被告人冒頭陳述書(追加)

前橋地方裁判所 令和3年特 (わ)第296号 大麻取締法違反

被告人 大藪龍二郎

被告人冒頭陳述書(追加)

 

前橋地方裁判所刑事第 1部 御中            

2022年3月25日

被告人 大藪龍二郎

 

はじめに今回の意見陳述では、私が本裁判においてなぜ執拗に大麻草の真実を詳らかにして頂きたいのかという思いを説明し、次にそのために必要な審議を求める裁判長への嘆願を述べ、最後に陶酔する自由についての意見を述べさせて頂きたいと思います。

 

前回の第一回公判にて、私は縄文時代に使われていたであろう道具や焼成法を再現し、現代のやきもの表現へと反映させる手法で作品を制作しております。そして大麻草の繊維を螺旋状に撚り合わせた縄の道具「縄文原体」は、私にとって単なる道具ではなく不可欠なものであると説明させて頂きました。今回はなぜ私にとってこの道具が不可欠であり大麻草の真実を追及しなければならないのかをもう少し補足説明させて頂きます。なぜならこの点は私が今後アーティストとして活動を続けながら生きてゆく事に非常に関わりが深いからです。

さて、少し想像してみてください。眼の前に紐状にした粘土が輪積みされています。粘土の輪の内側に手を入れ、粘土の外側に縄をあてます。手と手の間に挟み込まれた縄を圧力を加え下から上へと転がすことで素地が鍛え上げられ、均一に上へと伸びてゆきます。これは麺を打つ際に使用される伸ばし棒が均一で細長く腰のある麺に仕上げる原理に似ています。均一の厚みに強く鍛え上げられた粘土生地は急熱急冷に耐え、割れる確率が格段に下がるのです。言い換えればこの道具で鍛え上げられていない土器の多くは割れてしまうのです。

 

 

1200℃以上の灼熱の炎の中を潜り抜け、割れる事なく再び会えることを祈りながら、私は手と手を擦り合わせ聖なる植物でできた縄を転がし仕上げてゆきます。聖なる縄で全体を締め上げた時はじめて張りのある優美な輝きを放つ作品となります。つまりこの行為は、全身全霊を込め作品に魂を吹き込み命を宿す行為なのです。ですから「大麻草は悪いものです。すみませんでした」と安易に自身の信条に逆らい、嘘をつく事は「踏み絵」を踏まされる事と同じ事であり、そのようなことをしてしまえば今後、私は道具を触るごとに罪悪感に苛まれ一生作品を作ることが出来なくなってしまいます。

ですから大麻草の社会的あるいは保健衛生上の有害性を具体的に検証する事なくこの裁判を進める事は、私から職業選択の自由や生存権を奪う事に繋がる事であると是非ご理解して頂き、改めてこの度の裁判の審議過程において裁判長に以下のことを強く嘆願させて頂きたいと思います。

 

①    検察官には、第一回公判において提出した、求釈明申立書1および2のすべての釈明事項に答えていただきたい。

この事は、私が罪状の認否を決定する非常に重要な項目であるため検察は科学的根拠に基づく証拠を示し釈明していただくことを願います。

②    公明正大な裁判であること。

これはつまり「私心をはさまず公平で良心に恥じることのない裁判」を意味します。裁判 という司法の場において当然行われるべき基本中の基本要素であるはずですが、現時点で、弁護側が請求したほぼ全ての証拠、証人に対して「不同意・異議あり」とする検察側の態  度は公明正大であるとは決して言えるものではありません。裁判長からの釈明権発動を心からお願い致します。

 

③    近年、世界では大麻草の研究が盛んに行われ、これまでの社会通念を覆すような新たな事実が多く発見されています。私は今回の裁判において原告側、被告側の双方が科学的根拠に基づいた証拠、証人を公開された公式の場において出し合い検証し、2022年時点での最新の「大麻草の真実」を詳らかにして頂きたい。その上で審議し、判決を下していただけることを心から望みます。

 

以上にあげました3点はいずれも今回の裁判の進行に重要な要素であり特に、公平な裁判を受ける権利、証人を請求する権利など憲法に規定されている権利ですのでかならず守られるべきであると強く主張したいと思います。よろしくお願いいたします。

 

加えて、これも前回公判の意見陳述にて少々触れた陶酔する自由について意見を述べさせて頂きます。アルコールはその成分を摂取し「酔う」という行為が許されているわけですが、大麻取締法により所持が規制されることにより大麻成分を摂取し「酔う」ことが実質上、取り締まられています。世界で最もよく知られ世界5大医学雑誌に挙げられるランセットで報告されている論文や2011年にWHOから出された報告書を見ても大麻はアルコールやタバコに比べ健康に害を及ぼす有害性は明らかに低いこと、また社会に対する有害性は大麻を摂取した場合に起きる自動車事故のリスクと統合失調症の発症リスクが挙げられていますが、大麻使用による自動車事故発生リスクは2倍程度であり、飲酒は10倍程度であることからして格別に高いものではなく、統合失調症に関してもその関連性は低いとしています。政府は国内において陶酔性の高いアルコールを認める一方で、科学的な検証もなく一方的に有害であるとして大麻草の所持を規制し実質上THCと呼ばれる陶酔成分を取り締まっています。この事実は私のようにアルコールに著しく耐性の低い国民の「酔う自由」を阻害する極めて不公平な法律であり、「酔う」ことで得られる幸福を追求する国民の自由を奪うことで精神保健衛生上に危害を及ぼしています。よってこの法律は国民の幸福追求権を侵害する憲法違反法であると指摘したいと思います。さらには私のようなアーティストにとって意識変容、感受性の探求は至上命題であり、被害者のない大麻の単純使用については職業上認められるべき義務であるという主張も付け加えさせて頂きたいと思います。

 

以上です。

 

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