【短編小説】地球(#シロクマ文芸部)
《約500文字/目安2分》
最後の日。星がぽつんぽつんと一つずつ消えていくのを僕は眺めていた。
それは切なかった。僕だけが取り残されるような感覚。でもそれは違くて、どっちかというと僕が星から離れている。孤独。
なんてこともないただの日常が、ぷつりと終わりを迎える。星がすべて消えて、衛星が最後に消える。それから山、海、森、とうとう立つための地面も消えて、僕は空に放り投げられた。一瞬ですべてが粉々になる。孤独。
ぷかぷかーと浮いていても特に楽しいことはない。ここには恋愛もSFもファンタジーもない。これは、孤独。
孤独は嫌いだ。
僕が悪いのだろうか。僕が望まなければこんなことは起きなかったのだろうか。君はどう思う? なんて聞いても答えてくれないのが君というものだ。ここには答えしか求めていないのだろう。
なぜ僕が君と会話できているのか。それは僕が創造主だからだ。これから新たな世界を創り出す、神だからだ。
そろそろ僕も消えなければならない。0からではないと創造はできないから。
そして全てが消えて、「地球」が生まれた。これからはじまる、最初の日。
◆長月龍誠の短編小説
◆自己紹介
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