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「心を鍛える」を読んで、ホリエモンと藤田社長は人生四周目であることを知った

元ライブドア社長の堀江貴文とサイバーエージェント社長の藤田晋と言えばネット黎明期を代表する起業家であり、また私のように2000年代前半に大学時代を過ごした者にとっては当時、ヒーローであった(ちなみに村上世彰とひろゆき、そして言わずもがな楽天の三木谷社長もヒーローだった)。そんなお二人も間もなく50代を迎えようとしている。

本作ではお二人の10代、20代、30代、40代を振り返りながら、タイトルの通り心が鍛えられた自身の経験を述懐してくれる。いや、もはや壮絶すぎて心が鍛えられえるどころか、よく折れなかったな、というエピソードの連発である。

ちなみに、二人のインタビュー記事や著作を見ると、いつも「一体この人たちは人生何周目なんだろう」と思わずにはいられないが、本作を見れば人生四周目だということがわかる。大学に入学したものの、好きなことに没頭し続けた10代後半、起業し上場を経験した20代、一方は拘置所に・もう一方は新規事業を立ち上げた30代、そしてまた新たな事業に挑戦し続けている40代と、通常の人間であれば1周目くらいで終わりそうな人生を既に4周しているのである。5年ほど前に藤田社長が日経新聞に投稿する記事を読んだ時、まるで70歳くらいの修行僧が書いているかのような冷静かつ達観し切ったコメントに驚いたことがあったが、それでも当時藤田社長はまだ40代であった。密度の濃い50年を送ればこんなにも人間としての器に差が出てしまうのか、と愕然した記憶がある。まだ自分は40手前なのだが、手遅れ感が否めない。

自分の青春時代のヒーローだった二人はとても対照的である。二人とも自分の強みや得意なこと・好きなことから起業したという点は共通しているが、その後の事業の拡大の仕方や生き方は大きく異なる。あくまで自前主義にこだわり、M&Aは行わずに自社内で事業のタネを育ててきた藤田社長と、M&Aにより急速に事業を拡大させ、そして最終的にはその買収した企業が火種となって追い込まれた堀江貴文氏。藤田社長は新卒採用から自前で人を育てるカルチャーを育てた一方、堀江貴文氏は宮内亮治氏を始めとした外部人材を多く登用した点も対照的である。

さらには、二人の人生の歩み方も対照的だ。会計やコーポレートガバナンス等、わからない知識はあくまで自前で吸収し、起業家から経営者に進化していった藤田社長と、「多動力」を重んじ、一つのビジネスに集中するというよりは多くのビジネスをプロデュースしている堀江貴文氏。そんな二人がお互いを真にリスペクトし合いながら持論を展開していくのがこの本の醍醐味でもある。

この本で学んだことをどう活かすか、と考えた場合、堀江貴文氏よりも藤田社長のアドバイスの方が役に立つ。藤田社長のコメントは例えば「自分のタイミングで勝負に出るな」等、一般の人々にも応用の効く内容が多いが、堀江貴文氏のコメントは少し破天荒すぎてリミッターが飛んでおり、残念ながら小心者の一般人が真似すると怪我を負ってしまうような内容が多い。

ちなみに、本著作は日経新聞でも連載されてた「ネット興亡記」と合わせて読むとより堀江貴文氏や藤田社長の起業家・経営者としての偉大さや人間的魅力を味わうことができる。

ちなみにネット興亡記を読んだ感想は以下の通り。

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