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カマキリ〜紙の厚さの検討と超高難度作品との格闘〜

今回も神谷さんの作品で。

で、今回は「カマキリ」。

鎌の棘がアクセントになっており非常に高密度な作品。

でも作品自体は2003年の発表。

神谷さんは火沢の2つ上なので21歳の頃の作品ってこと。

冗談でしょ?

その驚愕の全貌をご覧ください。

紙は、やはり余りの紙(ビオトープ)50×50

去年買った紙がなかなか出番がない(苦笑)。
何故、緑色を買わなかった?

271工程のうち48。

この作品、折り筋をつけるのが難しい…

特に襞が均等にならず。

うっかりすると、どんどんズレる。
特に縦の線と斜めの線が交わらず、大苦戦。

図の折り手順だけでなく自分で交点の基準を見つけたり、襞を均等に付け直すなど配慮が必要と感じた。

途中、結構トリッキーな紙の動かし方を要求されたりと、難所がいくつかあったが、なんとかカド(脚や触覚など)が折られ形になっていく。

しかし…

かなり紙が厚くなってきた。
これを折り込んでもマッチョなカマキリにしかならないだろう(苦笑)。

これ以上は最後まで折れてもカマキリらしい脚の細さにはならないと判断。

数日後…


ネットで調べてみると興味深い紙を発見。

紙の種類はパレットカラーなるもの。

昨今の複雑系折り紙に適すると、ピンポイントの商品説明。

こういう表記を見ると複雑系折り紙って一般に浸透しつつあるんだな、と改めて実感。

需要があるからこそ、だからねえ。
一昔だったら絶対にありえない。

でも…連量(紙の厚さの指標)が記載されてないのが引っかかる。

取り敢えず楽天で購入してみた。

パレットカラーなるもの。
商品名は「超薄いおっきな折り紙」(笑)。

紙より送料の方が高いという憂き目に遭う…

片面は艶がない。10枚入りで935円。

調べてみるとこのパレットカラー、薄葉紙(うすようし)とも呼ばれるもの。

火沢は使ったことがなかったがスマホで調べると割と皆、使ってるのね(苦笑)。

ネット環境が今までなかったの!(言い訳)。

しかし…

これ、カラペじゃないの?(笑)。

ほとんど変わらない気がする…

今まで使用してきた紙はビオトープの45キロ。

連量というのは紙の厚さの指標で、1000枚の重さが、その紙の厚さの目安ということになる。

45キロだと竹尾で売られている紙の中ではカラペを除けば最も薄いかな…(昔クラフトペーパーで、45キロ以下があった気がするが恐らく廃盤)

つまり複雑系折り紙を折るにはビオトープ45キロはかなり無難な選択ということになる。

しかし今回のような昆虫を折るには、やや不適である。

では、カラペとは何なのか、と言うとラッピングに使うような極薄の紙であり、連量は約11キロ。

ビオトープの4分の1ということになる。

勿論カラペは昆虫などを折るのに向いているが薄すぎる故に折りにくく、糊引きをしたり2枚重ねで貼るなど「加工」が必要とされる。

要するにちょっと扱いづらい。

あまりにも薄すぎるので35センチ四方に裁断。
(ビオトープでは50×50)

で、カラペと同じような薄葉紙。
一般的な薄葉紙の厚さを調べてみたら、やはり連量12。

カラペとほぼ同じなのだ。

そして糊引きは必要なのか?
糊引きは和紙など布のような質感や毛羽立ちやすい紙を糊で補強し「パリパリ」とした折り紙に適した質感にするための加工。

しかし今回の薄葉紙。
最初からパリパリしている。

試しに折ってみたが折り筋もしっかり付くし折ること自体は折りやすいと言える。

しかし、やはりというか「薄すぎる」故の折にくさというのはある。

紙の扱いがデリケートになるので、どうしても慎重にならざるを得ない。

今回35センチ四方と比較的小さいサイズなのでギリギリ折れるか、といったところ。

カラペを糊引きするというのはたまに聞くがシワが出やすく不適という情報もある。

取り敢えず今回は薄葉紙。

どうしても折りにくければ、糊引きも試してみる。

まだ序盤だが、確かに折り目がしっかり付くので見やすい。

複雑系折り紙の世界で1ミリというとかなり大きい。

昔、友人に「1ミリずれたら終わりなんだ」と言ったら、そんな馬鹿なと笑われ信じてくれず、大袈裟に受け取られたことがあった。

しかし、これは冗談でもなんでもなく特に折り始めの準備段階での折り筋は後の仕上がりに直結する極めて大事な工程なので1ミリの誤差は本当に大きい。

よってここが一番神経を使う。

しかも今回は極薄の紙。
いつもより時間がかかる。

なんとか折り筋は付け終わった。
偉そうな事を書いたが少しズレた(苦笑)。
折りながら修正すればどうにかなる?

折り畳んでいくが、とにかく紙が薄いので折りにくい。

現在、271工程のうち100辺り。

ちっさ…
35センチでは小さすぎた?

さすがに薄い薄い(笑)。

襞の重なりが見やすいように広げてるだけで実際はぺたんこ。

小さくなればなるほど折りやすくなる。

ビオトープとの比較。

薄さはいいんだけどね…

どう考えても小さすぎた(苦笑)。

どうしよう…
一応、最後まで折るか…

だいぶカマキリらしくなってきたが…
破けた(苦笑)。

というか…
全体的に折り目が汚くなってしまった。 

完成が近いようで遠い。
脚とか鎌とか…

細かすぎ!

一応、完成!
鎌の棘がアクセントになって格好いい。
サイズは意外と丁度いい。
羽の微妙なズレまで再現。
腹の立体感
精悍な(?)フェイス。

はっきり言ってエンシェントドラゴンより遥かに難しかった。

前半の折線を付けるところからしてズレやすくなんの対策もしなければ後々大きく響く。

脚や触覚が極めて細いのでカラペや今回の薄葉紙でなければしっかり折れない。

その上、折り方そのものもかなり複雑で難所も多くトリッキーな紙の動かし方を要求される箇所もあり、しっかり検討しコツを掴まなければならない。

今回は入れなかったが脚に針金を仕込まなければ本に記載されてる見本写真のような低重心にはならないかも。

とにかく難しかった。
今まで神谷さんの作品(折り図化されてるもの)を折ってきたが、これが一番キツかった…

正直、近寄ると粗が目立つので大きな紙でいつかリベンジしたい。

さて…

ここからはいつもの台座制作。

昔からワンパターンなのだが現時点では
これが精一杯。

ただ、前回は軍刀だったが、なるべくオリジナリティーを出したいので「バラの葉」を配置しようと思う。

火沢はバラ歴4年目。
いつか自宅のバラも紹介しようと思ってる。

バラといえば害虫が多く寄ってくるイメージで、育てていてまさにその通りなのたが(苦笑)。

農薬を使わないナチュラリスト的なアプローチとして「カマキリ」を導入する方法を本で読んだことがある。

カマキリをバラに住まわせることで小さな生態系を作ってしまおうという考え。

そこで、今回はバラの葉に潜むカマキリをイメージしようと。


火沢は自分で折り紙を「創作」できない。

それが長年のコンプレックスなのだが(それについてはいつかまた別の記事で)、何とか自分がアプローチ出来る部分はないかと悩んだ末、オリジナル台座を作るしかない、と。

どうすれば心から趣味を楽しめるだろう。

火沢は趣味人なので、色々手を出してきた。

その中でも折り紙や漫画、園芸、模型はブランクこそあるものの、ずっと続けて来られた。

しかし「自分の作品」と、胸を張って言えるものがあるかと言われると…

これが、なんとも「苦い」のだ。

機能不全家庭やアダルトチルドレンの記事をnoteで読み続けた一年…

どうしても「自分」が育っていないという思いが趣味にも重なってしまう。

自分が卑小で矮小な存在に思えてしまうのだ。

未熟でもオリジナリティーが欲しい!

そういう思いはずっとある。

しかし才能がない…

そうした思いで、やっと「台座」なのだ。

もちろん大したものではないけれど…

自分でモチーフに合わせてデザインし試行錯誤する工程こそ「自分」を感じられるのではないか、と。

10年以上前から折り紙を折った際は必ず制作するようにしてきたがnoteを始めてしばらく経つ現在、特にこだわって作ってみたいと、そういう気持ちになったのだ。

自宅のバラの葉を撮影。
先程の画像を取り込んでイラスト風にトレス。

これをどう配置するか…
ラフ段階では三角形の台座を考えたが実際は火沢の技術不足で「角の丸い、おおらかな三角形」を理想的な形に描けなかった。

今回はイラスタではなくクリスタで作画してみたが、いずれにしても変わった形の図形を描くのは苦手だ(苦笑)。

毎回、いつも楕円になってしまう…

難し〜!

そして悩みに悩んで数時間…

今回は本当に難航した。

一度諦めかけたが、なんとかなんとか形になったか…

どうでしょう?

フォントはMODI工場さんの「赤薔薇シンデレラ」

ここもバラで韻を踏んでみた。

そして葉の配置だが、あえて円からはみ出させてみた。

葉を黒く縁取りしたのは主線がカッターの歯で消えてしまうだろうから。

円の黒い縁と繋がって一体感も出来た。

木目のテクスチャはスマホで調べた。

前回、質感レイヤーがクリスタにないということでイラスタを使ったが、調べたら裏技的にクリスタでも可能ということに…

チェック柄とかブラインドなどイラスタでよく使っていたテクスチャではないが折り紙に合った和紙や木目のテクスチャが使えて良かった。

素材を追加でダウンロード出来れば選択肢も増えるだろうか。

さて…

印刷。

コンビニいかなきゃ…

お、いい感じ!
ダイソーのスチレンボードに張って切り出した。
切り取れなかった僅かな部分。
薄墨の筆ペンでタッチアップ。

今回、葉の細い形状を切り出す際、ダイソーのスチレンボードでは厚すぎて、かなり痛めてしまった。

2回完全に失敗し、3度目の正直でようやくマシな精度で切り出せた。

それでも断面が少しえぐれてしまった…

今回は、全ての工程で苦戦した。

一週間以上、一つの作品にかかりきりになったのは初めて。

しかし、ついに…

完成!

長かった…
凛々しいじゃないの(笑)。

作業を終えて…

取り敢えず、諦めなくて良かったな、と。

台座は一度、心が折れたんで…

我ながらよく形になったな、と…

リアルにうちのバラの葉なんで、なんか不思議な感じ(笑)。

さて…

これからは「豊かさを自分で生む時代」だそうです。

お金ではなくて、我々個人が相互に豊かさを提供し合う時代になると。

心の底からそうなって欲しいと思います。

でも、なかなか難しいもんですよね。

生活があるからね。

才能においても他人と比べることをやめられない。

簡単ではないはずなんです。

自分と折り合いをつけ、受容するということは。

自分軸というのも重なると思いますが…

そうした困難なプロセスを経た、その先の話なんです。

豊かさを生むっていうのは。

俺はそう思ってます。

でも…

だからこそ…

表面的な理解や巷の言説ではなく、取り敢えず自分が具体的にやっているんです。

まだまだ火沢オイルとしての活動は暗中模索なんですが…

自分の趣味が一つに統合できたら面白いなって昔から思ってます。

漠然と、ですがね(苦笑)。

しばらくは折り紙でいきます。

でも漫画も諦めてません。

プロになるかどうかより…

今、持っている自分の表現を無理のない形で「成長」させてやりたい…

そんな感じです。

それでは、また!







































































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