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南海トラフ地震の真実 【読書感想文】

もしも、南海トラフ地震の発生確率が、もっと低いとしたら、

もしも、南海トラフ地震対策費用の一部が、他地域の地震対策に回されていたら、

熊本も、胆振いぶりも・・


こんなことを想いながら、昨年末に読んでいた本です。
そして、そんな矢先に能登でも・・
地震は天災ですが、もう少し被害を減らせたのかも・・
そんな複雑な思いを抱いた本

コロナで学んだはずの、「正しく恐れる」ことの難しさを考えさせる本、ぜひ読んで欲しい本、です。

『南海トラフ地震の真実』(小沢彗一)


◇◇

愛知県出身の私は、「東海地震」に備えて、準備をすることを教えられてきた。それが、いつの頃だろう「東南海地震」に注意しろ、と叫ばれるようになった。

ふと気付いたら、「南海トラフ地震」と名前を変え、被災地域も静岡県からなんと宮崎県まで広範囲の地震になっていた。そして、どんどん発生の時が近づいている。そう聞かされてきた。

な・の・に

神戸淡路、東日本、熊本、北海道・・・日本全国で地震が発生しているのに、この付近だけ不気味に静まりかえっている。
ニュースを見ながら、いつも漠然とした不安を抱いていた。

南海トラフ地震
30年以内に発生する確率は、70〜80%

地震調査委員会2018年報告より



◇◇

時間予測モデル

地震の発生確率を算出する方式には、何種類かある。南海トラフ地震の発生確率を算出している式は、「時間予測モデル」と呼ばれている。

ところが

他地域の地震では「単純平均モデル」という方式が使われている。南海トラフ地震だけが、なぜか別の計算方式を使っているのだ。

単純平均モデルを用いて計算すると、南海トラフ地震の発生確率は、20%程度に下がるらしい。つまり水増しされているのだ。それによって、太平洋沿岸の地域に、対策費用が優先的に、投下されているとしたら・・そして、他の地域の対策が、後手に回っているとしたら・・


修復中の熊本城

熊本県は、地震発生の確率が小さいということで、地震対策より企業誘致を優先して進めていた・・


奇跡の一本松と、陸前高田ユースホステル
そして、祈る人々


日本は災害の多い国

旅をしていると、被災地を訪れることも多い。そんなとき、「美味しいものを呑んで喰って」地場産業の復興に寄与できればなぁ・・とも、思っている。

が、この本を読んだあと、少しやるせなさが残った。

事前に、減災対策ができていれば・・もう少し・・
との思いだ


リアリティチェック

最後に、本著でも引用されていた、ロバート・ゲラー氏の「リアリティチェック」を紹介しておこう。

10人以上の死者がでた地震災害を、危険度を記したハザードマップ上にマッピングしたものだ。そうすると、最近の地震は「リスクが低い」と言われている地域で発生しているらしい。

今回の能登半島地震もまさにその通り、この地図を見ると、能登半島も確率が低い場所となっている。

ロバート・ゲラー氏は、上記のネイチャー記事の末章で、こう述べている。

今こそ、地震予知が不可能であることを率直に国民に伝え、東海地震予知体制を廃止して、大震法を撤廃する時である。日本全土が地震の危険にさらされているのであって、現在の地震学では、特定の地域のリスクレベルを的確に評価することはできない。その代わりに、研究者は国民と政府に「想定外に備える」ことを勧告しなければならない。


もしも、南海トラフ地震が起きたら・・・もしトラ

アメリカの「もしトラ」も心配だけど、
日本では「もしトラ」だけにフォーカスを当ててはいけない。

ということで、
日本全国、どこでも地震は起きる。
そのもしもに備えて「正しく恐れ」準備しよう!


(おしまい)


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