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かさびた。

〜だいたい1000文字〜

スギ花粉が飛び始める時期。

男の子の鼻はムズムズしている。

ズッ、、ズッ、、っと鼻を啜っている音が教室に聞こえる。

この子以外にも何人かいるんだが、隣から不穏な気配がする。

「ねぇ。うるさいんだけど。」

 隆「あ、、ごめん。花粉症でさ。」

美香「ティッシュ持ってないわけ?鼻かみなよ。」

 隆「、、、持ってない。」

美香「はぁー。。ほら。」

そう言って美香は自分のBOXティッシュを差し出す。

 隆「ありがとう。」ービーッー

花粉症の隆にティッシュをくれた美香。
この二人はこの度席替えで隣になったばっかりの二人だ。
隆は小柄で、年中野球しか考えてない野球坊主で、特に目立つ方でもない。
美香は女子の中では身長が高く、顔もそこそこ良く、あまりよく知らない隆にティッシュをくれるくらい世話焼きも良い。
スポーツはバレーをしていた。

美香「明日からちゃんとティッシュ持ってきてよ。」
 
隆「うん、ごめん。ありがとう。」

隆は同じクラスになってから美香が気になっていた。

ティッシュをきっかけに少し話すきっかけが出来て嬉しかった。

ー次の日ー

ズッ、、、ズッ、、、

思春期の男の子がそんな利口なはずなく、今日も鼻を啜っている。

隆がボーッとしていると、

ボスッ、、、

「、、、?」

隣からポケットティッシュが飛んできた。

美香が投げたのだ。

ポケットティッシュに文字が書いてある。

ー昨日言った事忘れたの?ー

隆は美香の方を向いて答える。

(ごめん。ティッシュ有難う)

美香はしょうがなさそうにうなづいた。

ー昨晩の美香ー

隆は鼻辛そうだったなー。ティッシュ持ってこいとは言ったけど、忘れるかもしんないし、持っていくか。

世話焼きの美香には予想通りの展開だった。

ー体育の時間ー

ナイッショー!!

美香ー!カッコ良いー!!

美香は得意のバレーでクラスの注目の的になっていた。

バレーは男女混合で、隆も同じチームだ。

美香「いったよ!」

隆の方にボールがいった。

隆もそれなりに運動はできるので、サラッと返す。

上げたボールを美香がスパイクを決めた。

美香「ナイス隆!」

 隆「お、、おう。」

美香は楽しそうだ。

隆も美香に褒められて嬉しかった。

体育の時間が終わり、席に着いた。

美香「イタッ!」

美香が痛そうに膝を押さえる。
 
 隆「あれ、擦りむいたのか。」

美香「さっきまで痛くなったのになー。」

 隆「ほらっ、絆創膏やるよ。かさびたになっちまう。」

美香「えっ?かさびた?かさぶたじゃなくて?」

 隆「え?かさびたじゃないの?」

美香「なにそれ笑 面白!!かさびた!笑」

 隆「なんだよ笑」

絆創膏とかさびたのおかげで、美香との距離がまた少し距離が縮まったのであった。

長月 暁人




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