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ローコード開発のススメ

顧客の要望と乖離

みなさんは、「顧客が本当に必要だったもの」という風刺をご存じでしょうか。

https://www.casleyconsulting.co.jp/blog/engineer/4334/

システム開発において顧客の要望を捉えることが如何に困難であるかを表している有名な風刺画です。
必要なのはしっかりしたブランコではなくタイヤに紐を付けとけば良かった的な感じですね。実はユーザーにも自分たちが本当に必要なものが当初はわかっていない事が多いという事なんです。「顧客の要件」と「本当に必要なもの」にも乖離があるという点が考えさせられます。

アジャイル開発の普及


従来の一般的な開発手法であるウォーターフォール開発では、初めに決定した設計・計画を重視して進めていきます。
そのため、軌道修正が難しく、修正する際にはコストも時間も大幅にかかってしまいます。
先ほどの画像でわかる通り、ユーザー自身も実際に必要なものが何かを描くことができていない事が多いので、むしろ「こうかもしれない。」「いや違う、こっちの方がいいだろうか」と方向転換を繰り返してしまう方が当然と言えるかもしれませんね。
そこで台頭してきたのが、アジャイル開発です。
機能単位で、設計→開発→実装→テストを繰り返しているので、修正にかかる工数も少なく済み、顧客とコミュニケーションを取りながらフィードバックを行うことで、顧客のニーズに応えることができるのは大きなメリットと言えます。

良いことだらけのアジャイル開発!
そんなアジャイル開発は日本ではどれぐらい普及しているのでしょうか。
欧米では60~70%です。日本での普及率はなんと30%とダントツ低いんですね。
これは日本がシステム開発において丸投げ気質であること、そしてコミュニケーションが苦手なことが起因していると言われています。

アジャイル開発では、全工程に顧客が関わるのが前提です。
しかし実際には従来のウォーターフォール開発のように、開発者に丸投げをしてしまい失敗するケースも少なくありません。
これにはリテラシーの格差にも関係しています。
リテラシーに差があるほど、打ち合わせはお互い苦痛を伴います。
私もIT業界に入りたての頃は、知らない横文字が出てくる度に白目になりながら、何もわからない、早く帰りたいと思っていました。
開発者と発注者も苦痛なコミュニケーションをしたがらない⇒アジャイルが普及しないという状況も考えられるのではないでしょうか。

ローコード開発とアジャイル開発

ローコード開発とは
では我々日本人はアジャイル開発を諦めるしかないのでしょうか。
ここで注目されているのが、ローコード開発です。

ローコード開発と言うと、開発費削減、内製化のようなイメージあると思いますが、実はコミュニケーションを円滑にし、アジャイルの質を上げるために役に立つツールなのです。

実際に広島銀行は、Outsyetemsを利用して銀行のシステムを内製化しています。
モノが見れるわかりやすさにより、積極的にユーザーがプロジェクトに参加しやすい環境を作っています。
何故そのようにシステムが動くのかをユーザーにハラオチさせ、全体的なリテラシーの向上につながったという効果がありました。

基本はGUIベースで直感的にプログラムの追加、削除、編集などを行えるようになっているため、ユーザー自らが主体となり開発を進められます。
打ち合わせの際には、視覚化した設計図を見ることで、そこに共通の認識をしやすくし、レゴブロックのようにカスタムできるので、その場で修正を提案をしていくこともできます。
つまり発注者と開発者とのリテラシーの壁を取り払い、コミュニケーションの頻度を上げていくことが期待できるという事です。

上流スキルの習得


開発者としても上流をもっとも最短で学べる環境とも言えます。
コードを書くだけであれば、AIでもできる世の中に徐々になってきています。
AIを利用して対話ができるチャットGPTでは、簡単なHPなど「いい感じのHPのCSS作って」と言えばコードを書いてくれるような時代になってきました。
プログラミンの必修化により若手を中心にコーディングスキルが当たり前になってくるでしょう。
プログラミングが大きな武器と言えなくなってしまう時代がすぐそこまで来ています。

今後必要なのは「顧客に提案できる」スキルです。ローコードもプログラミング言語もあくまでそのためのツールなのです。

まとめ


ローコード開発と言うと、安かろう悪かろうとみられがちですが
今後は、コミュニケーションを促進し自分たちが本当に必要なものが「紐を付けたタイヤ」だと理解させるのに重要な存在になると思います。
ローコードはまだまだ発展途上ですし、問題点も多くあります。
ただ確実に流れはきています。
まずローコードでもノーコードでも小さく始めてみましょう。
特に非エンジニアが使ってみることで、システム側とのコミュニケーションが生まれます。それが第一歩。
内製化のためにローコードを多くの企業が導入していますが、準備には2年~3年ほどかかっています。ローコード開発の導入に早いという事は無いのではないでしょうか。

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