぐるぐるぐる家の前を回る。

すると、ギーッと金属が擦れる音が聞こえるとともに、扉の奥から小さな影が姿を見せた。

それはそれは小さく愛らしい影。

それが君との出会いだっ

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人生行路vol.6『僕の答え』後編

本当に無我夢中だった。

頭の中には、弾が当たるとか、命を落とすとか、そんな恐怖に怯えている余裕すらなく、ただ目の前にある“救える命”だけを捉えていた

地を這うように重心を落としながら走る。

心臓の鼓動と、自分の息づかいが頭の中で反響している。

普段は何気ない道幅が、やけに長く遠い。

足は地面を舐めるように回転しながらも、左眼では飛び込む先を見据え、右眼で子どもの脇下を見据える。

やがて

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人生行路vol.6『僕の答え』前編

2003年、焼けつく暑さの中、僕はイラク第二の都市モスルにいた。

ここはつい先日、サダムフセインの息子のウダイとクサイが多国籍軍によって殺された街だ。

今回の戦争でより自由になったクルド人も多い為か、ここに来る前に立ち寄ったフセイン支持派の多いティクリートの街とは正反対に、明るく活気に満ちている。

僕は、タバコに火を点けると、街角のレンガの段差に腰を下ろしながら暫く人の往来を眺めていた。

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子ども王国の日常vol.5

怪しげに他人の視線を気にする少女たち。

僕が

「何しているの?」

と尋ねてみると、少女の一人が

「大きな声で話しかけないで、見つかってしまうから。」

と一言。

どうやら、かくれんぼをしているようだ。

すると、僕らの話を聞いていた友達が近づいてきて、

「そう言っているあなたの声の方がうるさいよ。」

と少女の耳元で囁く。

「あっ、いけない。」

思わず、ほくそ笑む少女。

遠くの方

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子ども王国の日常vol.4

「あのね、ママがお仕事している時は、シーって静かにしてるの。」

「でもね、離れると寂しいから、ママの仕事が終わるまで、くっついてるの。」

2004年 インドネシア