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【速すぎる大杉哲也選手】養老山脈トレイルランニングレース2020

41K 2,000m↑ 3:46:08  3位

いつもならIZU TRAIL JOURNEY という大会に参加するこの時期。大会自体が数少ない影響からか、上記ITJはクリック合戦となり、あえなく敗北。調子が良かっただけにやるせなさを感じていたこの頃、発見した養老山脈トレイルレース。早速エントリーして入金。

コーススペックは41Kであるが、去年のトップタイムが3時間30分台。かなりのスピードレースである。コースをYouTubeでチェックするとほぼ林道であり、後半に階段繰り返しパートがある感じだった。事前に試走したかったが、YouTubeと実際に試走した知人からの攻略情報で挑む。

当日は受付兼ゴール地点の養老公園から最寄りの養老駅から電車に乗り、スタートの多度大社のある多度駅で下車する。出場ランナーの臨時列車であり、乗客は全員ランナー。朝早いのとレース前の緊張感で、列車の中は沈黙の空間だった。申告タイム順のウェーブスタートであり、私は1番前のAブロックスタート。今回は一般エントリーのため、招待選手の最前列には並びにくいが、すぐ抜いてやると意気込む。

今回の注目ランナーは、やはり勢いに乗るユース世界レベルランナーの近江竜之介選手。ここは日本のトップオブトップのため、見ないようにする。次いで関西のスピードスター大杉哲也選手で、トレラン始めた頃の超一流選手で全国区の知名度ランナー。大杉哲也選手と同じ位置を少しでも走れるレベルまで自分は頑張ってきたと思っていた。続いて三重県のびわ湖毎日マラソンランナー辻友寛選手。フルマラソン2時間20分台の超エリートランナーで、トレイルで何戦かしているが、勝った事はなかった。そのほか40代の選手方々ではあるが、東海を代表する福井哲也選手、柴田幸生選手、安田隼人選手は実績のある実力者である。一般出場枠からはフェアリートレイルで対戦して辛勝した三重県の東翔太選手や、OSJ山中温泉チャンピオンの下家悟選手、スカイランナーでVKやショートレースでかなりのスピードを持つ20代若手小林海斗選手、等々が強豪である。要は半端なく速い選手が集まってしまったのである。

挙げた選手ほとんどがAブロックスタートであるが、東翔太選手と下家悟選手は後ろブロックのスタートなので、Aブロック内で早くてもゴールしてから順位が変わる可能性あるため、最後まで出し切らないといけない。それがウェーブスタートのしんどさである。

(以下選手呼び捨て)臨場感出すためです。スイマセン。
スタートして予想どおり近江竜之介がトラックを走る感じでダイナミックなフォームで飛ばしていく。ここは見ないようにする。大杉哲也と辻友寛、小林海斗とあと一人がそこに続き、自分は6番手で最初の1キロ通過。川沿いを走っていき、トレイルの登りに入る。緩い登りであり、スピードが出せる。一人抜いて5位に上がる。前には近江竜之介、辻友寛、小林海斗、大杉哲也が順番に走っている。5位ではウェーブの事考えると危ない位置である。ちなみに入賞は総合6位まで。登りの序盤の序盤で近江竜之介とは2分差がついていて、この先ゴールまででどれくらい差がつくんだろうかと段違い感を受ける。登りが徐々に急になり、呼吸が激しくなる。ハァハァと言っているが、足は残しておかないといけない。ちなみに今回の戦略は、前半の走れるコースで足を残して、後半の階段繰り返しパートでペースアップ、そして最後の7キロある下りをキロ3分30秒で走り切ってゴールのイメージ。後半勝負で挑む。

序盤の登りも頂上に近づいたところで一人ランナーが止まっていた。関西のスピードスター大杉哲也だ。年齢は自分より1つ上で、最近の様子を見てると全盛期からは劣るのではないかと思っていた。大杉哲也はザックから携帯を取り出して濃尾平野の開けた景色の写真を撮っていた。写真を撮るフリをして、しんどくて止まっているのかと思った(丸尾先輩がしんどい時とる方式)。ここは抜かせてもらう。4位にランクアップ。しかしすぐ大杉哲也が近づいてきて、道を譲った。そして再び景色の良いところで止まった大杉哲也。ここでも写真を撮っている。これはきれいやなぁと言っていた。ん、何回撮るねんと思いながらもまた抜かせてもらう。走っていても再び近づいてきて抜かれる。平地と下りがとにかく速いが、急な登りでは歩いていて差を詰めれていた。これは登りは勝機あるなと。少し進むと今度は少し外れて用を足している。3度目の追い抜き。その時昨日2時まで走ってたからなぁーと発言。ほんとだったらエゲツない。でもそれなら疲労からペースダウンするから、そのうち完全に離せるかなと思っていた。

そのまま10キロ地点過ぎて10キロ近く続く小刻みなアップダウンのコンクリート林道へ。大杉哲也は苦しそうな呼吸で抜いていき、ギリギリ見える位置を走っていた。しかし次第に離されつつある事に気づく。自分は楽に走っているつもりで後半絶対抜いてやると。林道の終わりで、唯一エイドが設置されている。エイド手前でびわ湖ランナーの辻友寛が見えた。測るに1分半の差。最初のスピードは維持できていないようだ。そして曲がってエイドへ。エイドで辻友寛と出会うと思いきや、いない。スルーしたようだ。自分は水分補給する予定だったが、先に通過した選手は全員スルーした。慌てる。水分だけ入れて30秒ほどで出発。とりあえず前の辻友寛を追う。

ん、一つ前が大杉哲也じゃなく、辻友寛?。大杉哲也はさらに前に行ったのか。違和感を感じつつ後半へ。

25キロ地点からいよいよ階段繰り返しパートである。ここから自分の勝負ポイントと思いながら階段を走る。最初の階段を走ってみて思いのほか足が重くなっていることを感じる。こ、これはキツい。下りの階段も体重がかかり余計足にくる。階段が急になってきた。いよいよ走れなくなる。くそっ、ここが勝負ところなのに。しかし、すぐ前に辻友寛が見えた。どうやら足を吊りそうになっている感じだった。下りもあんまりスピード感は無かった。久しぶりですねとひと言だけ交わして抜かせてもらった。やっと4位に上がる。辻友寛に勝った事が無く、再び抜かれる恐れもあるため、階段がキツいが頑張って進む。次は大杉哲也だと思いながら、進む。誘導のスタッフの人が前とは3分半の差と。大杉哲也速い!と少しキツく感じた。しょうがないので、とにかく階段をこなしていって養老山の頂上に到達。

頂上を経て、あと数回のアップダウンを経ていよいよ最終盤へ。コース上にはメッセージボードが複数設置されていて、これを順番に見ていくのが楽しい。これが最後の登りです!とメッセージを見てやっと下りだと安堵する。その時ランナーの姿が見えた。小林海斗だった。こちらも足が終わっていて下りでもスピード感がまるで無かった。サッと抜かせてもらい、3位。3位まで来たら入賞は確実かとニコニコ。そのまま下り林道へ。出来る限り飛ばす。足が完全には残っていないので、キロ3分半は無理だったが、キロ4分は切って下りれた。大杉哲也・大杉哲也と念じながら進むが、全く見えない。観光名所の養老の滝を横目に養老公園に到着。41キロの養老山脈の旅は終わった。とりあえず3時間46分でゴール。まぁ、こんなもんかと。その後、やってきたのは小林海斗。続いて辻友寛がダンゴ状態でゴール。そのすぐ後ろに東翔太がゴール。ウェーブスタートのため、東翔太が4位になった。同じく後方スタートの下家悟が5位で、6位に小林海斗だった。辻友寛は7位という結果になった。自分は3位確定であるが、前はというと、優勝は近江竜之介で3時間36分、2位は大杉哲也で3時間38分。ん、大杉哲也と差は開く一方だった。むしろ道中いろいろ遊びながら近江竜之介に肉薄していることに衝撃を受けた。

(以下選手さん付け)
後日談で大杉哲也さんは、最近めちゃくちゃ走り込んでいるらしく、トップコンディションと知る。まだまだ届かない壁、憧れだった大杉哲也さん。近江竜之介さん(圧倒的年下)は表彰式のコメントで2021年はバーティカル(登りだけレース)で世界戦に挑むとの事。ここ2人はやはり世界水準か。
個人的には初めて辻友寛さんに勝ったし、このメンバーで3位は及第点。ただもう1段階速くならないとどこでも勝負できないと痛感。ちょっとまたやる気になりました。

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