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『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を読んで

本屋に行くとお目当て以外の本に一目惚れすることがあります。
その運命の本を探しに本屋に行くこともしばしばありますが、先日本屋に行ったときに出会った本の紹介をします。


あらすじ

2020年。新型コロナの初期対応を誤った日本の首相官邸でクラスターが発生。あろうことか総理が感染し、死亡する。かつてないほどの混乱の極みに陥った日本政府はAIとホログラムにより偉人たちを復活させ、最強内閣を作る。最初は「過去の人間に政治が出来るのか」と半信半疑だった国民も、偉人たちのえげつない決断力と実行力に歓喜し、酔いしれていくがーー。
果たして最強内閣は、日本を救えるのか!?

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』裏表紙より


総評

現代という時代を過去と比較することでわかりやすく痛快に批判した本です。

現代に生きる人に読んでほしい1冊となっています。

1章と2章に分かれていて、1章は偉人たちが次々と課題をクリアしていくビジネス×歴史×政治といった内容。2章はミステリー要素の強い内容と別れています。

この本に出てくる偉人は基本的に小学校の教科書に出てくるような有名な偉人ばかりで、歴史に詳しくない方も楽しめる1冊となっています。

もし知らない人や、偉人が行った知らない政策が出てきたとしても、注釈がしっかりとあり、誰でも読みやすい内容になっています。


現代の政治家たちが苦戦している課題を偉人たちがスピーディに解決していく心地よさや、先の読めないミステリー、家康から現代を生きる僕らへのメッセージなど、どんどん先に読み進めたくなる1冊です。


1章

1章では最強内閣が結成され、コロナ問題を含め様々な問題へ対処していく内容です。

この章では、現代の政治家と偉人たちの違い、現代の国民と当時の国民の違いが強く描かれています。

今の世の中は政治家が国民の声に耳を傾け、政治に反映していくというシステムですが、このシステムが悪い方に発展し、国民は自分に都合のいいことを言い、政治家は国民の耳心地の良い言葉を並べています。

しかし、家康などの時代は生きるか死ぬかの時代であり、将の判断1つでたくさんの人が死んでしまう時代です。

例え国民に都合の悪いことであっても、命を守るためには仕方がないことも多くあったはずです。
また国民は政治を批判したりするのがバレた場合には捕らえられてしまいます。

政治家も国民も封建制度の時代と比べると責任感がないし、自分の欲だけを求めていると書かれています。

確かに毎日が命の取りあいのような時代から見るとその通りであって、それゆえにこれだけハッキリと批判されてもどこか痛快で心地良いのかもしれません。


2章

2章では1章と話の展開が大きく変わります。

サーバーテロを起こされます。
それを誰の仕業なのか、というのを現代人が奮闘する話になります。

2章はあまり話すとネタバレを大きく喰らうので割愛させてもらいます(笑)


2章の終盤に家康が現代へのスピーチを7ページ(23分の演説)をします。

そこに筆者の想いが詰め込まれているように感じました。

人はすべからく矛盾している。矛盾は永遠になくならない。その矛盾を理解し、その矛盾を少しでも縮める。

この世に生きるものは等しく愚かである。愚かであるからこそ、進むのだ。

その家康のスピーチの一部です。

この本をここまで読めば、この言葉の意味がわかりますし、重みが変わってきます。


現代に生きる人、全員に読んでほしい1冊です。


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