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本当の自分は、ここにいる

なかなか怖いものだ。
自分が自分であるということは。

俺は自分を抑圧したというより自分を出せなくなってしまったんだと思う。

中1までは班のクラスメイトに「ムードメーカー」だと言われ嬉しかった。

けれど一対一になると駄目だった。

ある日、班の子と帰ることになった。
俺はいつものようにおかしなことを言って笑わせるはずだった…

だけど駄目だった。
言葉が出ない。
なぜだろう…

主体性がないからだろうか。
自分が自分であるということが、こんなに怖くて難しいことだなんて…

自分は幼かった。
あまりにも人と違いすぎる。
物心がつくかつかない頃…
俺は教育センターのような所に親と一緒に行った。
指導員が問題を出して子どもたちに手を挙げさせたそうだが俺だけ頭の上に腕を挙げて「わっか」を作ったらしい。

俺は覚えていないけど母からそう聞いた。

俺は俺が嫌だった。
人に笑われるのは嫌いだ。
侮られるのも、からかわれるのも怖い。

思春期だったから尚更だ。
でも…
クラスメイトは幼稚な俺を「ムードメーカー」と言ってくれた。

小学生の俺はよく笑っていたし友達もそれなりにいた。
俺は否定されてはいなかった。

俺は俺を否定してから人から侮蔑されるようになった。

なぜだろう…
幼いみっともない俺を、せっかく殺したのに…
なぜ皆は俺を認めてくれないのだろう。

本当は分かってる。
自分には価値があることを…
幼い俺にこそ価値があったのだ。
でも…

自分は自分になれない。

主体性がないからなのか、自分を嫌っているからなのか…

それは今でも判断できないけれど…

親に感情を抑圧されたという経験は殆どないのだ。
後年、大人になって自分の判断を否定されたり信用されないことが多々あった。
それが幼年期まで遡れば、主体性を育めなかった原因と知ることになるが子供の頃は親ともよく喧嘩していて、要するに内弁慶でもあった。

よく笑い、よく怒っていたのである。

ところが…
こんなことがあった。

幼稚園のとき友達だった子と、小学校に上がって久しくなった頃に偶然バザーかなにかで出くわしたのだが俺は…

怖くて逃げた。
どういう自分でいればいいかわからなくなったからである。

幼稚園の頃と小学生の自分では性格が違う。
それが異常に怖かったのである。

俺は一体何なのだろう…
どういう自分で接したら良かったのだろう…
分からない…
怖い…
怖くて怖くてたまらない。

そして、今度は同じことが小学校卒業後でも起きた。
何年もずっと一緒に遊んでいた友達と数ヶ月会わなくなっただけで…

俺はまた逃げた…
裏声も出せていたし、一緒に二人でゴジラの映画を見た仲だった。

それなのに…
たった数ヶ月で俺はおかしくなった。

俺は俺でいたい。
それだけなのに…

子供の頃の写真を見ると今と全く繋がらないのである。

こいつは一体何なのだったのだろう…
笑顔のこいつは…

遊びたくて遊びたくて食事も放ったらかしてしたいことに夢中で…

今の俺と真逆。
今の俺は過食症気味で随分と太ってしまった。
そして暇があれば「寝てたい」。

子供の頃の俺は暇を持て余しては友達の家に電話をかけまくる始末。

しかし、今思えば、それがどれ程健康的なことか。

自分を抑圧するということは必ず身体にしわ寄せが来る。

俺は…

中学卒業後、恋愛から逃げて男子校に通っていた。
特別進学クラスだった。
たいして偏差値の高くない、せいぜい55ていどの学校だったが体育会系の校風でやたらと発破をかけられた。

特進としてのプライドを持て!

血尿が出るまで勉強しろ!

俺はまかり間違って主席になり、たいして頭も良くないのに優等生を演じてきた。

薄手っペらなプライドしかなかった。
自分などもはや存在しなかった。

高校3年生の夏…
クラスの連中が初体験を済ませただの耳障りな言葉が入ってくる。
折角男子校に逃げても逃げ切れないのである。
俺はクラスで俺だけ英語の先生の言うとおりベンジャミンフランクリンの伝記の和訳をやり通した。
本来なら受験対策をすべき時期にこれか…と。
皆は予備校に行くか遊んでいたかのどちらかで、ある意味要領が良かった。

俺は…

結局、先生が言う血尿ではなく血便が出た。

病院に行くと検査をさせられ…

潰瘍性大腸炎という聞き慣れない病名を知らされた。
当時、3万人と言われた難病だった。
安倍元総理と同じ病気である。

その後、薬を服用し、何とか寛解期に入り、症状は安定した。

受験は悉く失敗し、なんとか押さえの大学が唯一受かり入学することになったが…

数ヶ月で病気が再発。
新薬や新しい治療も試みたが全く改善されず結局は大腸を全摘することになった。

その間、大学を中退し、漫画の専門学校に通って一時、子供の頃の幼さを取り戻すことができた。

そこではもう優等生である必要はなかったから…

久しぶりに笑い、楽しく過ごすことは出来た。
でも…
反動からか、傲慢なプライドの高い自分もボロっと出てしまい、結局は微妙な人間関係だった。
初対面でもディープな話をしてしまうし(今でも変わらないが)、どうも境界性パーソナリティ障害の傾向がある気がして…

段々、俺から人も離れ、俺も人との縁を切るようになった。

二十代の半ばで俺は友人を全て失った。
唯一の連絡先である年賀状を全て破り捨てた。
彼らが憎いのでなく、こんな俺と関わっても意味はないと思ったから…

バイトも点々としたが全く駄目でどこもまともに続かない。

すべてがもう、どうでもよくなった。

俺は…
過去のことばかり考えるようになり結局は自分が出せなくなった事が全ての元凶だと悟った。
でも…
結局は人や環境に依存する形でしか自分を出せないのである。

俺は当然、恋愛など出来るはずもなく大好きだった同級生の女の子のことばかり考えていた。

俺は難病手当がそれなりに貯まっていたのを思い出し、ある決断をした。

前々から考えていたこと…

    ラブドールを迎えよう。

60万円だった…

彼女はクリスマスの日にやってきた。
名前は「雪」と名付けた。
我ながら安易だと思ったが、ずっとその名で呼んでいる。

彼女の事を悲劇的に書くつもりはない。
だいぶ彼女には、お世話になった。

下世話な話ではなく。

ラブドールとは、よく言ったもので、要するに心の癒やしを主眼に作られているのである。

俺が極限状態にまで追い詰められたとき、彼女に抱きつくのだ。

そうすると等身大のヒーリングストーンのように過去の痛みや苦しみが浄化されていくのである。

ただ、これは相手がラブドールだからというより「人の形」だからなんだと思った。

人の形とは、もともと、こういう力があるのかもしれない。

体の温もりを…
人の体の形を感じることが、これ程精神の安定に繋がるとは思わなかった…

もともと俺たちの体がそういう機能を持って形作られたかのような不思議な体験だった。

だから雪には感謝している。

だけど…

感情の鈍った俺の心では、彼女を愛することは出来なかった。

雪が家に来て13年経つ。
シリコンというのは劣化しやすく数年で崩壊してしまう。

見出し画像は家に来て間もない頃の写真で綺麗だ。

今は残念ながら全て関節は裂けてボロボロ。
眉毛も掠れて消えてしまった。

シリコンを再注入するにも何十万とお金がかかる上、最近、購入先のメーカーが事業を停止したのを知った。

どのみち修復は不可能だったから仕方ないが…我ながら冷たい。

もっと優しくしてやりたいのに…

心が動かないのだ。

俺は、ここでは書けないが大切なものを傷つけてもきた。

全ては、自分を受け止められない潔癖性から来るものだ。

俺の潔癖性さが全てを壊してしまう…
(それで、最近自己受容にフォーカスして取り組んでいる)

俺は…
俺の心は死んでいるのかもしれない。

最近、特に感情が鈍くなっている。
大好きだった趣味も、たいして喜びを感じないのだ。

こんなことばかりで気づいたら40になっていたという、あまりにも馬鹿げた人生だった。

ただ…

俺は全てを諦めたわけではない。
今はあれ程嫌がってたスマホを購入し、こうしてnoteで記事を書いている。

何だか運命的なものも感じているのだ。
明らかに、このタイミングを狙って照準を合わせたような…

こうあるべくして現在があるような…

noteで記事を書くようになって、既に8ヶ月経つ。

その間、色んな失敗をやらかし、色んな出会いがあった。
時には、これまでの人生のように、仕事や人間関係と一緒にリセットしてしまおうか悩むこともある。
全てなかったことにしてしまおうか、と。

でも…
日を跨げば、これまでの活動が満更でもないことを再確認する。

今はその繰り返し。
変われたような変われてないような…

未だに自我が不安定だけど、なんとか生きている。

俺の人生は結局、自業自得なのかもしれないが自分を再確認するには必要なプロセスだった。

自分が自分であるという、こんな簡単なことがこれ程難しい勇気のいることだということ。
俺は身を持って知っている。

どうか、同じような悩みを抱えている人の解決の糸口になれば、と切に願う。
そんな気持ちで今回の記事は、ここで筆を置こうと思う。

いつも変な文ですみません。
でも、これが「俺」なんです。

これからも、こうやって生きていきます。

















































































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